決別 4
「私が、捨てた?」
反射的に立ち上がり、呆然としていた。
そのまま理解できずにいると、
アルテルは明るい雰囲気を撒き散らしながら言う。
「過ぎた事を悔やんでも仕方がありません。」
見回すと、部屋の全てが赤黒く変わっていた。
しかし、元の色をイメージした途端、
元通りになる。
「…此処は、本当に私の思い通りになるのね。」
アルテルは苦笑いを浮かべながら。
「やがて、全てを理解出来る時がきますよ。」
言いながらステッキを持たない手を胸の前に出すと、
綺麗な銀細工のナイフが現れる。
「ちょっと失礼。」
言うや否や私の右腕は10cm程切られた。
驚く暇もなく呆然と眺めていたが、
痛みを感じる事はなかった。
驚いたのは、
血が出る代わりに七色の光が散っている事だ。
「なに、これ…」
その七色の光を纏ったナイフで、
アルテルはステッキの下部を3分の1程になるように切り落とした。
切り離されたそれは、暫く宙に浮いているような状態になり、
やがてゆっくりと回りだした。
縦横無尽に回るそれはどんどん速度を増して行く。
「さあ、想い描いて、これはあなたのステッキだ。」
サブタイトル「決別」はここまでです。
次回からはサブタイトルが変わります。




