第六話 自己紹介って教官だけですか?
説明文と思っていた部分は、割と普通なのだと今日読んだ文庫で思い出した。最近Web小説のラノベばっかり読んでいたので、会話少ない=説明回だと錯覚していました。
結局、第一回目の座学はサリバン教官ののろけと娘の愚痴と相談で終った。もちろん、相談されても誰も答えようがないので、相談をしてから我に返ったサリバン教官は真っ赤になりながら教官室へ戻って行った。自己紹介どうするんだ?まあ、サリバン教官がマシューという名前の今年八十五歳になるエルフって事だけは分かったが。彼曰く、エルフではまだまだ若手らしい。
座学の時間は30分で30分休憩して鐘が鳴ったら、次の座学という感じだ。休憩時間が長いのは訓練の時の移動時間なども含めてあるからと、黒板に書かれたことを木の板に書き写すためだ。どうやら、紙はまだ高いので貴族でもおいそれと使えないようだ。別に木の板に彫るわけではない。筆はある。墨は硯でするじゃなくて、インク壷のような墨壷から墨を付けて書くか、魔法で文字を焼き写すかだ。私は魔法で焼き写しているが、周りは墨率が高い。そういえば、幼年学校の時は黒板の字を写すという作業がほとんどなかったなぁ。
この国では時計はまだ日時計くらいで、一般的ではない。では、どやって皆が時間を知るかというと、教会が三時間ごとに鳴らす鐘と日の傾きを見てという感じだ。朝六時から三時間ごとに全部で5回しかならない。なので、夕方の六時以降は時間がさっぱりわからなくなる。月は見えるけど、二つあって、遅いのと早いのと別れているため良く分からなくなる。なので、皆は夕方六時を過ぎたら家に帰るというのが当たり前になっている。それを過ぎたら、いつまで仕事をすれば良いのか分からなくなるからね。残業はしないのである。素晴らしいね!
休憩時間はさっきの座学でざわついているが、まだ自己紹介も済ませていないので前からの知り合いと話すくらいしかしている人たちしかいないようだ。友達になろうぜ!とかいう軽い友人とかはそうそう居ないのである。友達になってよ!という女の子なぞ幻想だ!そもそも、この班には女子は8人しかいない。私の前の席の子は貴重だ。目の保養的に。恋愛?何それ美味いの?いやいや、中身おっさんよ?十代の女の子とか恋愛対象外。子供と恋愛とかないわー。
次の時間はあれ?座学じゃないみたいだな。ということは移動か、えっと剣武場に行くのか。休憩時間がいつ終わるか分からないので、移動しておくかな。そのうち感覚で分かるようになるのかねぇ。たしか、着替えなくていいんだっけかな。実技訓練の教官はたしか別だったはずだ。また、サリバン教官だとさすがに気まずい空気が流れるだろうな。幼年学校の娘さんが知ったら、サリバン教官は立ち直れなくなることであろう。
剣武場は剣術を訓練する場で、幼年学校の時のように個人の剣技を磨くわけではなく。四人一組の連携訓練をするというのは入校式の時に軽く説明していた。さて、どんな人が教官だろう。サリバン教官みたいな人じゃないと良いな・・・
剣武場に入ると、すでに誰かいるようで、木で出来た人型の的に木剣を打ち込んでいた。なんか身長が小さいな。女の子かな?なんとなしに、近づいてみてみるとやはり女性だ。赤毛の150センチくらいの女の子が結構激しく打ち込みをしている。凄いなぁ。先輩かな?でも、士官学校って一年だけですぐに軍に配属されるはずだから・・・もしかして教官かな?なんか、ゆっさゆっさと揺れている。何がとはあえて言うまい。あんまり見過ぎてもアレなので、入り口付近に戻る事にする。う~ん。あの身長もしかしてドワーフなのかなぁ。明確な種族間の違いがないので、本人が言わない限り分からない場合が多い。ドワーフ並みに身長の低い人間もいるからね。見た目の違いは分からないけど、ドワーフは腕力が人間の倍以上あるらしいので、うかつにドワーフの女性を怒らせると大変なことになるらしい。【小さい女にはナンパをするな】という格言みたいなのがあるくらいだ。ドワーフの女性はチャライ男が大嫌いで、ナンパなんかした日には文字通りぶっ飛ばされるらしい。なぜチャライ男が嫌いなのかは、ドワーフの男性にチャライやつが多いからという話だが、どうなんだろうね。まだ、ドワーフの男性には関わったことがない。市場とかでみかけることはあるけど。ドワーフの女性なら、保育所の時に保育士に居たんだが。背の低い女性が子供たちを二十人近く抱え上げて移動しているのは圧巻だったな・・・
しばらくすると、他の面々が剣武場に入ってきて、少し騒がしくなる。その音に気が付いたのか、木剣の音が止まって、先ほどの女性がこっちにタオルで顔を拭きながら近づいてきた。うん。汗で上着が張り付いて、ただでさえ大きな何が強調されまくっている。案の定それをみた男子たちが若干前屈みになる。なんで前屈みになったのか分からない子はご両親に聞いてみて下さい。娘にそれを聞かれた父親が慌てるとは思うけど。
「みな集まったか、少し早いな。ちょっと、着替えてくるが。おっと、先に自己紹介をしておく。私が第一班の実技教官のマリアンヌ・カイデスだ。マリー教官と呼べ。歳は二十三になるので皆と近いが、経験はそれなりに積んでいるから、侮ると痛い目を見ることになるので、私の前で軽口は言うなよ?」
男子が目をそらしているのは、マリー教官を恐れてではないのだが、それに気が付かず何か満足げにして去っていく。後で教えてあげたほうが良いのだろうか。いや、下手に教えて意識されたら目の保養,もとい訓練に支障をきたすだろうから黙っておこう。うん、そうしよう。皆がざわついている。もちろんマリー教官の何の話で。え?何って何かって?それは教えられないな!言わずもながってやつだ!
主人公の席は二列目の最後尾だと言ったな?あれは嘘だ。
十番言うてるのに八番の席に座るという状態に気が付いたので、二十番にして窓際最後尾に修正?訂正?改編?しました。