表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
技師団物語~ソラハツナグ~  作者: 国立司
1章 聖者の神託
6/11

2話『聖教技師団』 その1「別格の相手」

1 別格の相手


「この十字架の紋章、噂の聖教技師団だ……」


 聖教技師団……最近勢力を伸ばし危険視されている技師団か。


「ジェームズ、偵察を続けよう。噂の真偽だけでも確かめて、フレイムさんたちに報告するべきだ」


「ああ、そうだな。万が一ばれたらどうする?」


「逃げる。ライとジェームズのスキルがあればできるはずだ」


「わかったよ。だったら寝ているライを起こしておいてくれよ」


「もう起きてるよ」


 ライはいつの間にか自ら起きていた。


「先輩が自分で起きた……」


 シャリーが信じられない光景を見たかのごとく驚いて固まっている。


「シャリー……その反応は傷つくよ……」


 ライは全員の顔をみた。みんな同じように驚き固まっている。


「……」


 ごめん、ライ……みんな考えてることは同じだ……。


「……はっそれより状況は?」


アリスが現状を思い出してジェームズに尋ねた。


「配下の技師が出てきて制圧したやつらを連行しているな。おそらくマントをしているやつがリーダーか?」


 ライがモニターに映るマントの技師を見る。


「あのマントの技師、直感だけどかなり強いよ」


「ライがそこまで言うなんて珍しいな」


 ライの直感はよく当たる。何よりこの5人の中で一番強いライが「かなり強い」と言った。Sランク上位の闘技師ソルジャーだと考えるべきだろう。見つからないようにしなくては……


「あとツノみたいなのが側頭部についてるねぇ。以前どこかで見たことあるような気がするなぁ…」


 その言葉を聞いて全員でマントの技師の姿を凝視する。マントの技師はツノが生えている以外の特徴は、白銀の髪だろうか。全体的には、どこか高貴さを感じさせる容姿だ。

 確かにこの技師以前どこかで見かけたことがあるな。あれは……

 すると、シャリーが何かに気付いた。


「以前、元帥が落としたブラックリストに載っていた人に似ている気がします」


「ああ、そんなことあったね。持ち主確認しようと思って中を確認したら、僕らが持っているやつにはないページがあって、そこに……」


 後でフレイムさんに届けに行って、中を見たのかと確認されたことがある。

 理由を聞いてみるとフレイムさんはこう言った、


「そのなかには国家戦力級でないと対処が困難な指名手配犯がいる。間違っても一般の技師がやつらに手を出してはいけないんだ。やつらは……」


「国を滅ぼす程の力をもつ技師……」


 思い出した。あの技師は僕らが相手にしていい存在じゃない。


「おいおい、なんの冗談だ?」


「フレイムさんが言ってたんだよ、ジェームズ。そのブラックリストの技師はそのくらい危険なやつらだって……」


「なら今すぐ逃げるべきだねぇ。これ以上、相手を偵察するのも危険だ」


「ライ先輩の言う通りです。退却して元帥に報告しましょう」


「私も二人の意見に同感よ。ソラとジェームズもそれでいいわよね?」


「ああ」


「もちろんだ、そんな危険なやつとこれ以上関わりたくないぜ」


 そう答えたジェームズは配置していた偽の動物たちを呼び戻し始めた。


「僕たちはモニターを片付けよう」


 そう言って、みんなで撤退の準備を始めたところだった。

 すさまじい心力を感じた。まるで目の前に大きな竜が口を開けて僕らを一飲みにするような感覚。勝ち目はない、戦えば死ぬことを悟らせるには十分な程圧倒的なものだ。


 やばい!そう思い、


「みんな急いで逃げ……」


 言おうとしたが遅かった。


「こんにちは」


 マントの技師はもうすでに僕の背後に立っていたのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ