第二話 お引越し
説明回な感じが続きます。
父ユリウスの戦死が知らされてから一週間が経った。ああ、ちなみにこの世界での一週間はどうやら6日で5週あるらしい。つまり、1ヶ月で30日である。月は1月から12月なので、一年が360日だと思われる。あと、一年を通して気候の変化がないようだ。それはともかく、どうやら父の喪が明けたらしい。母ローザが子供用の椅子に私を座らせるとこれからのことについて話し始めた。
「ユーちゃん。お母さんね。お母さんのお母さん。つまり、あなたのお婆ちゃんのところに行こうと思うの。もちろん、あなたもね。」
「え?この家はどうするの?」
私が3歳児らしくないしゃべり方をするのには母ももう慣れているし、私が大人と変わらないほどの会話をこなすことも知っている。いやね。私に子供のフリとか無理だから。中身おっさんだから。まあ、さすがに中身がおっさんということは伝えてないけどさ。
「この家と畑はお父さんの両親の物だけど、二人とももう亡くなっているし、あの人も居なくなってしまったから・・・」
短い期間だったかも知れないが、この家には父ユリウスとの思い出が詰まっているのだろう。色々こみあげてきたようで母は涙を流した。
「そう。わかった。それでお婆ちゃんってどこに住んでいるの?」
「お婆ちゃんは、帝都で1人暮らしをしているわ。」
ふむ。帝都かぁ。ということはこの国は帝国なのかな?まあ、地理とか歴史などの勉強は全然できてないので置いておくとして、この国一番の都会に行くということの利点としては、教育機関があるだろうし、ひょっとすると図書館なんかもあるかも知れない。でも、まだ文字の勉強はしてないから読めないだろうなぁ。
「それで、いつ行くの?」
「村長さんにこの家と畑を買い取ってもらって、あの人の見舞金を受け取ってからだから、明後日くらいには家を出られるようにしたいわね。」
「ということは、荷物は着替えくらいでいいの?」
「そうね。家具とかも含めて売りに出さないと買い取ってもらえないから。しょうがないけど、例え持っていけたとしても運ぶにもお金がかかるから、売って買い直したほうがお金かからないのよ。それに、母の・・・お婆ちゃんのことだから、私の部屋はそのままにしてあると思うの。」
「そういえば、帝都まで何日くらいかかるの?」
「馬車でそうね。3日で南都に着いて一泊してからだから、早くて7日間くらいかしら。」
6日間は馬車の中かぁ。尻が痛くなりそうだな。なんか尻に敷けるものでも用意しておくかな。
私が生まれたこの村は特に名前がなく南都南村と呼ばれている。南都という中規模都市のさらに南にある小さな農村で、3日に1回は馬車が出ているがかなりの田舎だ。亡き父ユリウスはこの村の生まれで15歳の時に家を飛び出して兵士になり、20歳の時に帝都で警備兵として働いているときに帝都の酒場で看板娘として働いていた17歳の母ローザと出会い。結婚の報告をしに里帰りをしたときに父の両親に子供を育てるなら、帝都よりも田舎のほうが安心だと諭されて村に戻る事にしたそうだ。父の両親は息子が畑を継いでくれることに安心したのか二人が戻ってから1年後に祖父が。その1年後に祖母が亡くなったそうだ。もしかしたら、二人の死のショックで母は流産したかも知れない。どうも時期的に近いし。母ローザはメンタル弱いのか。父ユリウスの死のショックで流産していたし。父ユリウスは母の体が弱いからと思っていたのかな。
家と畑はすんなり買い取ってもらえた。というか、どうやら村長が空き家を管理しているので不動産的なことを兼任しているのかな。なんか、役場的なこともしているようだったし、村長って総合職なのかねぇ。そして、馬車の旅は振動がダイレクトに尻に直撃してくること以外にこれと言って何もなく。治安は良いらしい。モンスター出るのかな?と、ちょっとだけ期待したけれど、特にそれらしい生き物を見ることはなかった。野営も見張りを立てている様子もなく。棒と棒の間を何かがぶら下がっている縄で周りを囲って置くだけだった。動物避けなのかな?母に聞いてみたが、母もアレが動物避けということ以外は知らないそうだ。
途中で一泊した南都は水の都アーウィンという名だそうだ。水路が張り巡らせてあり、船での輸送が前世での記憶のどこかの街と似ている気がした。まあ、日本から出たことがないのでテレビで見たんだろうなぁ。帝都ってこの街よりも大きいだろうから、結構な大きさなんだろうなぁ。といっても、子供の視点だから実はそんなにまで大きくない可能性もあるが。
そこから北に3日間移動したところが帝都だ。本当に治安良いのかな。盗賊とか、山賊とかが出るかもしれないとちょっとだけ警戒していたのだが。母に尋ねてみたら、隣のおっさんが盗賊や山賊等は、昔は居たが50年ほど前から見なくなったらしい。って、おっさんも理由は知らないのかい。
そんなこんなで、異世界に来たにも関わらず。こんなに平和な引越しで良いのか悪いのか良く分からないまま帝都への引越しが完了したのであった。
次回からはきっと、説明が減るはず!わけもないと思います(震え声)
父の両親のところで矛盾点を発見したので改編しました。