アイリス×アルバート
※アイリス※
アルバート様から熱い視線を受けるようになってからというもの…。アルバート様を避けようにも、アルバート様には私を見つけだすセンサーが搭載されているのか……避けることが出来ないでいた。
婚活に励もうとしても…。
今までは、普通にお話出来ていた他の騎士様や官僚の方達。アルバート様から熱い視線を受けるようになってからは、何故か避けられているような…? 挨拶程度は出来るのに、ゆっくりお話することが出来ないのだ。いつも途中で至急の用事が入ってしまったり…。
メアリー様はというと、最近よくアルバート様の幼少時のお話をされるようになった。その為、私が望む望まないに関係無く、アルバート様情報が増え続けている。
メアリー様は相変わらずアルバート様の応援をされているようだ…。アルバート様には他にいくらでも釣り合いのとれるご令嬢がいるだろうに。
家格も外見も平々凡々な私より、素敵なご令嬢にこそ! その思いは向けてくださいませっ!
※アルバート※
アイリス嬢に私の思いは伝わってはいると思うが、今のところアイリス嬢からは避けられている。そう簡単に、避けさせはしないが。
告白? もしも断られたら立ち直れる自信が無い。まずは周りから固め、思いは視線に込めて伝え続け、少しでも私のことを恋愛対象として意識してもらってからでなければ。
アイリス嬢は私の視線は見事にスルーし、他の騎士や官僚達の元へ向かって行くのだが、そんなことはさせはしない。他の騎士や官僚達への根回しは済んでいる。私の思い人であるアイリス嬢に横槍をいれる者は、今のところ居ない。
※アイリス※
どうせ私のことなどすぐにお飽きになるだろうと思っていたのに、アルバート様からの視線は……しつこいくらいに続いている。スルーするのが良くないのかとお話を振ってみると…熱く語りだされるので…どうすれば良いのやら…。
その熱く語られた中で、近々行われる舞踏会でのエスコート役をしたいとの申し出を受けてしまった。アルバート様のエスコートで舞踏会に参加なんてしてしまったら…他のご令嬢方から確実に睨まれてしまう。睨まれるだけならまだしも、庭園に呼び出されてしまったりして直接悪意をぶつけられてしまった日には…。私がアルバート様を望んでいるのならともかく、そんなことはまるで無いのだから、耐えられるわけが無いわ!
けれど…メアリー様にも舞踏会には参加するように言われているから、舞踏会自体を欠席することは出来ない。すぐにはお断り出来なくて保留にさせていただいているけれど、やっぱりアルバート様のエスコートはお断りしよう。
※アルバート※
アイリス嬢に、舞踏会でのエスコート役を申し出た。まだ返事は保留中だ。だが、お祖母様からも話はいっているはずだから、舞踏会への参加は絶対。そしてら、舞踏会に参加するにはエスコート役が必要だ。婚約者が決まっている場合は婚約者がエスコート役になるが、決まっていない場合は、誰か他を探さなければならない。親族がエスコート役になることもあるが、今回はお祖母様から、出会いの為にも親族にエスコート役は頼まないようにと通達があったはず。もちろん他の侍女達にもだが。さすがにアイリス嬢にだけ、そんな通達は出来ないから。
そして、アイリス嬢が声をかけるだろう騎士や官僚達へは…もちろんエスコート役を受けないように言い含めてある。アイリス嬢のエスコート役を受けることが出来るのは、現在彼女の行動範囲内では私しか居ないのだ。億劫だった舞踏会も、アイリス嬢と参加出来るのであれば楽しみだ!
※アイリス※
どんなに頑張って探しても…アルバート様以外にはエスコート役を引き受けてくださる方がいらっしゃらなかった。メアリー様には出会いの為にも親族はダメと言われているし…参加も絶対。もうアルバート様にお願いするしか無いわけである。はぁ…詰んだわ…。
そして泣く泣く…アルバート様に好意を寄せるご令嬢方から睨まれる覚悟を決め、アルバート様のエスコートで舞踏会に参加したのだが…。
* * *
平々凡々な伯爵家とアイリスは言っているが、その通り平々凡々な家なだけに、アルバートと婚姻を結んでも政治バランスを崩すことは無い。そして、今では真に愛しあっているカルザック公爵、公爵夫人は、叶うことならアルバートにもそんな相手と婚姻を結ばせたいものだと思っていた。
アルバートの舞踏会での様子をみれば、アイリスに恋をしているのは明らか。アルバートにエスコートされてやってきたアイリスと話すうち、公爵夫妻もアイリスの人柄を気に入ってしまい…。
逃げ道がますます塞がれていくアイリスなのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。アイリスの父視点での話を第4話として、2/1に投稿予定です。良かったら、そちらもよろしくお願いします。