発見 6
マロンが世界に入り、
サンプルを集めてくれたおかげで、
全く新しい発見があった。
無機生物の存在である。
サンプル容器の中、
絶え間なく動き続けるそれは、
少しずつ成長した。
容器から溢れ出そうになると、
外見的な容器の大きさはそのまま、
容量だけを変化させた。
あまりに何度も繰り返したので、
もはやどの位の大きさになっているのかわからない。
その生物がいた世界の様子を確認しても、
大して変化は見られず、生物の正体は知れなかった。
「マロン、もう一度この世界へ行って、
サンプルを回収してきれもらえる?」
ある日、マロンに頼むと、
珍しく難色を示した。
「うーん…。」
考え込むマロンに、私は敢えて次の言葉をかけずに待った。
「…彩伽、あの世界へは、あの後も何度か行ったんだ。
けれど、ボクは気付いたら此処に戻っている。
多分、あの世界はこの生物そのものなんじゃないかな。
ボク、食べられているんだと思う。」
思いも寄らない話に、目を丸くしながら、
一つ思いついた事を口にした。
「何が起きているのかを、私が見ていたら確認できるわ。
もし本当に食べられているとしたら、
何度も食べられるのはいい気持ちがしないだろうけれど…
行ってきてもらえるかしら?」
そう言うと、マロンは勢い良く頷いた。
「もちろんだよっ!!
もっと早く話して、そうすればよかったね!」




