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彩伽9
アルテルは頼りにしていたマザーに、はっきりと「わからなない」と言われてしまい、
途方に暮れる。
「この世界をすべて知るものが、この空間の果てに居るという噂がありますが、
誰も確かめたことがありません。
存在すら定かでないし、その場所に辿りつくことは難しいでしょう。」
アルテルは、これ以上真実を追求する必要性はないように感じていたが、
彩伽の存在は、もしかしたら、この世界を根底から覆してしまうかもしれない。
「マザー…彩伽は、この世界を壊してしまうかもしれません。」
マザーはゆっくり頷いた。
「例えそうなろうとも、この世界は脅威を排除することはありません。
彩伽が今後どうなっていくのか、この世界がどうなっていくのか、
ただ、見守るだけです。」
アルテルはその言葉を聞いて覚悟を決めた。
どんな結果になるのかはわからない。
しかし、その時まで、彩伽と一緒にいよう、と。
マザーにお礼をしてアルテルは彩伽の元へ戻る。
それを確認すると、マザーは姿を消した。




