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展開 8
一部の傷跡を残しながらも、その後の検査も無事に終え、
ようやくマロンに触れられるようになった。
健康体に快復したマロンは、
元気に走り回る活発な子犬になった。
公園で見つけた時には、想像すら出来ない位、
本当に元気な姿で、時には度を越して困らせる事もあった。
けれど、いつも笑顔をくれた。
あれだけの仕打ちを受けながら、
人に対して攻撃をする事は決してなかった。
家族の中でケンカが起こりそうになると、
絶妙な間でおかしな事をして和ませてくれた。
どこにでもついて来たがり、
置いて行かれるとわかると数々の抵抗を見せた。
玄関に居座り、玄関を開けさせまいとしたり、
靴を隠したり、
部屋のなかを駆け回ってめちゃくちゃにした事もあった。
最初は叱った事もあったけれど、
一緒に居たいだけだとわかってからは、
極力一緒に居られる様に工夫した。
置いてけぼりにされる事だけが、
マロンにとって許容できないことだった。
3人と1匹の家族は、揃って家族。
1人でも1匹でも欠けてはいけない。
そんな家族になっていた。
そうして11年が過ぎ、私が17歳になろうと言う時、
それは突然やってきた。




