展開 3
アルテルが言い出す事を恐れていた。
それでも、綺麗な瞳を見つめていると、少し不安が和らぐ気がした。
しかし。
「あの不安定な無機体が、何故あのような球体に安定したのか、
ずっと疑問でした。」
アルテルの言葉を聴き、
私は反射的に、何度も惑星に飲み込まれては此処へ戻るマロンの姿を思い出した。
思えば、アルテルの身には一度も起なかった事だ。
「それって…」
状況から思いつく唯一つの可能性。
「マロンさんが、
あの惑星の核になったのではないか、と。」
言葉になると、それはあまりに受け入れがたく、
しかし、考えられる可能性がそれだけであるという事実が目の前に立ちふさがった。
「でも、じゃあ…」
何故あの時、マロンは此処に居たの?
「あの時、此処にいたマロンさんは残像のようなもの。
そう考えれば説明がついてしまいます。」
苦しそうな表情を浮かべ、
それでも私の頭の中の疑問に答えるたアルテルは、
反射的に倒れそうになる私をしっかりと抱き止めた。
「うそ…」
本当は、確かにどこかで感じていた。
マロンはもう帰ってこない。
けれど、信じていたかった。
「確かめに行きます。」
アルテルもわかっているはずだ。
そんな事、本当は必要ないという事。
私のために、敢えて確かめようとしている。
今の私に、涙と言うものは存在しない。
代わりに溢れ出るのは、
いつしか“世界の源”と呼ぶようになった粉状の光。
それは、次々に溢れては新しい惑星となり、
吸収しきれずに宙に舞うと、やがてこの身に還ってくる。
悲しい。
今は、ただ全てが悲しい。




