表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅立ち  作者: 白銀みゆ
80/119

世界8

彩伽の旅はいつまで続くのかわからない。

同じ場所をぐるぐる回っているような錯覚を覚え、めまいがした。

目印を示す方法は何かないのか。

考えを巡らせているうちに、ふと思いついた。

今まで自分が辿ってきた足跡を視覚化することは出来ないだろうか。

同時に、いつもの部屋がある場所までの道を創る。


しかし、自分が移動した距離を考えると、とても消耗しそうだ。

そこで彩伽は、しばらくは動くのをやめて、いつも自分がいる場所への道作りと、

足跡の視覚化に集中することにした。


思い返せば、何故最初からそうしなかったのかと思うが、

それほど何も考える間もなく、飛び出したのだから仕方がない。


アルテルと連絡を取りながら、光の道が出来ているかを確認し、

作業を進めていく。

その道は、足跡を無視してまっすぐ今いる場所まで伸びるように強くイメージした。

さすがにこの作業は、予想通り消耗が激しく、彩伽本体に異常が見られた為、

アルテルがそれを報告した。


「彩伽!身体が激しく痙攣をおこしています。」


彩伽はそれを聞き、いったん作業をやめる。

その繰り返しを、しばらくは続けることになりそうだった。


作業を続ける中で、48体のうちの1体が消えかけたり、

彩伽の部屋が激しく明滅したり、

起こる現象は様々だった。

だが、何があろうと、現状は維持するように努めた。


当てのない場所へ向かいながら、当てのない場所に留まり、

当てのない作業を続ける。

彩伽は疲弊していた。

もしかしたら、一度部屋に戻るという選択もあったのかもしれない。

しかし、戻っている間に、今いるこの場所がわからなくなってしまったら、

全てが無駄になってしまう。


光の粒子の状態になっている彩伽自身も、

時折その粒子が尽きるのではないかという危機感を覚えながら、

ギリギリのところで、作業は続いていく。

いつになれば、道が見えるのだろうか。

それほどの距離を移動してきたのか。

一向に見えない道に、彩伽は思わずため息を漏らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ