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旅立ち  作者: 白銀みゆ
11/119

はじまり 7

「ワン!!」


ちぎれそうなほどに尻尾を振り、

顔を舐めまわす。

慣れ親しんだ動作に、

自然と笑みが漏れた。


「マロン!!」


抱きしめると、

温もりをより強く感じる。

それが、どれほどに尊い事か、

今に至るまでに痛感していた。


「…彩伽?」


ふと胸元から聞こえる声は、

明らかにマロンが発したもの。

息も出来ずに静止したまま、

幾らか時間が経過した。


「どうしたの?」


真っ直ぐ向けられる黒い目が、

途端に信じられなくなる。


「どうして?」


何が?

と、言う風にマロンが首を傾げると、

次の瞬間には。


「ワン!!」


元の鳴き声が響く。

もしや…と、思い至り、

『マロンと話したい』

と、強く思った。


「マロン?」


また首を傾げるマロン。


「なぁに?」


やはり…

そう思うと同時に、

一瞬でもマロンに不信を抱いてしまった自分を悔やんだ。


「…ごめんね…」


言いながら頭を撫でると、

マロンは気持ちよさそうに目を瞑る。


「ん~~、気持ちいい。

 耳の下もぉ~。」


思わず笑いが漏れながらも、

望み通り少し指を立てるように撫でてやると、

本当に気持ちよさそうな顔をして、

今にも眠ってしまいそうだ。


マロンは茶色と白のロングコート。

茶色の部分が栗の皮の色に近い為、

マロンと名付けた。

少しウェーブのかかった少し硬めの毛質。

お世辞にも触り心地が良いとは言えないけれど、

マロンが子犬の頃から撫でるのが大好きだった。


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