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彩伽1
予想も覚悟もしていた、つもりだった。
しかし、それはやはり突然に訪れた。
「彩伽!」
異変に、アルテルが慌てて駆け寄る。
彩伽の身体は全体が発光しており、
その存在が、霧散してしまう予感がするほどに、光の粒子が溢れ出ていた。
「・・・さい・・・か・・・」
戸惑うばかりのアルテルは、無意識のうちに彩伽の名を繰り返し呼んでいた。
しかし、アルテルの予想した展開は起こらず、
彩伽から溢れ出る光の粒子はアルテルを包み込んでいく。
「え・・・」
閃光が視界を奪い、しばらく目が開けられなかった。
「アルテル?」
彩伽に呼びかけられ目を開けると、そこには全く知らない世界が広がっていた。
そして、彩伽は光の粒子を放っておらず、向こうの景色が見えるほどに身体が透けている。
それはアルテルも同じで、二人は空に浮いて世界を見下ろしていた。
「アルテル。ここは、私の居た世界よ。」
彩伽が指をさした先には、幼い彩伽がいた。




