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旅立ち  作者: 白銀みゆ
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継続 4

私が感じている此処は、

アルテルの感じているものと違う。

それは仕方のない事だとわかっているつもりだった。

しかし、その差を目の当たりにすると、

想像以上に衝撃を受けた。


「…私は、必要な動作だと思ってやっていたの。

 踊っていたわけではないし、そうしなければいけないのだと思っていた。

 そうでない事が、アルテルには当たり前でも、私にはそうじゃないの。」


私が気落ちすれば、此処は色を変えてしまう。

暗く沈んだ様子に、アルテルは狼狽して。


「ごめんなさい、彩伽…。ごめんなさい…。」


手に手を重ねて謝るアルテルに、

私の心が流れる。

それは、アルテルには未知のものだった。

触れた瞬間に目を見開き、

苦痛に顔を歪めたと思うと、その大きな瞳から涙が溢れる。


「アルテル!?」


初めて見るアルテルの涙に、今度は私が狼狽した。

しかし、同時にとても嬉しかった。


「彩伽…こんな思いにさせてしまって、本当にごめんなさい。」


次々に溢れる涙が私の手に落ちては、光の粉となって弾ける。

アルテルの頭を抱えるように抱きしめると、

一層涙が溢れ出し、

堪えきれなくなったのか声を上げる。

まるで子供が泣くように。


「私の方こそ、ごめんなさい。」


互いの違いが、傷つけ合ってしまう。

自分とは違う存在がそこにあれば、

避けては通れない。

そんな当たり前の事を、いつの間にか忘れていた。

此処では、触れれば気持ちが流れ通じ合う。

だからこそ、忘れていた。

言葉にしなければ伝わらない事がある、と。


「アルテル。私たち、これからはもっと話しましょう。

 少しずつ、沢山話しましょう。」


私が笑うと、アルテルも安堵した様に笑って頷いた。

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