展開 12
父にはスウェーデン人の血が混ざっている。
父方の祖母が血を引いており、
父の母の父の父がスウェーデン人だと聞いている。
しかし、祖母は純日本人に見えた。
親戚中から「先祖帰りだ」と言われた様で、
幼少の頃はいじめられた事もあったらしい。
その影響か、私の瞳は茶色よりも少し薄い、
ヘーゼルに近い色をしている。
子供の頃はより強く出ていたようで、
生まれて間もない頃の写真を見ると、
確かに日本人には思えない有様だった。
中学へ入学する頃にはやや色素が薄いくらいの状態になっていたが、
それまでは色が白すぎる事や、髪が茶色いこと、
瞳の色が薄いことがいじめの対象になっていた。
「外見だけお父さんにしても仕方がないのにね…」
自虐的に呟きながら触れると、アルテルは元に戻るはずだった。
しかし、この時はアルテルの想像が私の想像の力を上回った。
「…このままで。」
マロンの次は父。
次は母だろうか。
そうして私はこの世界でまた大切な人との別れを繰り返すのだろうか…
そう思った瞬間、アルテルは元の姿に戻った。
「ごめんなさい、アルテル。
ありがとう。」
アルテルの気持ちは検討がついた。
私がマロンを失った悲しみから、
また別の、かつての身近な存在を求めても、
何も不思議ではない。
逆の立場だったら、きっとそう思うから。
「彩伽…」
落胆するアルテルへの頬に触れ、
私は自然に微笑んでいた。
「アルテル。
私はアルテルが好きよ。」




