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発見 10
光の加減によって七色に見える深い緑色の瞳、
真っ白の毛並み。
水色の燕尾服にハット。
一瞬で姿を変えたアルテルは、
初めてその顔に感情を表した。
「この世界の掟?」
喜びながらも、先に疑問を口にした私へ、
アルテルは苦笑いを浮かべて答える。
「彩伽が私を制したのですよ。
この世界においては、想いの強い者が優位に立つのです。」
そう言って、胸元を整えて見せた。
「さっき、アルテルが赤くなった時・・・」
確かに、アルテルの服を自分の思い通りに変化させた。
「私はこれまで創造者に制された事はありません。
彩伽が初めてですよ。」
本当に嬉しそうな笑顔に、つられて笑顔になる。
これまで表情のなかったアルテルに、
今は表情がある。
「とてもわかりやすくなったわ。」
アルテルの頬へ触れ、微笑むと、
不思議そうな顔をするので、鏡を見せた。
「え?…これは…」
鏡を受け取り、自分の顔にある表情を確かめるように、
様々な表情を浮かべて見る。
そんなアルテルを見て、ふと。
「マロンも二足歩行になる?」
そう問いかけてみた。
「…ううん。ボクはいいよ。
ボクはこのままが良いんだ。」




