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ばいばいを、いいたくない

『ばいばいを、いいたくない』



「なあスワロウテイル姫。教えてくれないか」

レディ・バードが、アゲハに問う。

「お前が隠す本物のお姫様は、今どこにいるんだ?」

「…言いたくありません」

「そう」

アゲハの回答に、レディ・バードの目つきが変わった。


「それならお前はもう、用済みだよ」

『レグルス』が咆哮する。

僕は、瞬時にグラスホッパーの手を掴んだ。

「グラスホッパー、跳べ!」

「了解っ!」


床を蹴ると同時に『レグルス』の元へ到達する。

「あたしのこと、跳ぶしか能がないって言ったわよね、レディ・バード!」

グラスホッパーはそう叫んで、目の前の獅子を蹴り飛ばした。

『レグルス』はそれを見事に脇腹に食らい、彼方に吹っ飛ぶ。


「飛蝗のキック力なめんな!」

呆気に取られるレディ・バードにグラスホッパーは、ざまあみろと言い放った。

「この…乱暴な雛飛蝗めが…!」

「言ってろ、天道虫」


ああ、グラスホッパーってば相当腹を立ててるな。「能がない」発言がかなり頭にきたらしい。そりゃそうか。


「アゲハ、大丈夫か?」

グラスホッパーがレディ・バードと言い合っている間に僕はアゲハを抱き起こす。

「…問題ありません」

アゲハは目を合わせようとしない。

一体なんだってんだよ。


「あのさ、お前…」

「ヒバリさん!」

ドラゴンフライが叫ぶ。

「たかがバンカーごときが、調子に乗るんじゃないよ」

「レディ・バード!」

「『レグルス』、いつまで遊んでるんだ」

グラスホッパーに飛ばされたまま横たわっていた獅子を呼び付ける。起き上がった『レグルス』は一直線にこちらを目指して駆けた。僕はアゲハをかばうように『レグルス』の前に身を乗り出す。


緋色のライオンは、大きく吠え猛り、勢いよく飛び掛かってきた。

もう、格好悪いのはごめんだ。アゲハのことは、僕が守らなくちゃならないのだから。それが約束で、誓いで、僕の責任なのだから。


「アゲハ!『囀唄』返せよ!」

「嫌です!」

迫る『レグルス』に目を向けつつ、アゲハが未だ抱える僕のハネ、『囀唄』の返還を要求する。

「いい加減にしろよ!」

僕の声が、鼓膜を震わす獅子の雄叫びと重なる。

『レグルス』は、眼前で牙を見せていた。

大切なものを取られても、それを無理矢理にでも取り返すことが出来ない。相手は女の子なのに。情けない。


よ、よし。こうなったら素手しかないな!

グラスホッパーだって出来たんだから、僕もこいつに強烈なパンチでも食らわせてやればいいんだ。そう意気込んで拳を握る。

さあ来い!


獅子が吹っ飛ぶシュミレーションまでもバッチリ脳内再生されていた。

…のに、レディ・バードの『レグルス』に、僕の強烈パンチが当たることはなかった。

何故ならば。

僕がパンチを繰り出す前に、獅子が倒れたからだ。


「あれ?」

思わず、拍子抜けな声が出る。獅子が倒れた向こう側、僕の目線の先、レディ・バードの背後にはドラゴンフライが立っていた。


「僕のこと、忘れてません?」


いじけてもいないのにそれっぽく拗ねる、嫌な笑みを浮かべたドラゴンフライだ。

「ヒバリさんには良く、無音で背後に立つなとは言われるんですけどね」

『リベレ・リベル』の切り裂く力を『レグルス』に放ったために、それを食らった獅子は倒れたのだろう。ドラゴンフライに気付いたレディ・バードは距離を取り、向き合う陣形となる。

ドラゴンフライは、間合いを詰めるように一歩、踏み出す。

「どこかの国では蜻蛉は不吉の象徴で」

話しながら、徐々に近付いていく。

「その翅に触れると切り裂かれてしまうという迷信があるそうですよ」

にこり、と笑いかける。


「なにが、言いたいんだ」

レディ・バードは、ドラゴンフライの意味深な物言いに苛立っているようだった。

「故に僕のハネは、空気を切り裂く」


『リベレ・リベル』の、風。

「かまいたち、って知ってます?旋風の中心に生まれた真空が、肌を切り裂くんです」

それが、レディ・バードを包み、襲い掛かった。

「僕の、ハネの力ですよ」


ドラゴンフライの風が、レディ・バードの頬に傷を付ける。

「くっ…」

「ああ、そうそう。どこかの国では蜻蛉は勝ち虫として、縁起物なんだそうです」

「それがなんだと言うんだ!」

くだらないことを言うなと、声を荒げる。


「解らないんですか?僕がいるかぎり、バンカーはあなたには決して負けないということだ」

ドラゴンフライが、見下げる目をレディ・バードに向けた。


これでも、ドラゴンフライは全力じゃない。彼の『リベレ・リベル』の本来の力は『変身能力』。

〝ドラゴンフライ〟の名の由来とする、翼と爪と蛇の尾を持つ銀色の竜に姿を変える。かまいたちはその付属にすぎない。完全解放した後の風は、今の比ではないのだろう。


「さて、どうします?お望みならば、本気を出しますが」

これだけ『リベレ・リベル』の切り裂く力を使うことも、なかなかないだろう。ドラゴンフライは満足そうに、微笑んだ。

それでもレディ・バードは一呼吸置き、それがなんだと一蹴する。


「私を退かせたいのなら、もっと腕を磨くんだね」

こんなものではまだまだだと言いながら、頬を伝う血を袖で拭う。

「そんなこと言って、もう十分にやられてるじゃないの」

強がっても無駄だと、グラスホッパーが反論した。


「はっ、誰がやられてるって?」

レディ・バードは高飛車に、笑う。

「危ない、グラスホッパー!」

ハナバチが叫び、グラスホッパーを突き飛ばした。


「きゃ!」

反動で倒れた二人の頭上を、『レグルス』が跳んで行った。もう僅か遅かったら、レディ・バードの獅子はグラスホッパーに直撃していただろう。

「あ、ありがとう、ハナバチ」

「いや…」

ハナバチは『レグルス』に目を向けたまま。

そして、まずい、と零した。

「ハネツールが、太陽の手元に戻った」


「え」

獅子を具現化するときに床に落とした拳銃。今は『レグルス』がくわえている。忠実なハネが、落ちたままだったそれを拾い、主人の元に返した。


「もう一度聞くけれど」

右手と左手。ハネツールの装填された拳銃を構えるレディ・バード。

「誰が、やられてるって?」

息を飲む。


「私はただ、自分のハネのことを考えているだけだよ」

引き金に指をかけたまま、歩みを進める。

「おまえたちもそうだろう。ハネが欠けたら、修復したいと思うだろう?同じことだよ」

この、天井も壁も判らないような部屋の、どこに反響しているのだろう足音が、やけに大きく聴覚を刺激する。


「私の場合そのために、『レグルス・コル・レオニス』の親とも言える王族のハネを手に入れたいだけなんだ」


足を、止めた。

僕とレディ・バードが、向き合う格好になる。

「教えてもらおうか。本物は、どこだ」

感情の読み取れない紅い目が、僕を見ていた。

それだけで、嫌な汗が背中を伝う。


「だ…誰が言うかよ」

「いつまで強がれるか」

銃口を、向けられる。

「言わない。アゲハが言わなかったことを、僕が言うわけにはいかない」

自分の中の情けない部分を全部抑えて真っ直ぐ、レディ・バードを見据えた。

僕の態度にレディ・バードは怒りをあらわにする。


銃声が、鳴り響いた。


つんざく音は、頭の中でいつまでも響く。

だけど、視覚は全く違う状況を見せていた。グラスホッパーが、僕を助けたんだ。


「今度はちゃんと、跳ねられた」

グラスホッパーは安堵の表情を浮かべる。息を一つ、深く吐いて、胸を撫で下ろす。

レディ・バードが引き金を引いたその直後、グラスホッパーは僕の元に跳び、そして僕を連れて離れた場所に再び跳んだ。

ほんの、一瞬で。


「ハナバチが、ハネツールの軌道を『ミツバチネットワーク』で先読みしてくれて」

それでなんとか間に合った、と。

「グラスホッパーの速さがなければできなかったから」

君の実力であると、傍らのハナバチが言う。


「ああ…二人とも、ありがとう」

そうしてくれなかったら、助けてもらわなかったら、確実に食らっていた。

「アゲハは」

「アゲハ様はまだレディ・バードの『結び』のハネに縛られていて」

一緒には助けられなかったと苦い顔をしながら答えるハナバチ。グラスホッパーは、目線を落とした。

「アゲハ姫はドラゴンフライが」

そう言いながら指をさす。

アゲハのいるほう、さっきまで僕もいた場所。今はそこに、ドラゴンフライがいた。片膝をついて。


「ドラゴンフライ?」

少し、状況が掴めない。

奴が押されているように見えるけど?

レディ・バードが、ドラゴンフライに銃口を向けている。

「ほう。それに当たらないくらいの抵抗はできたのか」

アゲハのことを指して言う。

僕が、グラスホッパーに連れられて跳んだ直後に、ドラゴンフライが割り込んで、レディ・バードの放ったハネツールに『リベレ・リベル』を使ったんだと、思う。


それなのになんで、あいつが押されてるみたいな状況になってるんだ?傷も負っているし。

さっきは、『リベレ・リベル』でハネツールの力を切り裂いて、無効化したじゃないか。

「ヒバリくん。太陽は、風を放ったんだ」

「風?」

ドラゴンフライの切り裂く力と同じ、『風』のハネツール。


「風と風なら、相打ちになる」

レディ・バードが右手の銃から放った、風。それにドラゴンフライの風が打ち消されたのか。

加えて、レディ・バードは拳銃を二丁持っているから。


「どうだった?『水』の威力は」

右手の拳銃からは『風』を放ち、左手の拳銃からは『水』を放って攻撃した。

「『水』も使い方次第で刃となる」

その刃を、ドラゴンフライは真正面から浴びたのだろう。

「お前の力が風ならば、こちらも風をぶつけてやれば気流が変わる。もう、私に風は当たらないよ」


ドラゴンフライのハネは攻略したと、レディ・バードは笑う。

「本気、出してみるか?…それでも、同じことだ」

ドラゴンフライは顔をしかめた。

「お気に入りの帽子だったんですけどね」

攻撃を受けて裂かれたシルクハットを見遣る。

ドラゴンフライのアイデンティティでもあるそれは、『風』のハネツールによって飛ばされ、距離を置いたところに落ちていた。


「それはそれは。お前の嫌がることが出来たのなら嬉しい限りだよ」

「一つ、聞いてもいいですか?」

「なんだ」

「何故、アゲハ姫が影武者だと、知っているんですか。僕らの誰も、知らない事実なのに」


この十年間、スワロウテイル姫が存在しないという事実は、しっかりと隠されていた。国民の多くが、と言うか、全員と言っていいくらいの人々が、今も知り得ない事実。


それなのに、何故、レディ・バードは知っているのか。

レディ・バードは嘲笑って口元を緩める。

「簡単な話だ。無知なお前たちのために、特別に答えてやるとしよう」

その紅い目を、アゲハに向ける。


「太陽の一族にハネを分け与えた王家の者は皆、黄金色の髪を持っていた。それのような、闇色の髪の者が王族であるはずがない」

十年前の、姫君の五歳の誕生日を祝う式典。

そこで目にしてから、スワロウテイル姫が偽者であることに気づいていたのだと、ドラゴンフライの問いに対して太陽は答えた。


「さあ、言ったはずだよ。私を煩わせると、どうなるか知れないと」

照準を、アゲハに定める。

「言え。黄金色の髪の姫君はどこだ」


「…そんな人、どこにもいませんよ」

アゲハが口を開いた。

「どなたを探しているのか知りませんが、この国にお姫様はいないんです」

強い意志を持った目で見据える。

レディ・バードは怒りに任せて引き金を引いた。


「ドラゴンフライさん!」

それを、ドラゴンフライがかばう。

『リベレ・リベル』の風は使ったみたいだけど、さっきと同じように相殺されてしまったようだ。ハネツールの力を受けて倒れ込む。

「お前が本物を隠しているのは判ってるんだ。言え。何号車のどいつが本物なんだ。でないと夜行列車すべてを襲うことになるぞ」

そう脅すも、アゲハは揺るがない。


「何号車にも、いません。あなたは、間違えているんです」

『囀唄』を握る手に力を込める。

「そんなに王族を狙いたいのなら、王様を狙えばいいじゃないですか。アゲハ、王様好きじゃないんです。ヒバリをいつも、縛り付けるから。」


だからどうぞ、痛め付けてあげてくださいと、しれっとした表情で言い放った。

「はっ、国王じゃ、駄目なんだよ」

レディ・バードは否定する。

「国王は、太陽の一族にハネを分け与えた者の直系じゃない。直系は、王妃のほうだった」

その王妃は随分前に、自らの意志でハネをなくした。


今はもう、ハネを持たない。ハネ使いでない、ただの人。

「今や『レグルス・コル・レオニス』を完全に出来るのは王妃の子…姫君しかいないんだよ」

「残念でしたね。そんなお姫様もどこにもいません」


アゲハは繰り返した。

それは再び、レディ・バードの感情を逆撫でる。

「撃ちますか?いいですね、ハネツールは便利で。いっそ、ハネを完全なものにすることなんて止めて、ハネツールマスターさんにでもなったらいかがですか」

「お前になにが解るんだ!」

「解りませんよ、なにも。誰かを傷つけなくちゃ手に入らないハネなら、アゲハは失うことを選びますから」


迷わず捨ててやる、と。

「お前は、本当にハネを失ってしまう恐怖を知らないからそう言えるんだよ」

「王妃様はそうでした」

レディ・バードの零した一言に、アゲハは答える。少しも譲ることのない、臆することのない強い意志を持った言葉。

「王妃様は、自分のハネが誰かのハネを奪ってしまうことを憂いで自ら切り離すことを選ばれたんです」


だから、自分もきっとその道を選ぶ、と。『囀唄』を抱え込んで、そう言った。

言葉と行動の流れに必然性を感じて、レディ・バードはふと、疑問を口にする。

「そのハネは、ヒバリのものなのだろう?」

レディ・バードが、『囀唄』を指して言う。

「大切そうに抱えて、なにか意味でもあるのか」


ん?なんだ。レディ・バードが『囀唄』を僕から奪うように指示したわけじゃないのか?

「アゲハの、護身用ですよ」

アゲハはそう答えるが、それは事実とは違う。護身用ならハネツールがある。わざわざ僕のハネを奪う必要はない。

「私の貴重な『移動』のハネツールを使ってまで手に入れたかったものだろう?まさか理由が護身用というだけではあるまい」

「それだけですよ。あえて言うのなら、ヒバリはいつもアゲハに意地が悪いので、仕返ししてやりたかったんです」

実際、向こうの戦力も減らせてちょうどよかったではないか、と言う。

「なに言ってるんだよ、アゲハ。こんなときに!」

意地悪だとかなんだとか、この状況でよくもまあ!


「ああもう、とにかくアゲハ!意地張ってないで早くそれを僕に返せ」

再三の返還の要求にも応じない上に意地悪がどうのって、さすがの僕もうんざりだよ!

「意地なんか張ってません!思いっきりアゲハの意志なんです!」

「だから、それが意地張ってるって言うんだ!」

うぜえ!

なんて聞き分けがないんだ!アゲハの奴、どう転んでも『囀唄』抱えて離さないつもりか。

「お前たちは、この期に及んでよく痴話喧嘩などしていられるな」

レディ・バードが、そんな僕らの争いを楽しそうに笑って傍観してる。あーむかつく!


「うるさいんだよ、もう!なにも知らないくせに!」

八つ当たりをした。

うん。完全な八つ当たりだってことは解っている。


でも、アゲハが『囀唄』を僕から奪って行った本当の理由を、レディ・バードが未だ知らないのだとしたら。それに気づかれる前に、なんとしても取り返さなくては。

「では。なにも知らないなりの対応をさせてもらうよ」

レディ・バードが傍らの『レグルス』に命じる。

「あの、青條揚羽の翅をもいでおやりなさい」


『レグルス』が吠える。

そして、主人の命令に従い、アゲハを目掛けて駆け出した。

「私は、お前たちのことなど知ったことではない。興味がない。だからどれほど傷つこうが構わない」

笑みを、浮かべる。


「アゲハ!」

ドラゴンフライは手負いだし、僕もなんとかして『囀唄』を取り返したい。

…とか言う理屈っぽい説明は実際どうでもよくって、とにかく僕はアゲハの元に走った。


間に合うか…!

ああ、グラスホッパーに跳んでもらえばよかったんだ。今更なミスが頭を過ぎりつつも、大して速くない足で走る。

ドラゴンフライだって、獅子を退けるためにハネを使う心積もりだろうけれど、あいつにばっかり格好いいことさせてたまるか!

あと僅か、でも時間が足りない、といった距離のところで。


『レグルス』は苦しみだし、その場に倒れた。

「へ?」

またかよ!

また僕なにもしてないんですけど!

今度はなんだよ!

十分な疑いの目を持ってドラゴンフライを見る。あれ?ドラゴンフライも状況が掴めてない顔してるな。アゲハも同様に判ってない。レディ・バードも、当然。

ならば、と振り返る。

グラスホッパーと、ハナバチ。


「僕の『蜜蜂』が、お前の『獅子』に面貸せってさ」


ハナバチはそう言って、笑みを浮かべた。

「私の獅子に、なにをした」

レディ・バードがハナバチを睨みつける。

すう、と一呼吸。それからハナバチは口許を緩めたまま続けた。


「アミン類ヒスタミン、ドパミン、ノルエピネフリン、ポリアミン、細胞膜作動性ペプチドメリチン、アパミン、MCDペプチド、高分子タンパク質ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ヒアルロニダーゼ…それらを成分としたそれは毒のカクテルと呼ばれる」

そこまで言ってハナバチは、知らない?と小首を傾げた。


「蜂毒による、アナフィラキシー反応だよ」


言って、お前のハネが生き物の姿をしていたことが災いした、と添える。

「お前の蜜蜂ごときが私の獅子に歯向かうなど、小癪な真似をしてくれる」

予想していなかった反撃に、レディ・バードは苛立つ。

「確かに『ミツバチネットワーク』は戦闘に向かない。でも、まあ使いようだよね」


「蜜蜂の針は返し棘があるんだろう?針を使えば蜜蜂は死ぬ。捨て身の攻撃だなんて、可哀相なことをさせるんだね」

レディ・バードが苦々しそうに言えば、ハナバチはそれを鼻で笑った。

「人の『蜜蜂』握り潰しといてよく言うよ。返し棘を知ってるなら忠告の必要はないと思うけど、僕の『蜜蜂』の針、無理に抜こうとすると、尚のこと毒がまわるから」


気をつけたほうがいい、と。

「それでも所詮、蜜蜂の毒だろう?大したことなど…」

「そうだね。蜜蜂の毒は、例えば雀蜂ほどは強くない。だけど、僕の『蜜蜂』は対ハネ用に蜂毒を強化してある。しばらく獅子は、戦えないだろうな」


太陽の戦力が欠けた。

僕たちにしてみれば、有利な一歩だ。

そんな隠し技があるなら、さっさと使えと言いたいところだけど、口には出さないでおこう。どう返されるか、怖いのは目に見えている。それに、なによりきっと、使わなかったのはハナバチのプライドだ。恐らくこの裏技には協力者かいる。ハナバチはその人物の力を借りることを良しとしていないし、出来れば使いたくはない切り札であったのだろう。


だから、出し惜しんだ。


「教えてもらわなかった?蜜蜂に攻撃すれば、仲間が仕返しにくるって。蜜蜂は仲間意識が強いから」

ハナバチはその目を、『レグルス』に向けた。

「お前が潰した仲間の痛みを、お前の獅子に味わわせてやる」

ハナバチがレディ・バードを冷ややかに、でも鋭く見据える。


ああ。あの時、あれは、打ちひしがれていたんじゃなくて、どう仕返しをしてやろうかと怒りに震えていたのかな。


ハナバチの逆鱗に触れたら、僕も刺されそうだ。それは、嫌だな。

「賭けみたいな反撃方法だったんだけど…ツイてなかったね、一度目でアナフィラキシーを起こすだなんて。それとも前に、蜜蜂に刺されたことがあるの?」

「非力な蜜蜂のくせに…!」

「非力だから蜂がるんだよ。一人でしかないお前には、到底考えられもしないことだろうけど」


ハナバチが、『レグルス』を戦線から離脱させてくれた。

後は、レディ・バードの持つハネツール。

あの、二丁拳銃を、なんとかしなくては。

「馬鹿にするな!」

レディ・バードはその銃口を、アゲハに向ける。


対象の行動を特定範囲に制限せる『結び』のハネ。それのハネツールによって、アゲハは未だその場から動けない。

この中で一番の弱者を狙うだなんて、やっぱりレディ・バードは悪だね。悪でしかないんだね。


じゃあ、もう。終わりにしよう。

ミッドナイト王国は平和な国。

悪はいらないし、もっと言ったら正義の味方もいらない。みんな仲良く、夜行列車に揺られてるのが一番似合ってるんだよ。


銃声と共に放たれた『雷』のハネツールがアゲハに向かって直進する。

僕は、目一杯、叫んだ。


「アゲハ!『囀唄』を抜け!」

僕のハネは具現する性質を持つ。

その刀は、誰にでも持てるし扱える。鞘から抜くことも、容易だ。


まだ、大丈夫。まだ僕の魔法の力は尽きていない。具現を、保っていられる。だから、アゲハでも使える。アゲハは『囀唄』の力を知ってる。使いかたも、解るはずだ。

こればかりは意地を張らずに、どうか僕の言うことを聞いてくれ。『囀唄』を抜けば、レディ・バードの放った『雷』のハネツールから身を守れる。


祈る気持ちと、うるさく響く鼓動。

ああ、そうか。こういう時、場景はスローモーションに流れるんだな。だとか、くだらない納得をしていたところで。


「後悔しても、言い訳は聞きませんからね」

自分は一切、責任を負わないとアゲハが一言。

その言葉に次いで、アゲハは『囀唄』を、抜いた。


僕でも久しく見ていない刀身。

『雷』のハネの光を受けて、眩しく瞬いている。


アゲハは『囀唄』を両手で構える。そして、放たれたハネツールを寸断するように、払った。

瞬間、ハネツールは消え去る。


鳥の囀りが、聞こえた気がした。


ころん、と硝子細工のように姿を変えた『雷』が、その場に転がる。

「…なに」

ほんの、僅かな時間の出来事。まさしく、あっという間。自らの放った『雷』が消えたことに、目を疑うレディ・バード。


「なにが、起きたと言うんだ」

信じられないのも無理はない。僕が『囀唄』を人前で抜くことなんてないんだから。

当然、その能力は公に知られない。

「僕のハネは」

口を、開く。

状況の掴めていないレディ・バードに、向き合って。


「ハネの力を、斬り離す。…お前の『レグルス・コル・レオニス』に、よく似たハネだよ」


だから、本当は、抜きたくなかったのかもしれない。


「お前…それは護身用じゃなかったのか」

レディ・バードは頭の中を整えながら、アゲハに問いを投げかける。

アゲハは『囀唄』で『結び』のハネを切り離した。それから、ゆっくりと立ち上がり、レディ・バードを見遣る。


「護身用ですよ。だけど、持ち出した本質はそこではありません」

右手に『囀唄』携えたまま。

「あなたが今、行き当たった仮説の、九割は正しいと思います」

そう言ってアゲハは微笑んだ。『リベレ・リベル』の部屋に来て…いや、僕の『囀唄』を奪う前、ハネバンクで別れてからか。それ以来の笑顔だ。


「ならば…」

アゲハが九割正しいだろうと言った仮説が、信じられないのだろうレディ・バードは、その表情を振り返って僕に向ける。

「それならば…!」

両手の銃口の照準を、僕に定めた。そのまま、引き金を引く。


「『囀唄』を投げろ!アゲハ」

ハネツールが放たれる寸前、僕は叫ぶ。

アゲハは僕の要求に応えて、僕を目掛けて、『囀唄』を勢いよくぶん投げた。

右手に持っていたときの状態で。

「ふざけんな、アゲハ!鞘に収めろって!」

ばかだな、危ないじゃないか!


焦る。

焦りながらも、手を伸ばす。上手くキャッチ出来なかったら、大怪我するな、僕。

「ヒバリくん!そのまま二センチ右にずらして〇・三秒後に握って!」

ハナバチが叫ぶ。『ミツバチネットワーク』による軌道の先読み。有難い。有難いんだがちょっと理解に苦しむところがあります、ハナバチくん!二センチは解るんだけど、〇・三秒後ってなんだ!今か?


ほとんど勘で、宙を握った。

…と思った。でも実際は、伸ばして握った手の中にはしっかり『囀唄』の柄があった。宙じゃなかった。

よかった。大怪我は免れたみたいだ。

その流れのまま、レディ・バードが放ったハネツールに対して『囀唄』を払う。

アゲハがそうしたときのように、ハネツールは硝子細工に姿を変えた。


「全く…。人に向かって躊躇いもなくハネツールで攻撃しまくりやがって…。ハネ屋で買うとき言われるだろ?攻撃性のあるハネは、人に対して使っちゃいけません、ってさ」

『囀唄』を携えて、レディ・バードに向き合う。


「ドラゴンフライ、ハナバチ、グラスホッパー。作戦を、実行します」


ハネバンクで話した作戦。

それを、今。

「はいはい!」

「解りました」

「了解っ!」


それぞれが、ポジションにつく。作戦を知らない、含まれないアゲハは、一歩下がるような体勢を取った。

「ヒバリくん、ちょっと痛むと思うけど」

「は?」

ハナバチが一言、断りを入れたけれど、僕はその断りの意味を理解していない。

そんな、段階で。

『蜜蜂』に刺された。


「痛った!」

「だから言ったじゃないか。痛むと思う、って」

聞いてた?と呆れ顔で溜め息を吐かれた。

「なにがどうで痛むのか言えよ!」

理解する前だったっての!

「まあいいや」

よくないだろ!少なくとも、僕としてはいい要素なんて微塵もないぞ!


「ヒバリくん」

「…はい」

なんだよ。僕は悪くないだろ。

「『遠耳』のハネツール。調子はどう?僕の声は、ちゃんと澄んで聞こえる?」

「…ああ」

あの『蜜蜂』は『遠耳』のハネツールを使うための。


レディ・バードが拳銃で撃つように。

アゲハが弓で射るように。

ハナバチは蜜蜂で刺したのか。

それなら、始めからそう言えよな。

「良好だ。よく聞こえる」


『遠耳』のハネ。

それは遠くの音でも聞き取ることが出来る能力を持つ。

そのハネツールの力で、僕の耳は今、飛躍的に聴力を上げている。集中すれば、聞くべき音の選別も出来る。

ハナバチの声を、指示を、聞き分けられる。

「因みに、その『蜜蜂』はハネツールを打つために少し改良がしてあるので返し棘はありません。捨て身の攻撃ではないので酷くはないです」

「聞いてねえよ」

なんだよ、その説明口調。

酷いか酷くないかで言ったら十分酷い。僕に対して。ほぼ不意打ちで蜂に刺された僕は可哀相だ。


…うん。それが結論だ。

じゃあこの件に関してはこれで完結ってことで。気にしても仕方がないし、今はそれよりも。

「レディ・バード」

僕は、太陽に、言った。


「ハネ狩りは、もう終わりだ」


正確に言えば、始まってもいなかったのかもしれない。

でも、ま。

この『真っ白部屋』で僕らが太陽と戦ったこの時間は、ハネ狩りの一環だろうから。

それを、終わらせよう。

「ハネ狩りは終わらない!私は、『レグルス』を…!」


レディ・バードが声を張り上げる。でもそれは、吹き荒れる強風に掻き消された。

目の前に現れる、銀色のドラゴン。

翼を羽ばたかせる度に、声を響かせる度に、威力を増していく旋風。部屋の中にあるまじき風早。

それが、壁のようにレディ・バードを囲んだ。


やばいな、これは。

『遠耳』がなければ、なにも聞こえないだろう風力。それに風圧。ドラゴンフライの本気って、こんなんなんだ。

「ヒバリちゃん!」

僕がドラゴンフライの銀色に見とれていたら、グラスホッパーに現実に引き戻された。

そうだった。そんな余裕はないんだ。僕は頬を叩いたつもりで気持ちをシャキッとさせる。

『囀唄』をしっかりと握り直して、グラスホッパーの背に乗った。


「跳べ!思いっきり高く!」

グラスホッパーが、床を強く蹴る。一瞬のうちに全体が見渡せるほどの高さにまで跳躍した。

輪になる風の中、頭上を開けて囲まれたレディ・バードが見える。こちらに気づいた太陽は、真上にハネツールを撃った。

「左に十センチで一発目、その後一メートル下降で二発目は避けられる」


ハナバチの指示。

僕はそれをそのままグラスホッパーに伝えて回避した。

「ありがとうグラスホッパー。後は任せろ」

空中で、グラスホッパーの背から降りる。降りる、って言っても落ちる、に近いんだけど。

「うん。頑張って」

グラスホッパーに励まされつつ、僕はレディ・バードが閉じ込められている風の中へと降下した。


「ヒバリくん。左に『雷』、右に『炎』。頭上を『氷』が通過するけど、それは無視して大丈夫だ」

聞こえるまま、その方向に『囀唄』を払う。レディ・バードの撃ち出すハネツールは、硝子細工になって無効化された。


レディ・バードは半ば自棄になって次々とハネツールを撃って来るけれど、ハナバチの『ミツバチネットワーク』は全てを見透かすし、僕の『囀唄』は当たりそうなのは逃さず斬り払う。


太陽は、焦っているみたいだった。

「終わりだよ、レディ・バード」

僕は最後に、太陽が構える二丁拳銃の銃身を斬り離した。

拳銃は形を失って足元に落ちる。レディ・バードは『レグルス』が使えず、これでハネツールも撃てない。


戦う術がない。戦力がない。レディ・バードは反撃することが出来なくなった。


僕らの、勝利だ。


僕が地面に到達する寸前、ドラゴンフライが風で衝撃を緩和させてくれる。僕は、グラスホッパーと違って『速さ』の調節は出来ないから。あの高さから落ちたら、ただじゃ済まないだろう。


レディ・バードは、その場に崩れた。

「私は…」

少し前までの、威風堂々然としていた太陽とは、打って変わった姿だ。

ドラゴンフライの旋風はもう止んでいて、ドラゴンフライ自身も変身は解いている。ハナバチも、グラスホッパーも、へたり込むレディ・バードに目を向ける。


「確かにあなたは強いけど、それだけなのよ」

グラスホッパーは言う。

「強ければいい訳じゃないもの。一人で、なんでもできるなんて過剰もいいところだわ」

それが、太陽の敗因であると。

「お前の敗北でハネ狩りは終了だ」

夜行列車ミッドナイトブルーの、汽笛が鳴った。


ドラゴンフライが、『リベレ・リベル』の空間を解消する。真っ白の部屋は霞み、次第に場所はもといた倉庫車両へと変わった。

「もう少し、頭を冷やしてみるといいよ」

ハナバチが『蜜蜂』を使って『結び』のハネツールをレディ・バードに刺す。

これで太陽は自由を奪われ、行動を制限された。逃げることも、反撃することも、出来ない。


もっとも、『レグルス・コル・レオニス』も、ハネツールも使えなくなった今のレディ・バードに、反撃の術などそう残っちゃいないのだけれど。


…って、ん?ちょっと待て。

その前に。なんか今見過ごせない行動なかったか?

「ハナバチ。お前『結び』のハネツールなんか持ってたわけ?」

さっき、そのハネツールでレディ・バードの行動を制限したよな?それならば、初めからそれを使っていたら、もっと楽に勝てたんじゃ…。


「何言ってるんだよ、ヒバリくん」

溜め息交じりに、ハナバチは否定する。

「そんなの、さっきの戦いに乗じて頂いたに決まってるじゃないか」

「は?」

つまり、どさくさに紛れてレディ・バードのハネツールをパクった、と。

「お前…」


ちゃっかりし過ぎて怖いよ。だけどそれにしたって、奪ったらすぐ使えば良かったじゃないか。

「なんで今になって使うんだよ」

こんな、決着がついてから。

「うるさいな。チャンスを窺ってたんだよ。僕は考えなしのヒバリくんとは違うんだから」

「なんだよ!」


ああ、もう!つくづく敵には回したくないタイプだよな、ハナバチって!

「私は…私はただ『レグルス』を救いたかっただけなんだ」

僕たちのやり取りをよそに、呆然とするレディ・バードがぽつりと呟いた。


誰に伝えるためでもないのだろう、言葉。

「『レグルス』はもう随分と前から徐々に力を弱めていった。他人のハネを奪う能力なんて、疾うの昔に無くしている。具現化が精一杯なんだよ。…夜空の一等星の名を持つハネなのに、すっかり微弱に成り果てて、このままでは消えてしまう」

俯き、声を搾り出すように、紡ぐ。


それは、ハネ狩りの真相。


脅威だと呼ばれるレディ・バードも、ただただハネを大切に思う、ハネ使いの一人でしかなかったということだ。

『レグルス』のことが大切であるからこそ、王族のハネを狩ろうとした。


それだけ。

「嘆くことなどありません。『レグルス』はアゲハが消させやしませんから」

アゲハが、レディ・バードに笑いかける。

誰もが安心せざるを得ない、アゲハのえっへへー笑い。


「…それは、どういうことだ?」

レディ・バードは顔を上げて、アゲハに問う。

「そのままの意味ですよ」

アゲハはそう言って、『蜜蜂』の蜂毒を受けたときのまま横たわる獅子に近寄った。『真っ白部屋』から倉庫車両に移動した関係で、今は積み重なる木箱の上に『レグルス』は倒れていた。アゲハはそこをよじ登り、獅子の脇に腰を下ろす。


そして、優しく、背を撫でた。

「大丈夫です。あなたは強いライオンさんなのですから、これくらいはへっちゃらなはずです」

声を掛け、微笑む。

幸せを舞う癒しの鱗翅。

『フェリスラマリポーサ』。

アゲハの、回復能力を持つ『祈り』のハネ。

アゲハのハネの力によって意識を取り戻した『レグルス』は、喉を唸らせ起き上がった。


「『レグルス』…」

レディ・バードはそんな『レグルス』を見て安心したような、感極まるような、そんな表情を浮かべる。

「もともと持っていた能力を完全に取り戻すことは出来ないかもしれませんが、少なくとも消えてしまうなんてことにはならないはずです」


アゲハは自信に満ち溢れた表情で胸を張った。

元気になった『レグルス』は、主人の元へ降り立ち、ほお擦りをする。

戦っていたことなんて嘘みたいな、そんな、微笑ましい光景だった。


「連絡、取れましたから」

ドラゴンフライが言う。

どこに連絡って、そりゃあ警察機関。レディ・バードは、そこから脱獄したんだから。僕は連絡を取ってくれたドラゴンフライに礼を言った。

レディ・バードは背中を丸めてへたり込んだまま。


ふと力を抜けば、ぱちん、と光りが弾けて『レグルス』は消えた。

「あのさ、レディ・バード」

僕は、レディ・バードに声を掛ける。彼女は気だるげに顔を上げた。

「ミッドナイト王国はお前のことを脅威だとか言ってやたらと悪にしたがるけど、実際はそうでもないんじゃないか」


ただ、『レグルス』を思う、ハネ使い。

「ヒバリちゃん、なに言ってるの!あたしたち相当酷い目に合わなかった?」

「ドラゴンフライだってこんなありさまで!」

「…こんなありさま、ってハナバチくん。君ね」

僕の一言に、皆が反論する。


あ、違うか。ドラゴンフライはハナバチの言葉に反論したのか。確かに、帽子もなくしているし、制服は破れたり水に濡れてたり、僕らの中では一番に酷いありさまだよな。本人、あんまり気にしてないみたいだけれど。

「ヒバリは甘すぎるよ」


レディ・バードが、口を開く。

「私は脅威のままでいい。でなければこの国は、太陽の一族のことを忘れてしまうだろう。私の他にも末裔はいるはずなのに、潜んで溶け込んで、不完全なハネは衰えるのが早いのにも関わらず、ハネが消えてしまう日までを無意味に過ごしているにすぎない」


その末路を、嘆く。

「太陽の一族の誇りはどこへ行ってしまったのか。私はそれが、残念でならないんだよ」

だから、自らが少しでも多く、かつてハネ狩りを行った太陽の一族としての記憶を留めさせておく。王族のハネを狩ることで、『レグルス・コル・レオニス』を完全なものにするという手段を選んだ。


ハネ狩りを行うことで、太陽の一族の印象を強く植え付ける。例えそれが、脅威という恐れの対象であったとしても。


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