世界13
もう、迷うことなく前に進む彩伽だが、
やはり、思う。
まだ、だろうか…。
いつになれば…。
しかし、思えばこれほどまでに強く答えを求めたことがあっただろうか。
彩伽は生前の自分を振り返り、
いつも諦めて、達観して、冷めていた自分ばかりが浮かんで来ることに苦笑した。
本当に、この世界は不思議だ。
自分が大丈夫だと思えば、こんなに消耗しなくなるとも思えない。
そこは、世界の反発というか、明らかにそう言う力を感じていた。
休み休み進むしかない。
言い聞かせても、やはり休んでいる間は余計なことを考えたり、
気持ちが焦る。
瞑想は不得手だし、気晴らしにアルテルに連絡するにも、
あまりに頻繁ではアルテルに申し訳ない。
いっそ、ゆっくり進み続ける方がいいのではないか?
ふと気がついた。
焦りすぎて早く進むことばかり考えていた。
同じペースで、消耗を感じないように、
休まずに進み続けられるちょうどいいスピードを探す。
なかなか速度を他一定に保つのは難しいもので、
集中する分、余計なことも考えなくなり、かなり快適になった。
そうして少しずつ確実に進むようになった彩伽は、
アルテルへの連絡が疎かになり、
アルテルが心配して連絡をしてきたほどだ。
アルテルに経緯を説明すると、すぐに納得した。
それなら、その調子で進むようにとの激励と、
困った時だけ連絡するとアルテルが言い、通信は終わった。
彩伽は進む。
暗い暗い空間に、光の足跡を残しながら。
次にアルテルと話すのが、この世界の創造主に会った後であることを祈りつつ、さらに進んで行く。




