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魔法科学  作者: ひのきのぼう
――第1章――
3/59

3話 不可思議な力

 神父から貰った本には今まで得られなかった情報がいくつもつまっていた。

 しかし本を読んでいていくつか不審に思う点も出てくる。

 例えば魔法という単語がやたらと出てくるのだ。

(この本に出てくる内容は宗教関連だからだよな……でも、もしもこれが本当だとしたら……)

 頭によぎるのは神父の指から放たれてた光……あれには種も仕掛けもなさそうだった。

 普段の僕の思考なら到底それらの現象を結びつけては考えない。僕に起きた現状を踏まえれば記憶の片隅に置いておいてもいいのでは無いだろうか……とも思う。

 神父から貰った2冊の本―――題名は”聖法の基礎”もう一方は”魔法の基礎”

 聖法の基礎と書かれた本の内容は神がどうたらこうたらと長ったらしく書いてあり、宗教関連の本だと分かる。だけどもう一つの魔法の基礎と書かれた本は数ページにわたり、どこぞのファンタジー物に出てくるような魔法陣が挿絵付きで描かれている。

 本を集中して読んでいると不意に後ろから……

「セレクトは今日もお勉強?えらいわねー」

 母に抱き上げられる。

 今しがた洗濯の取り込みが終わったようで、僕をあやす様に一緒に本を読み始める。

「えーと、じゃあ今日はこれを読んであげましょうね」

「ママ、あうあうあー」

 僕を膝の上に乗せから本を手に取り、見やすい位置で広げてくれる。

「えーと何々。まず、魔法を使うためには精神を集中して体に精霊を宿す必要があります。やり方は精神を指先に集中させてください。だって……セレクトは分かるこれ?」

(とりあえず否定しておくか)

「ぶー」

 唇を鳴らす。

「うーん分からないわよね。じゃー試しにお母さんがやってみるわね。えい!」

 出来るわけがないと思いながらも、母親の動向を見守る。すると……

(!!)

「あ……出来た!」

 母は弱々しくはあるが指先から光を生み出すことに成功していた。

 どこか落ち着きがなく、光は安定しない。

 神父が出した光には及ばないが確かに光を放ったのだ。

 その現実に僕は眉をひそめる他ない。

「見て見て!出たわよ。こうやるのよ」

 指南しようと母は僕の手で遊ぶ。

 とりあえず母の指先を見て、神父様と同様に種も仕掛けも無い事を確かめた。

(でも何で一瞬だったんだ?神父さんが使った時はもっと発光してたし……集中力で決まるのか?そんな事がありえるのか?)

 自問自答を繰り返す。

 そして母は楽しくなってきたのか、僕を置き去りにして次の段階に行動を移していた。

 次の覧に書かれている内容はこうだ。

『精霊を宿すことに成功しましたね?では次の段階に移ります。では集中したまま火の精霊サラマの陣を描いてみましょう。※火が出るので最初は外で練習を進めましょう。燃えるものが近くにないことを確認する事』

(精霊を宿せとか前提条件で話されても……ちくしょうわかんないよ!)

 母は僕を抱えて外へと出ると先ほどのサラマの陣とやらを確認してから複数回練習している母。

 指先の光が模様を描き、空中で停滞している。

『サラマの陣も描けましたね? おめでとうございます!後少しであなたも見習い魔術師です。では、次に呪文を陣を描きながら唱えてください。(なるべく火をイメージすることを忘れずに)”我、契約を果たし、火を宿す物なり”※絶対に人に向けて唱えないこと!』

 母は俄然その気になってきているのか止まらない。

「”我、契約を果し、火を宿す物なり”」

 次の瞬間だった物理的にありえない現象がまたしても起きる。描いた光の模様が強く発光したかと思ったら、の中心から火が生まれたのだ。

 ごくわずかなマッチのような火ではあったが、確実に先ほどの光の模様から生み出された火だった。

「やったー!セレクト見た?ママも魔法の才能あるかもー!」

 まるで子供のようにはしゃいでいる。

(アレが火を生み出したのか? そんな……いやありえない!)

 それまではただの光を出せる何かだったはずなのに……いつの間にか光から火を生み出せる何かに急展開し始めたのだ。

 答えを求めようと自分の知識で目の前の現象を肯定しようとした……が、なかなか答えにたどり着けない。

 そんな時、記憶の片隅に置いておいた一つの単語が浮かぶ。

 しかし、元科学者たる自分がそんな答えしか出せないのかとも苦悶する…だが、悲しい事にその答えにたどり着く……”魔法”だと。





(いやね……もうね……うん。自分を全否定された気分ですよ。はぁ?魔法?何それ美味しいの?)

 思考を完全に放り投げる。

 一方で母は先ほどの火を付けるの魔法で夕飯の準備をしている。

(火が出る以前に僕はあの光の正体を知りたかっただけなのに……だいぶ跳躍した気がするなぁ……しかしあの光が実際に火を生み出しているのなら、僕もあの光を出せるように特訓しなくちゃいけないだろうなぁ。にしても本当にどうやるんだ……第六感?シックスセンス?コスモ?とりあえず使えるようにならなくちゃな。考えるのはそれからだ!)

 使えたら使えたで問題が増えそうだが……今は隅において置く事にしよう。

 何度か唸りながら集中してみるがその程度では光は出現しない。

 そこで傍から考え直してみる。

 たとえばそうだな……背中に翼が急に生えたらといって僕は空を自由に飛べるだろうか……否。飛ぶ事よりも羽を動かす事すら適わないはずだろう。

 その理由は実に単純……動かし方を知らないからだ……でもそこで”知らない”=”飛べない”と思うのは早計だと思う。

 背中の羽にはきっと神経も繋がっているだろうし。リハビリをするように徐々に感覚を探り動かしていけば、何時かは羽を動かし自由に空を飛べる日が来るかもしれない。

 しかし、この場合はどうだろうか? 目に見える物ならまだしも体内に在る”不確かな何か”であり。感覚を探ろうにも皆目見当もつけられない……絶望的かもしれない……そんな事が頭を過ぎる、でも可能性が無いわけではないのであって……

(くぉっっっ……はぁ、出来ない……)

 原因がなんとなく分りはじめる―――

 多分、僕の頭の中の科学が頑なに魔法を否定しようとするのが邪魔なのだ。もっと魔法に対して……そしてあの光に対して、この世界に純真になることが大事なはずなのだ。

 そこまで分かっているのに出来ない……もどかしさに苛まれる………

(純粋な気持ちか……なんだろうな。僕の一番純粋だった頃……)

 まぶたを閉じる。ふと、前世の小さい時の事を思い出してみる。

(あの帰り道に……)

 初めて手にした科学雑誌は絵空事のような信じられない事が憶測と推測だけで真面目に書かれていて……

(色んな当たり前が不思議に変わって……)

 それを知る度に宇宙の広さを知った。

(…………)

 色んな記憶がよみがえる……懐かしい事……悔しい事……甘い思い出と切ない思い出……頬に温かい感覚が撫でる……


 手に暖かな感触がかすかに生まれる……それは本当に僅かな物だった―――僕は見逃さない!必死にその感覚を押し広げる!!


(……もっとだ……もっと!!)

 その時、パタンと玄関が開く音が聞こえ一家の主が帰宅した。

「ただいまーってうわぁああ!!」

「どうしってきゃああ!」

 両親の悲鳴は僕の耳には届かない。僕は集中しながら指先を見る。そこにはLED電球の発光よりも強い光が生まれていた。


(まぶしいな。僕が出したのか……)


 感動は全身を包んでいたが上手く考えがまとまらず……集中が解ける。発光現象は空中に少し停滞した後……ゆっくりと収束。ひどい疲れが僕の全身を襲う事に気がつく。

 立ちくらみにも似た感覚を感じつつ……僕は気を失った―――



 どうやら僕はこの力を使いすぎて疲労したようだ。

 それから僕はまる一日寝込み続けた。


―――翌朝

 そこには心配そうに覗き込む両親の顔があった。

 母さんは泣いていて…父さんは安堵している。

 軽率な行動でいらぬ心配をかけさせてしまったようだ。

 反省しよう……しかし……実験には失敗がつき物だ。次は大丈夫!きっと!多分ね!

 その日はずっと母さんがそばに居てくれた。

 目で例の本を探すが見当たらない―――仕舞われてしまったようだ。

(ふっふっふ……本が無くても光を出す感覚さえ分かってしまえばこっちの物)

 母さんが昼食をとった後に気疲れたのか寝てしまった。

 その間に光の調整を行ってみる。

(なるほど……こうやって出すのか!意外と簡単だな。でも、何でこんな事が可能なんだ?)

 今まで色々な仮説を立てていた。

 転生した先が違う惑星。

 もしくは違う世界。

(もう一つの世界か……さすがに物理法則すら違うのはどうかと思うんだが……うーん)

 前の世界では観測されていなかった現象なのかもしれない。

 たしかに不思議な力が書かれている書物は数多く存在していたし、文献、宗教、小説しかり…しかし、形としては存在しなかった。

(不可思議な物理現象”魔法”…物理法則+αな世界…いいだろう面白い!解明してやろうじゃないか!僕は科学者だ!!)

 この光が何なのかと言う事は置いてをおく。

 この光がもたらした現象”発火”について次は調べてみようと思った。

 しかし本を没収されてしまっている。


(昨日の……確かサラマの陣とかあったな。書いてみるか)

 光で円を造り中に文字と象徴を刻む。

「”我、契約を果し、火を宿す物なり”」

 発火現象が起きる。

 予想以上に火がでた事に驚く。

(おっと、危ない……ふぅ、何とか現象の確認が出来たな)

 その後は複数回に分けて実験を試みる……最初は光の出力で発火現象の確認。

(なるほどね……魔力とイメージで火を大きくも小さくも変えられるか。)

 せっかくファンタジーに出来ている世界なので僕はこの光の力を”魔力”と称する事にした。出した火の勢い、大きさ、持続力は魔力を込めた量で変化をもたらす。そして、イメージする事で火の形を作る。

(うーん、これ以上は大きくならないな)

 魔力を1と仮定した時に起きる火はマッチ程度。魔力を少し足して10にした時は火力大のライター程の火に変わる。

 しかし、その後はいくら魔力を足しても火はそれ以上の膨張を見せない。

 実験を繰り返していると……母さんが起きる気配を感じ、実験を中断し寝た振りでやり過ごす。


 結局その日はそれ以上の実験が出来なかった。

 それから親の目を盗み実験を試みる事数か月。

 その間は本を仕舞われてしまったままなのが残念だった。

 そんなある日の昼下がり。

 母さんが畑の面倒を見ている隙に少し離れた所でいつものように実験をする。

(いちいち声に出さないといけないのが面倒だな。でも何で呪文を読み上げる必要があるんだ?)

 言葉にする事でイメージを固定させやすくしてる物だと思ったが。どうしてもイメージと陣だけでは発動しない。そこで科学側から思考してみる……

(呪文……読み上げる……声は音……音は空気の振動でってことは……共振を利用しているのか?)

 すぐ様試してみる事にする。

「”あうあ~あーあああー”」

 似たような音で反応を見る、すると火が発現した。

「こらセレクト! 魔法は使っちゃ駄目っていったでしょ?」

 背後に母さんが仁王立ちで立っていて、でも何処か嬉しそうだ。


 その夜……

 父さんと母さんが僕の魔法の事で嬉しそうに談笑していた。


 次の日―――僕が寝ていると隣に何かが置かれる気配を感じ、見てみると例の本があった。すぐに読もうとしたが止められる。

「先にご飯食べてからね」

「ぶー」



 食事を済ませた僕は本を読み、炎以外にも色々な魔法がある事を知り―――覚える。

 魔法と聖法―――これらにはあまり違いが無いように思える。なぜかと言えば、それが人に対して害悪になるか、ならないかで区別されているだけだからだ。

 聖法の書には身体的な事象の魔法がいくつか記載されている。例をあげるなら疲労や外傷の治癒。病気とかにも有効な魔法があるらしいが、この本には記載されてはいなかった。

 聖法の基礎本には魔法以外の事についても記されていた。内容はこの世界の成り立ちや歴史についてだ。

 そこでいいかげん読んだ事を信じてみようと思う。

 何でも世界には色々な人種が居るとか。

 ファンタジー的にいえば獣人や亜人……他にも色々居るらしがそれ以上詳しくは書いていない。特に気になる事がこの世界には魔物、魔獣、魔族、それに”魔王”といった存在も居るとか。実に物騒な話ではあるが興味深い。調べてみると色々と分かってきた。

 魔物――こいつは好戦的な動植物に使われる。植物までもが襲ってくるとは信じられない話だ。

 魔獣――魔物の親玉みたいな存在でより狂暴で巨大、街一つを壊滅させられるほどの驚異……怖いが……少し見てみたい。

 魔族……魔物や魔獣の中に極稀に現れる魔法を使うことが出来る者をそう呼ぶらしい。人の言葉も使いこなすとか……

 そして魔王……こいつは破壊と滅亡を振りまく存在で、こいつが最後に出現したのが100年ほど遡り、千の村と町を焼いて一国を滅ぼしたとか……今も有名な伝説として残っている。漆黒のドラゴン……名は”黒炎”。ちなみにこいつはもう隣の帝国の勇者により討伐されている。



 そしてそれから1年じっくりと魔法について探求する。

(そういえばこの光の正体がまだ分かってない様な……体内に蓄積されている力……魔力。使うと空中に光源として出現―――そして飛散。もしかしたら空気みたいな物なのか?)

 この光は指以外からも出せる事はこの1年で実証済みだ。そしてある事に気がつく。

(まさかなぁ)

 目に魔力を溜める。こんな事で観測が可能かどうか分からないが。物は試しなのでやってみる。後大事なのは魔力を見たいと思うイメージだろう……

(はぁ……早く気づけよ僕……)

 観測が残念なことに出来てしまった。

 本当に残念というわけじゃない。ただ腑に落ちないだけだ。

 視界に映るのは糸の様なふわふわした光……何かが存在した。

 そのまま観測を続けて指先に魔力を集中、体内から光が集まって行くのさえ見える――ある程度光が集まったところで集中を解く…飛散し糸のように漂う。どうやらこの糸は体内からでた魔力の元らしい。

 しかし、空気中のコレに干渉しようと試みたが出来なかった。

 一度体内に取り入れる必要があるみたいだ。

 仮に僕はこれに名前を付ける事にする。

 名前は”エーテル”。

 このエーテルを人体に取り入れるには、食べ物を食べるか空気とともに吸い込むかのようだ。前者と後者では前者の方がよりエーテルを取り込める。エーテルの観測によってより研究が進む。どうやら微弱ながら無機物の物にまでエーテルは溶け込んでいて、逆に溶け込んでいないものはないんじゃなかろうか?



 3歳の誕生日を迎えたある日……

 どうやら今日は教会に行くらしい。以前のように両親がいつも着ていない服で着飾っていた。

「セレクト。もうこれ返しちゃってもいいの?」

「うん、全部覚えたから」

 今度は自分の足で教会へ向かう……2年ほど前に来た時と変わらない。

 記憶をたどり道を思い出す。

(この丘を越えたら海だったな。)

 潮風が濃くなり海の独特の臭いが鼻に付く。

 波の音が鮮明に聞こえる。

 両親を後に先に進む。

 浜を歩きながら馬車の作ったあぜ道を見ると、その先に目的地の教会が見えていた。

 僕は両親が来る前に教会の扉を開けようと試みる。まだ力が足りないのか開けられない。

 両親がすぐそばまで来たところで自然と扉が開いた。中から以前とまるで変わらない優しそうで穏やかな若い神父の顔が見えた…神父様が開けてくれたようだ。

「ん、君はたしか……」

「セレクト・ヴェントです。お久しぶりです神父様」

「あーヴェント夫妻の……」

 僕をまじまじと見る……

「大きくなったね、2年前だっけ?」

「はい、魔法の本をありがとうございました」

「役に立ったのかな?それは良かった。後で少し見せてくれる?」

 両親が後ろで控えていた、父が挨拶をする。

「こんにちは」

「こんにちは、今日は何用で?」

「息子の3歳の誕生日なので」

 それだけいうと神父は中へと入れてくれた。

「ご足労ありがとうございます、手短に済ませてしまいましょうか」

 神父の聖法は一種の予防接種の役割がある。”聖法の基礎”にそこはかとなく書いてあったのを思い出す。

「これで大丈夫です。」

 僕がそわそわしてる事に気づいている。

「いいですよもう。何か聞きたいのでしょう?」

「本貸をしていただいてありがとうございました。色々勉強させてもらいました」

「それだけ?」

「……他にも何か魔法関連の本がありましたら。拝見させていただけないでしょうか」

 丁重に頼むと神父は苦笑いをする。どうやら硬すぎたのがいけなかったのだろう。確かに子供らしからぬ発言だった。

「そんなに畏まる事は無いよ、じゃあこちらに」

 神父の後を追いかけて教会の奥へと案内される。書斎と思しき部屋で独特の臭いがする。脳裏に浮かぶのは教授の部屋。

「どんな本がいいのかな?」

「もっと詳しく説明がある本が良いんですが」

 神父が考えた後に指を振る動作をする。本棚の手の届かない位置にある本が浮かび上がり、手元へと降りてくる。

 どうやるのか後で聞いておこう。

「これ何かどうかな」

「……」

 本の内容は神やら精霊の事が書かれている。

「すいません。これよりもっと分かりやすいのを」

 何度も神父は本を選んで見せてくれるが何一つ理解出来そうな本が無い。そしてある疑問が浮かび質問をしてみる。

「えーと、話が少し変わりますが。今って世間一般に魔法の研究とかってされてるんですか?」

「んー、多くは国の認定を受けた人達が集まって研究をしているね。今詳しくは教えられないけど年に2個3個見つかってるよ」

「2、3……規模はどのくらいですか?」

「個人でも研究してるけど。ざっとこの国だけで1万人程の魔道士が研究してるんじゃないかな?僕もその内の一人だったよ」

「1万人もいて年に見つかる魔法が2、3個か……どういった研究方法なんですか?」

「何度も配列を変えて魔法を見つける、見つかったらどんな精霊が宿ってるかを調べるんだよ」

「それは気が遠くなりそうですね……」

 様はあてずっぽう……数撃ちゃ当たると言う事か。

(どうりで魔法をいくら覚えても原理が分からないわけだ)

 この魔法には解はあるけど、式が成り立たず。基礎が存在しなかったのだ。

 僕は魔法について調べるため最初に歴史の書物をあたる事にした。

「セレクト君は何かに気が付いたのかな?」

「はい。そのために魔法の歴史について知りたいんですが。」

「ほう。んー、これなんてどうかな。読みながら僕の知ってる事を色々教えてあげよう」

 本を読みながら神父の話を聞いた。

 魔法は最初……ただ光を生み出し闇を払うために使われていた。そこに疑問に思った先人が光を火に変える力が有る事を発見する。ちなみにこの人物はグランモアの使いと呼ばれているこの宗派の始祖にあたる人物。

 しかし、火は争いを呼び……幾重もの戦争をよんだ。”第一次精霊戦争”この戦争により数多くの魔法が生み出される事になる。

(だとしたら…この魔方陣は宗教の影響をすごく受けてる事になる。人は意味をつけたがるからな。分からない物を神や精霊に置き換えれば解決しやすいといったところか)


 西の空に夕日が見え始める。

「あー、悪いんだがそろそろ帰る時間だ」

「そうね、これ以上居たら神父様に悪いし」

「えっと……僕泊まっていきたいなー……」

「だーめ、今帰らないと暗くなっちゃうでしょ?」

「まだ聞きたい事あるし……」

「また連れて来てあげるわ。ほら神父さんも困ってるでしょ?」

「いいですよ泊まっていても」

 神父がそんな事を言うから母さんに睨まれてたじろいでいた。

 その後、どうにか泊まる事を許してもらう。

「じゃあ明日迎えに来ますから。今日はお願いします」

「はい、早く寝かせますから安心してください」

 不安そうにしながらも両親は帰っていった。

 神父はなぜだか嬉しそうに僕に話しかけてくる。

「セレクト君……何かに気づいたのでしょう?」

「僕みたいな子供に聞くんですか?」

「君を子供と思って話すことはやめます。だからあなたの魔法論を聞かせていただけませんか?」

 こちらが質問しようとしたが、その日は逆に質問攻めにあってしまい。

 解放されたのは次の日の朝だった。

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