発見 14
「じゃあ、お願いね。」
マロンのお腹の下に器を括りつけ、
口で蓋を開けられるように紐をつけた。
そうして、マロンが器を抱え、世界の中へ入って行った。
器は無事に世界に運べるし、
その中の物質が、世界になんらかの影響を与える気配はない。
そして器は、持ち帰ることができるとわかった。
準備をする間に3人で話し合った結果、
最初にマロンが実験を終えて此処に戻った後に、
アルテルが世界に入る事が出来るかを試す事になった。
何が起こるかわからないし、
最悪アルテルが戻れなくなる可能性もある。
しかし、可能であれば、マロンと交代で作業を行う事ができるのだ。
実際にやってみると、簡単に世界を行き来できる事がわかった。
それも、アルテルの方がマロンよりも行動範囲が広く、
自らの意思で色々な事が出来る。
何より便利な事は、世界の住人から存在を隠せる事だ。
マロンと同じく、
歴史や大きな流れを変化させてしまうような影響を
世界に与える事は出来ないけれど、
サンプル回収を続けるには、大きな戦力となる。
「これなら、シルバルドの事はアルテルにお願いするのが良さそうね。」
無事に戻ったアルテルを迎え、私は意気揚々と抱きついていた。




