展開 1
「マロン?マロン!!」
呼びかけても反応がない事は、そう珍しくない。
世界に行ったまま暫く帰ってこない事も、多々あった。
ただ、それほど長い間ではなかったし、
感覚的には1週間程度が最長だった。
しかし、今はアルテルの尽力で、
無事にシルバルドを元の惑星に戻す事に成功してから、
おおよそ3週間が経っている。
アルテルの提案の通り、
少しずつ量を調整しながらシルバルドを世界に戻していたところ、
ある瞬間、唐突にそれは起きた。
縦横無尽な変形をしたかと思うと、
次の瞬間、完全な球体に落ち着いたのである。
それはもはや無機物ではなく、
一つの安定した惑星となっていた。
大変な作業を成し遂げたアルテルを迎え、
3人で喜び、抱き合った。
それから暫くアルテルと話し込んでいて、
ふと気付いた時には、もうマロンの姿はなかった。
それ以来、ずっと帰ってきていない。
1週間程が経過したと感じた時から、
世界を探しているものの、マロンは一向に見当たらない。
私は元より、寝る事もなくずっと作業を続ける。
世界からマロンが帰ってくれば気付くはずだった。
マロンは、一度此処を経由しないと別の世界へ移る事は出来ない。
世界にいるなら、一つの世界に留まっているはずなのだ。
新しい惑星を作りながらの作業では、探す範囲に限りはあるものの、
もう全ての世界を見尽くしたはず。
それなのに、見当たらない。




