世界6
彩伽が出かけてから、どのくらいの時が経ったのか、
アルテルが正確に把握することはできていなかったが、
彩伽の不在は、確実にアルテルを苦しめていた。
それまで知らなかった感情を、彩伽と出会ったことにより、
次々に知っていく。
寂しさなど感じるとは想像もしなかった。
どれくらいぶりかに彩伽と話ができた事で、
ただ、その声が聴けただけで、これほどまでに、
安心するものか。
満たされるものか。
しかし、次の瞬間にはもう思っている。
「会いたい」
と。
この世界の広さがどれほどのものなのか。
その果てにあるであろう、この世界の創造者は本当に存在しているのか。
いるとしたら、どこにいるのか。
部屋から外を眺めれば、世界は暗く、どこまで続いているのかもわからない。
この世界の中を、今、彩伽は一人当てもなく彷徨っている。
一緒に行くことが出来たなら。
それが叶わないことと知りながら、そう思わずにはいられなかった。
けれど、彩伽に託されたこの世界を今は自分が守らねばならない。
それが、望まれたことなのだから。
そう言い聞かせてきたが、それでも辛かった。
「本当に、話せてよかった。」
アルテルが、心底告げた。
「私もよ、アルテル。」
彩伽もアルテルに早く会いたいと思っていた。
無事に成すべきことを成し、帰りたい。
そして、ふと気がついた。
この世界は想像力が制する世界。
もしかしたら、創造主の元へ行きたいと強く思えば行けるのでは?
しかし、創造主にはあったことがなく、場所もわからない。
それは具体的に想像することが出来ない。
それでも、長距離の瞬間移動は可能なのではないか?
見える限りの範囲へ一瞬で移動を繰り返していけば、
あるいは目的の達成を早めることになるかもしれない。
しかし、この世界には目印がない。
彩伽がいた場所が遠ざかり見えなくなってからは、
本当に、ただただ暗闇が広がっている。
そこで、移動速度を上げてみよう、と考えた。
光の速さで、もっと早く。
ずっと向こうへ…




