はじまり 2
頭に何かが載っている。
首元には柔らかく真っ白な羽。
肩の部分が膨らんだ袖は二の腕辺りで窄まって、
透ける生地が手首の近くまで続き、
一度ふんわりと膨らみ、手首で窄まっている。
胸元は二つの山があり、
ウエストはぴったりとフィットしている。
ふんわりと盛り上がるようなスカートは、
裾まで長く広がっている。
アルテルが全身を写す鏡を出現させ、
そこに写る姿を見ても一瞬自分だと理解出来なかった。
「おはよう、彩伽。」
真っ白な王冠を載せ、
純白のドレスに身を包み、
立っているのは私。
アルテルがおはようと告げたのは、
私が目覚めたと言う意味なのだろうと、
反射的に理解した。
いや、理解せざるを得なかった。
常に光の粉が自分自身の内側から外側に溢れ出している。
動けばそこに光の帯が出来る。
どこへともなく消えていくが、
それが巡るものだという事は理解できた。
そして、此処を形成している根源である、と。
「此処は、私から出来ているのね。」
アルテルは真っ直ぐ私を見つめるだけで、答えず、
それまで部屋に一つもなかったドアを作るように促してくる。
応じて出来上がったドアを潜ると、そこには大きな棚があった。
部屋の上へ移動して水平に180度見回すと、全て棚。
その中には、数え切れない透明な玉があった。
大小さまざまなそれらは、
ある一角には色を持ったものがあるものの、
大部分が無色透明であった。




