29話 祭りの鐘
頭が痛い…その原因は明白で、昨晩開けたワインのせいだと考えるまでもない。
とりあえず水を補給するため、紅茶用の水差しを見つけ一口。
コップが見当たらなかったので直接飲む。
「はぁ…痛いな」
何年ぶりだろう…この痛みは前世の学生時代ぶりなきがする。
「そうだ…外…」
昨日、巨大化した大木を見る…あれからの変化はない。
「………」
何か他にも大事な事を忘れている気がする。なんだったか…
僕の意識が無くなる前だ…
なんとか思い出すために覚えている範囲で記憶を整理してみる。
ウェルキン校長が帰る間際に村長からの伝言を伝えたのは覚えてる…苦笑いを浮かべてたな。
ハーべスは…そうだ、ダウンしてベルモットが連れて帰ったんだっけかな?なんだか不敵な笑みを浮かべてたような…
カトレアは気がついたら居なかったし。
で…マリーとリザは………!!
目線が一瞬ぶれる…急激な不安や恐怖。
たしかマリーがリザを煽って飲ませまくった。
そして出来上がったリザは…
下を見るとシーツか、はたまた掛け布団だと思っていたのは女性物の服。
確認のた…
「ダメだ横を見るな、確認するまでもないじゃないか」
かろうじて視界の隅に捉えるベットの上、横たわった生足…
あと思い出せるのは、リザを制止しようとしてマリーに…殴られ、そして意識が飛んだ。
後頭部を確認するとたんこぶが出来ていた。頭痛はどうやらアルコールだけでは無かったようだ。
「誰にも見られてないよな…」
不意に窓の外にある大木が気になる…
「まさかね…」
そういえばマリーはどこに行ったのだろうか…と思ったら床で寝ている。こちらも半裸状態で目のやり場がなくなった。
どうする…今僕に残された道はいくつある?
ここから逃げるか?いやいや…後々気まずくなる。
起きて片付けでもするか?…だからリザとマリーが起きた後が大変なんだろ!
最良の一手を見つけろ!考え続けろ!
自問自答を繰り返し、対策を考えた結果。
寝たふりをすることにした。
リザにとって一番まずいのが僕が起きている事…
僕が寝ている内にリザが起きてくれれば、僕が寝ているという事を利用して証拠隠滅を図ってくれる。誰も傷つかないはず!
寝たふりをして10分ほどが経過…
ようやく事態が動く。
リザが最初に起きてくれた。
「あれ…って裸!?どうしようってセレクト居るし!…でも寝てる?マリーも裸じゃない!」
ゴソゴソと音がしたあとにスルスルと布が擦れる音が聞こえる。着替えているのだろう。
「マリー起きて…」
リザは小さい声でマリーを起こす。
「………ん…んーリザ?朝か?」
「それよりここセレクトの部屋だよ、早く服を着て出るよ」
マリーはブツブツ言いながら起きて周りを確認している。
「ほら早く!」
リザが一足先に部屋から出て行き。
マリーは無言のままで出て行…かない…
それどころかじっとこちらを見ている気がする。
すると足に軽い衝撃が加えられ。
「起きてるんだろ?」
「…………………………くっ早く行け、事態が悪くなる」
そうかと一言のこして素直に出て行ってくれた。
「ふぅ…これで万事解決か?事が上手く動いてくれた…んー、とりあえず片付けてからご飯食べて。クレープに使う調理器具でも作るか」
転がっているワインの本数を数えながら簡単に掃除を済ませ、その後に寮を出た。
空腹を満たし僕は早速、学校の廃材置き場で調理器具の錬金を始めていた。
生地を焼くための丸い鉄板を始め、冷蔵と冷凍機能を兼ね備えた収納箱。その他小さな機材一式。
「思っていたより上手く出来たな。魔力の消費量も今までの半分ぐらいに抑えたし。札一枚分の魔力で1日は持つ…むしろこんだけ改良の余地があったことに驚きだ」
次の問題は屋台だ…移動式でコンパクトかつ利便性を持たせる。
大きくして大丈夫かな…馬…いやマリーにでも引っ張ってもらうか。
だとすると大きい馬車ぐらいでいいか。
そうだ折りたたみも自動で全部やってくれるとかどうだろう!
「セレクトおはよう、言われたの買ってきたよ」
テンションが上がってきた所で声をかけられ、振り返れば頬を染めたリザが立っている。その後ろに荷物を運ぶマリーもいたり。
「ありがとう…じゃあ早速始めようか」
直ぐに僕は料理に取り掛かる。
それはここにある調理器具の具合を確かめつつ他に必要なものがないか確認しておきたかったから。
「先に調理器具の使い方を教えちゃうね」
まだ取り付ける前の機材を広げ、一つ一つを丁寧に教える。
「この丸い鉄板に魔力を込めれば程よい熱量になるし、こっちのレバーで温度調整も出来る。一番下まで下げると魔力が分散して切れる仕組みになってるから、加熱したい時はあげたままで魔力を注いでね。で、こっちの箱は魔力を込めると物を冷やして保存しておけるよ。ちなみに左が果物とかの冷蔵庫で右がアイスとか冷やす冷凍庫になるから。…次は生地の作り方かな」
生地の作り方から焼き方までも教える。
まだ手つきは慣れていないが、こればかりは数をこなしてもらうしかない。
アイスや生クリームの作り方は既に教えてあるので、はぶかせてもらおう。
あとは作り置き出来る果実のジャムぐらいかなと思っていると、大きな鐘の音が響いた。
昼の鐘は既に鳴っている。
「あ、お祭りの準備が整ったみたい」
リザが教えてくれた。
「………って時間がない!ジャム造りも教えたかったけどマリーと何とかして作って!僕は屋台の仕上げと…ああそうだハーべスの方も見に行かないと」
殴り書きでジャムのレシピを書きリザに渡す。
数秒レシピに目を通したあと、
「これなら作れそう。セレクトは頑張りすぎないでね。お祭りは1週間もあるし一日二日ぐらい大丈夫よ」
「いや、夕方までには終わらせておくから…クレープ屋に関わる人達を連れて来てよ」
あまり細部にこだわってはいられなくなってしまった。せめて外見と自動折りたたみ機能を完成させようと頑張ってみる事にした。
「あ、セレクト。君はこんな所にいたんだね。探してしまったよ」
屋台の完成と共にハーベスが現れる。
「これが出来たら錬金科に向かおうと思ってたんだ」
「僕も余裕をもって待ってるつもりだったんだけどね、鐘がなってしまっただろ?にしてもセレクトは本当に忙しそうだね…確認してもらおうと思って持ってきたんだけど…」
ハーべスは大きい画用紙を手にしている。
「いいよ、見せてよ」
中を確認させてもらう。僕も驚く程わかりやすく且つ簡単にカメラの仕組みが書かれている。文句など何も無い。
「ハーべス…すごいな、これだけで十分だよ。後は写真さえあれば」
僕の言葉で嬉しそうな顔をするハーベスだったが、はっとした後にバツが悪そうな顔になる。
「あ、ハーべスこんな所にいた!探したわよ」
カメラを持っていたのはカトレアで。
「よかった、間に合ったんだね」
きっと資料をまとめるので忙しく、写真をカトレアに頼んだのだろう。
「にしてもこのカメラっていいわね!私もすごく欲しくなっちゃったわ。てか売ってくれたら買うわよ」
「それはセレクトに聞いてくれ。それよりも撮れた写真を見せてくれないかい?」
「そうだった、はいこれ」
カトレアが写真をハーべスに渡したあと、僕の方へと来て売ってくれないかと交渉してきた。
別に問題はない試作機として完成品がいくつか余っていたはずと話していると。
「あれ…カトレア。僕が渡しておいた写真用の紙が半分ぐらいしか使われてないみたいだけど…余りはどうしたんだい?」
「ああ、落としちゃったみたい」
てへぺろといった仕草をするカトレア。しかし僕の視界からポケットに何かが入ってると直ぐに分かった。
「そのポケットにはいってるのは何?」
「ここれはその…あれよ!お財布!」
おかしい、確実に反応が変だ…てかどう見ても隠している事を隠せていない。
「いいから見せてみなよ」
抵抗を見せたが、背後に回ったハーベスに気づくと渋々残りの写真を出した。
何気ない人ごみの写真。
変なところは何も…ある。
主に学生…しかも手を繋いだカップルを中心に撮られている。
順々に見ていくとひとつのカップルに絞られ複数枚撮らている。
「ってあれ…これ男同士だな」
「僕は興味はないけど意外といるらしいね…男色趣味のやつらは。なんでも最初は興味本意で」
「ハーべス、それ以上の補足はいらないよ」
軽い嫌悪感がこみ上げてきたのでハーべスが垂れ流す情報を止める。
そのあとの写真は彼らの動向…主に物陰から撮られた物に変わり。なぜか民間の宿屋に入っていく、そして極めつけに、
「おい、ここまでは撮りすぎだろ!」
「僕も流石にこれは引かざるをえないね」
「ち、違うのこれは趣味とかオカズとかじゃなくて私の探究心がそうさせてどうしても真相究明に究極と真実の愛を知るべくして私は」
胸糞が悪くなってきて、いつの間にかカトレアを害虫をみるような目で見てしまった。
それに気がついたカトレアはため息と共に肩を落とす。
「とりあえずこれは没収」
「え…なんで!?」
どうやら返って来るものと思っていたらしい。
「これはとても気持ち悪いけど秘密であるべき物だ…おいそれと残していいものじゃない。てか絶対に誰かが傷つく…見逃せないよ。よって焼却だ」
「ああー苦労して撮ったのに」
まだ説教がしたりないようだ。というか噂好きのカトレアにカメラとかものすごく危ない組み合わせだ。先ほどの売買の話もやめよう…
道徳についてカトレアに話すと力無くその場から離れていく。
「ちょっとやりすぎじゃないかい?カトレアも手伝ってくれてはいたんだし…」
「いやいや、十分この写真もやりすぎだよ。早い内に良識を理解してもらわないと際限がなくなる」
たぶんカトレアの事だからどんな手を使ってもカメラを手に入れるだろう。
時間の問題ならばそれまでに人の人権がどれだけ大事か叩き込んでおく必要があると思ったまでだ。
「おお、これは上出来だな!」
いつの間にかマリーがそばにいた。
ジャム作りは終わったらしい、ほのかに果実の甘い香りがただよってくる。マリーの手にはジャムの入った赤い瓶が握られていた。
リザも近くに来ているだろう。後方に目を向ければリザを交えた他の女子達もいる。先ほど離れたばかりのカトレアも混じっていた。
全員でマリー、リザ、カトレア、リネアさんとフィアさんに猫耳娘のキャリアとかいったかな?それとベルモットも。
すでに夕方だが仕方ない、これから改めてクレープについて説明と役割分担をする。
まずリザとリネアさんとフィアさん…不安だがベルモットを料理担当者にする。カトレアとキャリアは順番に会計。マリーは…治安担当にでもしよう。
まあこれも初日だけの配置だ、慣れれば全員をローテーションさせて色々と経験させるのがいいだろう。
お披露目としてクレープ屋の屋台を全自動でセッティングする。
ハーベスとマリーがとても興奮してくれた。まるで子供が変形やら合体やらするロボを間近で見たような驚き様だった。
そしてクレープを作っている最中に疑問が僕に投げかけられた。それは焼く時間の目安だとか、具はどれくらい載せるとか、単価をいくらにしたほうがいいとか。
この学園の物価は外に比べて倍というほどでもないが高い。そのぶん給料も高いのだが。
リリアでアイスを売っていた時は半分ボランティアでやっていたが、今回はそうはいかない。儲からなければいけないからだ。
これだけの果物と砂糖、小麦、ミルクと卵を揃えるといい値段になってしまう。
「これだけで青銅貨30枚か…200…いや150食分と考えて最低でも銅貨5枚じゃないと元が帰ってこない」
銅貨5枚あれば十分お腹が満たせる額…それに対してクレープ一つだけで同じ値段。
釣り合いが取れていない…
「じゃあ銅貨8枚ぐらいが妥当じゃないかい?」
ハーべスよ庶民の感覚で考えてくれ…
「いくらなんでも高すぎるだろ…」
「そうでもないぜ、セプタニアではどうかわからんがこの魔法学園都市で売られているお粗末なケーキでさえ銅貨10枚以上するし貴族連中には好評だ。まあリザイアが作った本場のケーキを食べた後には銅貨10枚は出せないがな…とりあえず食べてから値段は決めようぜ」
ベルモットが言うには甘い食べ物は嗜好品で贅沢ということ。
ケーキは高くて手が出せないが。それに対してクレープはケーキよりも安く、背伸びをすれば食べられる。
そんな普段贅沢などしない一般市民はお祭りの雰囲気や今回しか食べられないと言う思いも出て買ってくれるかもしれない。
それなら行けると思えてきた。
後は皆の食べた感想があればいい。
とりあえず人数分を作るには時間がかかるので、二つ作ったところで人数分に切り分ける。
それぞれが口に入れてから味を堪能している。溢れる感想には賛美しか聞こえてこない。
「どんな感想を言っていいのか分からない…ごめんよセレクト。僕にはこれを称えるだけの知識が無いよ」
ハーベスは目をつぶりながら言う、まだ口の中で残った味を探しているようだ。
「ハーベスはまだまだだな。このクリームが生地と合わさった時の甘味、そして後からくる果実の酸味が相互に引き立て合ってまた新しい味が生まれてくる…美味いにつきる」
マリーはやっぱり食べ慣れてきているのか味を理解してきている。
「本当のケーキを食べた時は歓喜したが…リザイア、すまない。これはそれ以上だぜ」
ベルモットもハーべスと同様に新しい味に喜んでくれている。
「いいよ、私はセレクトに教えてもらってる身だし気にしないで。新しいものを作って、それを誰にでも作れるようにしてるセレクトってやっぱりすごい…」
リザは十分料理上手だ。このまま僕が料理を教えていけば十分創作料理なんかは作れると思う。
「本格的に宮廷料理人とかの道に進んだほうがセレクトにとっていいんじゃない?」
カトレアは褒めてるようだけど、そんな事は考えた事も無い。
「「………」」
リネアさんとフィアさんは一緒になって泣いている。そんなにかな?
「んー!んー!」
キャリアはガイアスみたいな反応だ。
「これを求めて戦争が起きても不思議じゃないと思うよ?」
とウェルキン校長が物騒な事を言う。
「ってどこから現れたんですか!人数分しか切り分けてないかったはずなのに」
「うん、食べてないよ。だから作って欲しい。出来れば紅茶もお願いするよ」
校長に頼まれたら仕方ない、断る事はしにくい。
「いやぁ、悪いね。一仕事終わって帰ってきたらいい匂いがしたもんでね」
そんなに臭うかな?…上からでも見てたんだろう。
「順調そうだね、カメラの方も上手くいってるのかな?」
「ハーベスが全部やってくれました」
「ハーベス君が…うん、大いに結構なことだよ。今年の優勝候補と期待しているよ」
クレープを食べ、美味しいと言った後に紅茶を片手にウェルキン校長は戻っていった。
にしてもカメラが期待される程の物なのだろうか…
それよりも問題はこれから。
彼女達に機材の使い方は見せたが、ちゃんと覚えてもらわなくてはならない。
やっぱりリザが最初にコツをつかみ生地をしっかり焼けるようになり。それを見た後は自由にやらせ、フィアさん達の指導をリザに任せる。
僕はせっかくなので出来の良いクレープを写真にするべくシャッターを切る。
そんな時だった。
「キャッ!」
リネアさんの悲鳴が聞こえそちらに近づくと写真が散らばっている。
「あ…」
先ほどカトレアから没収していた例の薔薇写真が地面に散らばっている。リネアさんが見てしまったようだ。
すると徐々にみんなが集まって例の写真を何事かと確かめる。
「セレクト様の荷物から…」
「ちょ、違う!それはカトレアが!」
しかしカトレアは知らぬ存ぜぬと言った顔で。
「人のせいにするのはどうかと思うぞ」
ってマリー!!
「前に男の人とキスをしたって…」
リザ、今その話を持ち出さないで…トラウマ的にもきつい…
すごい勢いで僕のホモ度が上がっていく。
早い所、誤解を解かないと明日にはやばい事になる!それは最終手段だった。
「カトレアさん…カメラ差し上げますから。何とかしてください…」
屈辱だった。こんなにも無力を実感した事は無い。僕の言ったお願いでカトレアは水を得た魚のごとく言葉を並べ。あっという間に厄介に絡まった誤解の糸を解いてしまった。
カトレアが手を出してニコリとしカメラをくれと言う仕草。
仕方ない…こればかりは。
すぐに焼却すべきだった…いや元はと言えばカトレアが持ってきたのが悪くて…
嘆いてもすべてが後の祭り。
僕のやる気がとても下がったことによってお開きとなり、この場を片付けて帰ることした。
明日からまた色々と忙しくなりそうだ。
―――時間が戻る事…朝
まだ誰もが寝ている中、一人だけ起きる気配が一つ。
「んーセレクトの匂いがする…あ、え?」
自分が一糸まとわぬ姿だと気がつくと同時に、ここが自分の部屋ではない事にも気がつく。
「どうし…」
体を起こそうとする前に誰かが起きる気配がした。
(え…ええ!!どうしよう)
「はぁ…痛いな」
セレクトが起きてしまった。
「そうだ…外…」
(何やってるんだろ私、早く隠さなきゃこっちに気が…ついてない?)
ゴソゴソとセレクトは動いているが、まだ寝ぼけているらしい。
リザは壁側を向いてしまっているので事細かい状況は分からない。
しばらくしてからものすごい動揺した感情が流れ込んできた。
「ダメだ横を見るな、確認するまでもないじゃないか」
混乱している中で最低限自分に配慮してくれているのが心から伝わる。
(確か服を脱ぎ始めたリザを止めようとしてマリーに殴られて気絶したんだ…たんこぶ出来てる)
リザはある条件を満たすと近くの人の心の声がはっきりと聞こえてしまう事がある。それは聞こうとしなくても勝手に流れ込んでしまうので本人にはどうすることも出来ない。彼女ならではの悩みの一つ。
ちなみに条件とは近くにいる人が感情を起伏させた時に置きやすく、セレクトの心の動揺がそれに当て余る。
(どうする…今、僕に残された道はいくつある?ここから逃げるか?いやいや…後々気まずくなる。起きて片付けでもするか?…だからリザとマリーが起きた後が大変なんだろ!最良の一手を見つけろ!考え続けろ!)
と、試行錯誤してくれた結果。
(寝ていた事にしよう!僕は何も見ていない…寝ている内にリザとマリーが出て行った。それで誰も傷つかないはず!)
しばらくしてからリザは起きた振りをした。
「あれ…って裸!?どうしようってセレクト居るし!…でも寝てる?マリーも裸じゃない!」
ここで初めて部屋の惨状を知る。
瓶は数本転がり、コップは散乱している。
部屋から出る前に片付だけでもしたかった。
しかし、既にセレクトは寝た振りをしてくれている。早く部屋から出なくてはならないという思いが焦りとなり。マリーに服を着せ、急かしながら一足先に部屋を出た。
「絶対私…はしたない女って思われたよ」
銅貨25枚=青銅貨1枚
青銅貨50枚=銀貨1枚
銀貨50枚=金貨1枚
一般市民の平均給料が青銅貨40前後で学園だと銀貨1枚ちょっとぐらいですかね。
以前セレクトが料理長のバイトをしたときの報酬で銀貨を5枚もらってたりとしたけど…じつはかなりの高収入でありました。