第二十話 遺跡調査
えっとだ。ドジっ子とは聞いていたが・・・ケイトさん!転び過ぎです!しかも何もない所で!自分の足に引っかかるって、どんだけっすか!!最初は心配していた面々ももはや手を貸すのは私だけになっているし!一番年下で新米だから新米担当なとか理不尽だ!まあ、時々ケイトさんが私に向かって転んで胸が当たるので、良しとしとこう!でも、彼女にしたら疲れるタイプだよね。
優しくし過ぎて、惚れられないように気をつけよう。え?自信過剰?いやね。前例があるんですよ。最初の頃、アッシュ君がケイトさんを助けていたんだけど、アッシュ君が優しくしていたら、顔を赤らめて上目づかいをしながら「彼女いるんですか?」って聞いて、「え?いますけど?」と答えられてケイトさんが膝をついてがっくしと、非常にわかりやすい落ち込み方をしていたんですよね。
はやくも、こちらをチラチラ見て、意識し始めている模様のケイトさんからちょっと距離を保ちつつ遺跡調査を進めていくと、部屋のドアから土砂がはみ出しているのを見つけた。この遺跡は地下に造られた物じゃなくて、もとは地上にあったものなんかも知れない。窓から土砂が入って溢れているのだと思われる。どれだけの年月が経ったものなのか全然わからない。壁はところどころ新築のように綺麗なのがより一層わからなくさせている。なんか本や石碑のような物が残っていたら良いのだが。まあ、今は地図作成に集中しないと・・・あれ?物凄く前世で見覚えのある物を廊下の突き当たりに見つけた。
「あの、ユーロさん。待ってくださいよぉぉぉ。あいたっ!」
後ろのほうでまたこけているケイトさんはとりあえず置いておこう。あれって・・・
廊下の突き当たりに進み確認してみると、やっぱりだ。これってエレベーターだよな?そう思いながらドアの横にあるボタンを押してみる。まあ、動くわけがないが・・・
ウィィィィンと音がする。え?動くの?
「一階、神殿エリアです。」
ドアが開いたら音声案内まで付いているし!そして、この階って神殿エリアだったんだ!
「お~い。ユーロ。どうしたー?ケイトさんが泣きながらユーロが冷たいって訴えて来たぞー!」
おい。何しているんだよ!ケイトさん!私が無視するからって今度はアントニオ先輩に標的を変える気か!でも、アントニオ先輩も距離を置いているぞ!ケイトさんが近づくたびに距離を置き、ケイトさんが近づき、距離を置きという感じで結局こっちに歩いてくるアントニオ先輩。あ、ケイトさんが涙目になっている。名前が似ている縁でケントさん付き合ってやれよ!とアイコンタクトしたら、無理無理俺貧乳派だからとジェスチャーで返してきた。ケントさんロリコンだったんだ・・・付き合い方を考えないとな・・・え?差別じゃないよ?区別だよ?
「そんで、何しているんだ?そんな隅で。」
「あ、あのですね。エレ・・・」
エレベーターじゃわからないか。えっと。
「昇降機を見つけました。」
「な、なんだってー!」
アントニオ先輩。そのネタどこで覚えたんですかね?すっごく棒読みなんですけど。
とりあえず。昇降機を使うのは報告してからということになり、西側のエリアの地図が完成したので一旦戻ることになった。ケイトさんは相変らず何もない所でこけるので帰りは手を引いてあげたら、なんか赤い顔をしているが、見ないでおこう。目を見たらヤバい気がするんだ。
遺跡内の地図が一部完成した。地図作成を終えた一階部分は昇降機の音声案内の通り、神殿になっているようだ。中央に大広間があり、入り口側の両側に一部屋ずつ、北側・東側・西側の建物外側に部屋が三部屋ずつあるが、すべて土砂で埋まっているそうだ。内側は東側と西側に三部屋ずつあるので、明日はそこと昇降機の先の地図作成というわけだ。
というか、まだ正午前なんだけどな。やろうと思えば、一階の部屋の調査まで出来そうなのだが・・・という疑問を顔に出していたら、メリル隊長が口パクで「あ・せ・ら・な・い」としてきた。うん。調査が早く終わったら、休暇も早く終わっちゃうからね!って、ダメだろ!そもそも、この世界・・・は全部見たことないからわからないが、少なくともこの国で発見される遺跡では罠やモンスターなどは出てこない。せいぜい、土で埋まっているのを掘り出すのが大変なくらいだ。と、図書館の【楽しい遺跡発掘】という本で読んだ。
あ、二日目は昼からカレーでした、まあ、味がカレーってだけで香辛料が同じかどうかまではわからないけどね。




