表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いせてん!  作者: 遊路
7/32

第七話 常識的に考えて

常識って大事ですよね。




「さて、それじゃあ。前の時間で小隊を組んだと思うが、そのメンバーで固まって並んでくれ。」


 マリー教官が着替えて戻ってそう言ったが、組まれていないので皆はざわつく。


「教官殿!発言よろしいでしょうか!」


 エリックがビシッ!と手をあげる。


「お、おう。なんだ?」


「先ほど教官が小隊を組んだと言われましたが、前の座学の時間ではそのような話はありませんでした!」


「へ?」


 マリー教官は唖然とした顔をしたが、すぐにあっとした顔をして思い至ったようだ。頭を抱えながら「あいつは・・・」とつぶやいた。


「そうか。だいたい分かった。あのばかエルフがやらかしたようなので、今から自己紹介と小隊を組んでもらう。」


 どうやら。サリバン教官ののろけ話や娘の愚痴はよくある事らしい。年上で先輩教官のはずだがばか呼ばわりされている。しょうがないよね。親ばかなのは確かだし、バカップルも確かのようだし。否定のしようがないよね。


「ええっと。ユーロといいます。苗字はありません。特技は・・・魔法かな?今のところ生活魔法しか使えませんが伸ばせていけたらと思っています。」


 そんな感じで、自己紹介は終わった。え?なんでお前だけ?だって、他の人達の自己紹介とか面倒じゃないですか。必要なのは小隊メンバーくらいじゃない?一年間、寮の部屋も一緒になるわけだし。ああ、士官学校から寮制になった。5年前に母が再婚をして色々と気まずかったが、ようやく解放されたな。まあ、母もまだ若いからね。父が戦死して6年も我慢したんだから良いんじゃないかと、私から言ってあげたし。祖母に睨まれたけど、祖母も再婚したらよかったじゃない。ああ、残念ながら妹や弟は無理なようだ。前世で流産を繰り返すと不妊症になるとか聞いたことがあるような気がするのでたぶんそれだろう。新しい父は前の妻との間に子供がいるが前妻が病気で亡くなった時に向こうの両親に引き取られたらしい。ので、子供が出来ない事にはなんら問題もなく再婚が決まったらしい。病気って魔法で治せるんじゃね?と思ったのだが、さすがに聞けなかった。すでに亡くなってしまったのに実は治せたとか分かったら、なんか気まずいだろうし。


 それでだ。自己紹介の後、小隊を決めようとなったのだが、一年間ずっと一緒となると色々と悩ましい所だ。あ、もちろん女性陣は女性陣で組まれるよ?どこかのラノベみたいにハーレム状態になるとか、男女半々で組むとか無いから。普通ないから。常識的に考えて。ありえないから!士官学校で妊娠出産とかあったら、問題になるよね。前世でも割と問題だったのだが、なんで良く聞く話だったんだろう・・・共学だったんだけどな・・・彼女とか出来たことないや・・・生まれ変わったから頑張るけど、卒業してからだな!わずか一年なので恋愛にうつつを抜かしていたら、親衛隊とか絶対無理だし。皇太后様の希望だからねぇ。全力で取り組まないと祖母に何をされるかわからない。


「なんだ。なんだ。お前ら、小隊組みにくいのか?」


 しばらくざわついていると、マリー教官がニヤニヤしながら聞いて来た。


「しかたないなぁ。それじゃあ、今からお互いの実力を知る為に総当たりでの模擬戦をする!」


 な、なんだってー!?という感じでみんな驚く。私はまあ。教官がひとりで打ち込みしている時からなんとなく戦闘狂っぽいよね。と察していたので、こうなるかもなとは思っていた。


「互いを知れば、組みやすくなるだろう。できれば、順位をつけたいな。上から二人、下から二人で一組作るとバランスが良くなるだろう。まあ、終わった後にどうするか決めても良いからとりあえず始めるぞ!あと、安心しろ。今日はこの後もずっと実技訓練だ。時間はたっぷりある。二十人の総当たり戦なら今日中に終わるはずだから、寮に戻る前には小隊が決められるぞ。なんせ、一年間ともに寝起きする仲間だ。早めに決めて、早めに仲良くなってもらわないとな。男女共に。」


ん?男女共に?どういう意味だ?


「教官殿!発言よろしいでしょうか!」


「お、おう。エリックだったか、またお前か。なんだ?」


「男女共にとはどういうことでありますか!」


 お、エリック君。ナイス質問。


「ん?どういうことって、寮は男女混合だからな。小隊も男女混合でいいんじゃないのか?」


 な、なんだってーーーー!!さすがに私もそれは予測してなかった。寮は一緒だったとしても、さすがに男女混同の小隊はまずくね?学生結婚フラグじゃね?いや、数はあわないからあぶれる可能性のほうが高いか・・・


「きょ、教官殿!教官殿の時も男女混合だったのでありますか!」


「いや、別々だったよ?」


 全員ずっこけたのは言うまでもない。マリー教官のただの思い付きで、士官学校では男女混合で小隊を組むのが当たり前ってわけではないようだ。そして、マリー教官は女子全員に無理です!と迫られて、男女混合小隊はありえないこととなった。まあ、さすがにね。思春期の女子には色々男子に知られたくないことがあるだろうからね。男子側も残念がる奴よりもほっとしている奴のほうが多かった。私もほっとしたかな。だってね。朝の自然現象とか疲れた時の自然現象とかを見られたら嫌じゃない?ん?何の話かって?女の子なら知らないままでいいですよ?男の子なら、そのうち分かるから。




一瞬、男女混合もありかな?と思った結果。常識的に考えました(`・ω・´)キリッ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ