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旅立ち  作者: 白銀みゆ
21/119

発見 9

そして、アルテルは、

ゆっくりと振り向いた。


「出来ますよ。」


値踏みでもする様に見つめてくるアルテルへ、

私は首を傾げながら自分の考えを話した。


「今、此処にあるこの生物…

 仮にシルバルドとでも言いましょう。

 シルバルドから、バランスを取れるところまで要素を吸収してから、

 世界に帰すのはどうかしら?」


アルテルはそれを聞くと目を輝かせて、

明るい空気を撒き散らした。


「素晴らしい!!」


踊りだすのではないかと言うくらいの勢いに、

思わず一歩引いてしまう。


「これは失礼。」


照れた仕草が妙に可愛い。

ウサギのようで、

決してウサギではない二足歩行の不思議な存在に対し、

これまで一度も可愛いと思った事がなかった。

だからなのだろうか、

気付くと、無意識にアルテルを撫で回していた。


「あ・・・あのぉ・・・」


困惑する様子が更に可愛いアルテルへ、

堪えきれずに抱きついた。

初めて知るアルテルの感触。

ウサギのようなふわふわの羽毛では無いものの、

艶めく毛は猫のそれに近い。

伝わる温もりで心が和んだ。


「さ、彩伽!!」


慌てる様子はあるものの、

決して逃れようとはしない。

逃げたところで離すつもりはなく、

ずっと此処にいれば良いのに…

と、思った。


「アルテル…」


思い余って頬に口付けると、

アルテルは真っ赤になってしまった。


「なっ…ななななっなにをっ…」


赤いままのアルテルに、

白いタキシードを着せたくなり、

思い浮かべてみると、

あっさりその姿を見られた。


「素敵よ、アルテル。」


もう一度抱きついて、

先ほどとは反対側の頬にもう一度キスをした。

するとアルテルは突如跪き、私の手を取り口付ける。


「彩伽、この世界の掟により

 私は只今をもって彩伽の従者となります。」


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