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彩伽12
彩伽が起きたのはどのくらい経った頃だろう。
正確には彩伽は、完全に休んでいる訳では無い。
何しろ48体の分身がいるのだ。
それは彩伽の1部からなっているのだから、
実の所、それらの分身が動けるだけの余力があるのだ。
徐に身を起こすその様はだるそうではあるが、
今日も再び挑戦するのだろう。
「…アルテル、おはよう」
大きく伸びをしながら彩伽が言った。
「おはようございます、彩伽。
よく眠っていましたね。」
立ち上がった彩伽は少しふらつき、
アルテルは慌てて駆け寄った。
「…大丈夫。」
アルテルの腕を支えにしたのはほんの一瞬で、
それからすぐに彩伽はいつもの笑顔を見せた。
彩伽は急に自分の服をシンプルなTシャツと短パンに変えると、
48体の分身を全て回収した。
「アルテル、再挑戦よ。」
持ちうる力を最大限使えるようにした彩伽には、
前回よりも自信があるようだった。
 




