継続 3
アルテルは世界の様子を簡単にまとめてくれる。
世界に存在している言語は全て把握しているようで、
交わされている会話の内容から現在の情勢を読み取り、
私のわかる文字でまとめてくれた。
そんな習慣が、
いつしか報告書という形式の決まった用紙に落ち着いた。
とはいえ、さほど形式ばったものではなく、
訪問回数を記載する蘭、メモ欄、
フリースペースに区切られているだけだ。
最初、アルテルはフリースペースにも文字を書く事が多かった。
サンプルを貼り付けたり、
何か絵を描く事を提案したところ、
以来、絵を描く事が趣味になった。
「彩伽、動かないで。」
真剣な面持ちで、
自分で形成したお気に入りの椅子に腰掛けたアルテルが私を見つめている。
「無理よ。世界を創っているもの。」
すると、アルテルは不機嫌そうな表情で。
「思い描くだけで此処の全てが動かせるのですから、
座ってじっとしたまま世界を創ることだって出来ますよ。」
そんな事を簡単に言ってのけた。
「え?」
今まで、立ったまま手をかざしたりしていたのは一体なんだったのか。
「彩伽のダンスはとても素敵ですが、今はじっとして下さい。」
ダンス?
あれは、アルテルにとってはダンスに見えていたのか。
言葉に表せない衝撃を受けながら、
私が呆然としていると、さすがに心配になったようで。
「彩伽??私は、何かおかしな事を言いましたか?」




