かごめ
橋の下から湯気がたっている。
その脇を浴衣姿で通る。
辺りに並ぶ店飾りの提灯や明かりが、夜の暗さをほのかに邪魔をしている。
袖と袖を合わせながら懐かしさを感じながら道を進む。
大和屋という旅館の左側に、荷車が通れそうにない小道を見つけた。
ひょ〜、と風が通り抜け、湯冷めを感じ身震いをした。
和風な街灯を頼りに小道を進んでいく。
少し歩くと、かごめかごめ、と幼少を思い出させる歌が聞こえてきた。
かごめ かごめ かごのなかのとりは
私の口からも零れ出す。
かごめ かごめ かごのなかのますは
童のと思われる声は風のように動き回る。
いついつ でやる
いついつ でやる
律動と音色が重なる。
よあけのばんにつるとかめすべった
とうかのばんにつるかめひきこめひきこめ
道が行き止まった。
唐突に童の声が大きく聞こえた。
うしろのしょうめん だ あ れ ?
後ろの正面 に疑問を抱き振り返る。
あ な た だ よ