継続14
それからというもの、わだかまりはお互い心に留め、
これまで通りの日常が続いていた。
いつ終わるか知れないこの日常に怯えを抱かない方が難しいだろう。
「アルテル、あの星はもうすぐ寿命ね。」
何でもないことのように装って彩伽が告げると、
アルテルの心は酷く傷んだ。
「そうですね…」
星というのは大抵が一つで存在しておらず、
他の星との関係によってバランスを保っている。
「同じ場所に新しい星を作るべきかしら。」
そうしたところで、バランスが同じように保たれるとは限らず、
いずれにしてもこの星の集合体は崩壊するかもしれない。
試した結果として成功したとしても、またほかの星が寿命を迎える。
いっそ、この星の集合体を諦め、また新しい集合体を形成するか否か。
「ほかのいくつかの星も寿命が近そうです。
この集合体は放棄して良いのではないでしょうか。」
彩伽は、自分でもわかっていた答えを敢えて確認し、
それをアルテルに言わせてしまったことを、後悔した。
「そうね。そうするわ。
意見をありがとう。」
彩伽の中で苦しみは深くなるばかりだった。
最初は針に刺されたような痛みが、徐々に広がり、
いつの間にか全身に広がった。
アルテルに隠しきれていない事も、
気が付かないふりをしてくれていることも、わかっていた。
漠然とした確信。
彩伽の終わりが近づいていた。




