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旅立ち  作者: 白銀みゆ
28/119

展開 2

「マロンさん、どこへ行かれたんでしょうね。」


アルテルは心配そうに言いながら、

思い悩んでいるような表情を隠すように俯いた。


「アルテル?」


顔を覗き込むと、困った風な顔で一つため息を漏らす。


「いえ、何でもありません。」


目を合わせずに誤魔化そうとするアルテルの両腕を、

正面からしっかり捕まえる。


「嘘はダメよ。」


瞳を瞳で捕らえ、強く言った。

狼狽しながらも、なおも隠そうとするアルテルへ、

私は、自分も驚く程の強い声を発した。


「アルテル!

 隠さないで!」


それは決して大きな声ではない。

けれど心の真ん中に真直ぐに届き、

制する強さを持っていた。

アルテルは驚き目を丸くした。

一呼吸おいて苦笑いを浮かべると。


「表情が率直に出ると言うのは、本当に困りますね。」


他人事のように言い、

吹っ切るように一度深呼吸をした。


覚悟を決めた様子を見て、

アルテルの両腕を解放した。

すると、今度はアルテルが私の両腕をしっかり掴む。


「…一つ、仮説を立てたのです。」


先ほどまで隠していた事が信じられない程に、

揺らぎのない視線。

しかし、その瞳には計り知れない悲しみが満ちている。

それは、ただの仮説ではなく、

殆ど確信なのだと告げているようで、

聴くのが恐ろしくなる。

それでも、聴かなくてはいけない。

私が求めたのだから。


「どういうこと?」


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