継続8
アルテルは一体どれほどの年月を生き、どれだけの別れを経験してきたのだろうか。
特に根拠はないが、想像をはるかに超える時間のような気がした。
「アルテル・・・あなたは、どれだけの別れを経験したの?」
敢えてアルテルを見ずに尋ねた。
「もう覚えていません。」
あまりに長すぎる時間と、あまりに多くの別れ。
それがアルテルの無表情の根幹にあるのだろう。
今となっては様々な表情を見せてくれるアルテルだが、最初は不気味な程に無表情だった。
「私との別れを恐れている?」
言いながらアルテルへ近づき顔を覗き込んだ。
アルテルは複雑な表情をして戸惑っている。
めぐり巡るものならば、きっと彩伽にも終わりが来る。
それは人の死が必ず訪れるのと同じように避けられないことなのだろう。
しかし、今までにないことが多々起こる故に、彩伽が特別で、
いつものような別れは訪れないのではないか、と、淡い期待を抱いていた。
そして、その期待こそが、アルテルを苦しめていることに、彩伽は気づくはずもない。
「もし本当に・・・」
彩伽が特別なら、という言葉は飲み込み、アルテルは無理に笑った。
「・・・戻りましょう」




