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魔法科学  作者: ひのきのぼう
――第3章――
21/59

21話 いざスペリアム!

 会場で放心状態のまま借りていた衣服を返し、寮へと帰ってきた僕は気を取り直して遠出するための準備をする。

 必要な物は魔晶石関連の資料と数枚の衣服。それと、

「ハーベスに声かけるの忘れてた!!」

 唐突に思い出した事はかなり重要で、いそいで男性貴族限定の寮へと走り出す。

 平民寮から貴族寮まではさほどの距離は無い…貴族寮の門は開かれていた。

「中に入って大丈夫だよな…」

 外見と内装はとても寮とは思えないほど豪華絢爛な作りなのだが…僕からしたらもっと機能性を充実させるべきだと思ってしまう。

 初めて入る貴族寮。玄関となる広間の左右に二階へ、そして三階へと上がれる階段が見える。

 ハーベスの部屋がどこなのか分からないので、広間にいる適当な学生に尋ねてみる。

 そういえばハーベス以外の同性の生徒とはあまり話をした事が無い事に気が付いてしまう。しかし、それはマリーやリザがらみから派生する縁がそうさせるのだ。と、納得することにした。

 そして複数の生徒達に聞いて回り…やっとのこと、

「すいません。ハーベス・ランス・リロイの部屋ってどこですか?」

「ん?左の階段から3階に行って、目の前の通路、そこの左奥から2二つ目の部屋だけど」

 親切に教えてくれる人がいた。

「て君は誰だ?」

「ハーベスの友達です」

「ぅおお!彼にもやっと友達と呼んでくれる人が出来たか。よかったよかった」

 うんうんと一人で頷いている。風体からして上級生だろう。にしてもハーベスはどんな評価をされているのやら…

「にしても、見ない顔だね…どこの部屋の人かな?」

「見なくて当然ですね。僕は平民寮ですから」

「ええ!あそこって使われているのか!?てっきり建て壊すとばかり思っていたよ」

 まぁ相当外見がおんぼろだったからな…といっても今は僕が全力で手直しして内装はとても綺麗だ。

「って平民が貴族寮に入ちゃダメだろ…」

「すみません。でも、どうしても今日中に伝えたい事がありまして」

 僕の本質を見透かすようにじっと見られる…

「…うん、君なら問題ないか。今日だけ特別に許そう」

 にこりと爽やかな笑顔で許可してくれたが、

「あの、あなたは?」

「ああ、俺はこの寮の風紀を任されていている。ユース・コル・バーグだ」

「そうだったんですか、僕はセレクト・ヴェントです」

 握手を交わす。

「すみません。では、急いでいるので!」

 急いで階段を上がる途中にユースが門限までには貴族寮を出るようとの声が聞こえ、僕は軽く手を挙げて返事を返す。


 言われた通りに3階に上がり目の前の通路いく、その左奥から2つ目のハーベスの名前が掲げられている部屋の前に来た。

 軽くノックをするとすぐに返事が返ってくる。

「こんな時間に何処の誰だい?」

「僕だ。セレクトだ」

 すると慌てて鍵を外す音がして、ドアが開かれる。

「さっ、早く入ってくれ」

 部屋に入るほど長居はするつもりは無いのだが通されてしまう。少しハーベスの部屋に興味が無かった訳でもないのだが…

「座ってくれ。何か食べるかい?」

 適当に座らされた丸椅子…辺りを見てみるがこれといって部屋を飾りつけるような物はおいていない。

「いや、話は早急に済ませなきゃならない。明日の準備がまだ終わってないんだ」

 すると、残念そうな顔をする…

「そうかい…で、何用かな?」

「実は明日スペリアム教国に行くことになった」

「おお!すごいじゃないか…もしかして今日の舞踏会の理由はそれだったのかい!?」

 ハーベスは自分の事の様に驚いてくれる。

「それで、ハーベスも来ないか?」

 しかし、誘ってみるものの難しそうな顔になる。

「うーん…それは無理かな。というかやめておいたほうがいい。帝国と教国は今では同盟国なんて言われているけど、セプタニアが仲介していなければ冷戦状態といっても過言じゃない程、仲が悪いんだ」

「でも、一般市民には…」

「僕が平民とかの身分ならね…でも僕は貴族だ。それと聖女の許しがあろうと、今後何かと彼女の行動にケチをつけたがる連中も出てくるはずさ…でも、すごく残念だ」

 そうか、身分の違いか忘れていた……

「…僕は詰めが甘いな。でも行く理由ぐらいは教えとくよ」

 魔晶石化に関わる話を事細かく説明する。ハーベスは信じられないような顔で話の内容を何度も確かめてきた。

「―――でさエーテルってのは空気中や物体に含まれる魔力の源なんだけど。生物はそれを体内で変換し魔力にする。そのさい特定の波のような構造になると僕は突き止めた。もちろん人それぞれ違う波状なんだけど。あとは魔法の構造を理解していれば魔力の変換なんて簡単なものさ」

「本当に簡単に言うね。他人の魔力に干渉なんて技術、聞いたことがないよ…で、魔力の変換なんてどうやるのだい?」

「昨日話しただろ。魔法ってのは振動によって魔力を臨界状態にさせて、現象を引き起こさせるって。その振動を波に変えるんだよ」

「正直、訳わからないね…」

 話についてこれなくなったようだ。時間も時間なので話を区切る。

「じゃあ、帰って来てから説明するよ。まだ準備が終わってないんだ」 

「長く居させて悪かったよ。次はセレクトの部屋にも呼んでくれ」

 またな、と言い僕は部屋を出る。階段を降りながら思う…

 何故だろう…少なからず話を理解し情報を共有してくれる友人が居るのが、これほどにも心躍る思いになるものとは、思いもしなかった。

 自室へと戻ってきたセレクトは創作意欲がわいてしまい。抑える事が出来なくなり夜遅くまで研究に没頭する。



 翌朝学校の校門前。

「二日半ぐらいの船旅だって」

「楽しみだな!」

「ふあぁ~…」

 リザとマリーの会話の横で眠い眼をこすり重い瞼で半眼になりながらセレクトはあくびをする。

「何度目のあくびだ。しっかり寝てきたんだろうな?」

 マリーが何度もあくびをかましている僕を見てあきれている。

「二時間ぐらいだから十分とは言えないかな…」

「研究事になると熱中しすぎだ。いざって時の対応に遅れるぞ!」

「あはは、その時はマリー…頑張ってくれ…そして少し肩を貸してくれ…」

 マリーは”たくこいつは”と悪態をつくものの肩を貸してくれる。

 頭の重心をマリーの肩に一任し目をつぶる。楽だなーと思いながら待っていると。

「なら私が支えてあげるよ」

 その言葉を発したのはリザ…一瞬反応が遅れてしまい少し体を引っ張られる。

 ギュッという効果音が適切な程の体勢…僕の鼻下程の高さのリザが全身で支える。

「え………!?」

 マリーが言ったそばから、リザの対応に遅れてしまった。

「だ、大丈夫!大丈夫だから離れよう!」

「本当に?」

 離れる事をリザに提案したが、上目使いのリザは危険なほどに魅惑的で破壊力がある。大人の対応をと心で叫ぶと、リザがクスリと笑い離れてくれた。

 僕は一瞬で目が覚めてしまい。上昇したアドレナリンは心臓に加速的な負担をかけ鼓動が激しくなる。

 そうこうしていると目の前に一台の馬車が止まる。目立たない為に装飾は控えめだが、この馬車に使われている技術が普通の馬車とは違う…瞬時に魔法で解析した結果、創生の大樹と同じものだった。

 もっと観察したいと近づくと、中からリネアさんの従者が現れる。

 それは昨晩、僕達を部屋まで案内してくれたフィアさんだ。

「どうぞ、お入りください」

 荷物を抱え馬車の中へ入り、さっそくフィアさんがこの後の説明をする。

 しかし、僕はそれどころではなく、内装にばかりに目が行ってしまう。

「―――手続き等はすでに終わっています。ただこの案件は極秘事項なので。その事だけは、お忘れなき用お願いします…ってあなたは聞いているのですか?」

 話を振られたのは僕だが昨日既にハーベスに事の説明をしてしまったなぁとか苦笑するしかない。

「リネアさんに迷惑をかけないようにって事ですよね?」

「様をつけてください!そうです、特に貴方は男性です。声をかけるのも許されないんですからね!」

 その後も何かとつけて僕だけが責められる…はぁと溜息をついていると馬車が止まり、目的の船の停泊場についた。

 各国でも、この魔法学園に来るには方法や乗り物が異なる。

 僕たちが下された目の前には大きな船が停泊している。しかし、セプタニアのようなドラゴンは見当たらない。

 そんな一見変哲もない船だが、こちらも使われている材料が創生の大樹という大掛かりな代物だ。

「一般には出回らないって聞いたのにな…国内運用する分には余ってるのか…」

 研究材料の調査も考えてはいたが、案外にも手に入るかもしれないと思っていると、リネアさんが現れ挨拶をする。

「皆さんおはようございます。こんな朝早くにすみません。すぐに出発しましょう」

「お待ちくださいリネア様」

「どうしましたフィア」

「いえ、この船は男子禁制のはずです」

「今更そんな事など気にしません。彼無しで帰る事が出来ないのは分かっているでしょう?」

「はい、ですから少々お待ちください」

 自分が棚上げされているのは分かるが話の意図が見えず。その場に立ちつくしていると複数の従者に囲まれ羽交い絞めにされ…

「え、え!ちょ待ってどういう事!ってどこ触ってるの!ウワァァァ!!」

 僕の悲鳴がコダマし…誰も助けてくれない。

 終わった頃には僕はフリルのついた白いワンピースと傘の大きい帽子を被らされていた。多少の化粧もされた気がする…わなわなと震えていると。皆が笑っている、その中でもマリーは腹を抱えて爆笑している。

「ふふっ…失礼しました。フィアこれで問題ないですね」

「はい」

「では急ぎましょう…っ」

 リネアさんが言い終える前に後ろを向く。どうしても笑いがこらえられなかったのだろう…後ろを向いた背中が笑っている

 先程から精神的にも肉体的にも疲れていて、反論する気も起きなくなっていた。

 諦めて周りに流されるまま船へと乗り込む…





「ではみなさん。各自の部屋に案内してさしあげてください」

 リネアさんは船長と挨拶をするために分かれる。

 各自に従者がつき、部屋へと案内されるのだが。

「キョロキョロしないでついて来なさい!」

 何で僕の従者がこのフィアさんなんだ…苦手だ。

「外見はただの船なのに内装はすごい綺麗ですね」

「当たり前です。我が国スペリアムでは芸術をこよなく愛するのです。他にも音楽や――」

 なんとか話の誘導に成功した。ガッツポーズをしながら改めて周りを見る。

 創生の大樹をふんだんに使った船。どうやってその一部をくすねるか考えていると船が揺れる…

 離陸したようだ。周りの木材が呼吸をするかのような、魔力による反応が見られた。

 ふと目の前を先導しているフィアさんの背中に集中する。そこには有翼人特有の羽…

「にしても、不思議だ…羽があるのに腕もある…」

「何ですかじっと見て!」

「いや、鳥の翼は腕が進化した物ですが…有翼人は腕に加えて羽があるので変だなぁと…あ」

「貴方は私達を愚弄しているのですか?」

 一番まずい質問をしてしまったと言ってから気がついた。

「ち、違います!ただの疑問です!研究者の視点から見てどのような進化をしたのかなーと」

 言い訳をするものの、意味はなさないであろう言葉をつらねる。

「こちらがあなたの部屋です」

 すでに部屋の目の前まで来ていたらしい。ふーと心の中で胸を撫でる。

 部屋に入り広さを確かめる。ベットと机が置いてあり一室にしては十分な広さが確保されている。

 礼を言おうと振り返る。

「ありが…」

 バタンと扉お閉める音…何かが締まるおと

「え?」

 ガチャガチャと扉を開こうとするがあかない。

「閉じ込められた!?」

 どうするか考えていると、眠気が襲ってきたので。とりあえず寝てから考えようと、ベッドに倒れこむ。

 まだ、船の浮力なんかが気になっていたが、船旅は始まったばかりだ…



 次に目覚めたのは昼過ぎ…空腹で目が覚めてしまった。

「ん…」

 そうだ、女装してたんだ…てかこの先、船に乗ってる間女装をしなくてはならないのだろうか…

「やっぱ着替えよ…」

 他の乗客にばれなければ問題ないだろうと私服にもどる。

 部屋の鍵はかけられたままだが、この程度の仕掛けを解けない僕ではない…

 物理的な仕掛けと魔法が絡んでいる……


 扉を開け通路を確認誰も居ない事を確認した後、コソコソと抜け出す。

 空腹のままだと詮索意欲もなかなか出ないので、食堂を探してみる事にする。

「マリーとか鼻がよく利くけど、どうやってるんだろ」

 頭の中で船の見取り図を考える…

「上に行くか」

 隠れながら移動している途中に、船の乗員が居たがやはり女性だった。

 各階の部屋を確認しながら最上階へ向かう。

 その途中に厨房を見つけ、中には侍女らしい女性陣がいそいそと昼食の作…いや片づけている。

 手づかみで食べれそうな物に狙いを定め、気づかれないように魔法で引き寄せる。

「初めて見る果物だな…なんだろ?」

 リンゴより一回り大きい。皮ごと食べれそうなので食べてみる。中心部に行くにつれて果肉が柔らかく、とても甘い。

「マンゴーとメロンを一緒に食べるとこんな感じかな?」

 果物を片手に最上階を目指す。理由はもう一つ、船に使われている浮力が何なのか調べるためだ。

 そして展望台まで上がってきた…なるべく人目が無い事を確認し、確かめるながら詮索を開始する。

「浮力を作り出してるのはあの帆に間違いなさそうだな…でもどんな魔法を使ってるんだ?近くで見ないと分からないな…」

 帆へと近づきたいが隠れる為の障害物が無く、近づこうか迷っていると。

「なんだ、セレクトはこんな所にいたのか」

「うおぉい!びっくりした、マリーか」

 マリーが近づいていた事にまるで気付かなかった。

「リザもいるぞ」

 後ろを見ると離れた所でリザが手を振って近づいてくる。

「マリー……今、気配消してただろ」

「セレクトが警戒していたからな」

「この格好だからね」

「なんだ女装はやめたのか。で、コソコソ何をやってる?」

「船の帆を調べようと思ってね」

「帆を調べてどうするの?」

 リザも気になっているようなので説明する。

「セプタニアはドラゴンで引っ張って飛んでたけど。じゃあこの船はどうやって飛んでるのかなと思ってね。そして調べた結果、あの帆が一番怪しい」

 もう一度周りを警戒してから、帆の真下へと移動する。

「………」

 見上げながら観察を続ける。

「何か分かったか?」

「…羽かな?何かの鳥の羽を束ねて…あ、有翼人の羽だ!」

「どういう事?」

「う~んと…鳥を人間と同じ大きさにしたらもっと翼は大きくなるはずなんだ。しかし、有翼人の翼はそこまで大きくない…多分、羽に浮力を生み出す魔法が組み込まれてるじゃないかなとは思ってた」

「その力を利用してこの船が浮いているのね」

「それが分かった所でどうなんだ?」

「自然的に出来た魔法は完璧に近いんだ。これをもし解読できれば世界を理解できる…かな?」

 自然を理解する事で科学を探求する術を魔法に置き換える事も出来る。

 魔法はすでに僕の中では科学の一つとなっている。

「あまりにも進んだ魔法は科学と見分けがつかない…てね」

「それより、船の中をもっと調べないか?」

 少しかっこをつけてみたが、華麗にスルーされる。

「そういえば、本が一杯置いてある部屋があったわ」

 一杯に本が置いてある部屋がある…だと?

「リザ、案内して!」

 後ろではうんざりしたマリーの顔が容易に想像出来たが。これほど有益な情報も無いので、優先的にその部屋へと案内してもらう事になった。

 図書部屋の扉を開けると、とても安心する匂いがする…

「やっぱり本の匂いはいいね」

 深呼吸している隣… 

「こんにちは、お昼は食べましたか?」

 声の聞こえた方に注目するとリネアさんとフィアさんが部屋の隅のテーブルにいた。

「あ、あなたは分かってるのですか!それにその恰好!!」 

つい本に夢中で部屋の中の確認を怠ってしまった。

「フィア、そんな物言いは許しませんよ。ヴェントさんすみません」

「不憫な事には慣れているので大丈夫です。それとセレクトでいいです」

 そんな事よりフィアさんの涙目で睨んでくるのを止めてほしい…

「よし、本があったな。じゃあ次行くぞ」

 早々と切り上げようとマリーが僕の…

「襟首をつかむなってあぐっ」

 図書部屋からズリズリと引きずられ出ていく。

「うむ、大義名分がもらえて一石二鳥だったな。これでコソコソしなくて済む」

 その後はリザとマリーの後ろについて回る…対賊用の武器庫や舵を取るための船橋室なんかは立ち入れないものの、覗き窓を通して確認できる。他にこの船には湯浴み部屋もあった。まぁ男子禁制なので僕は何があろうと利用しない…万が一が起こる確率は非常に高い。と、いうわけだ。

 そんなこんなでマリーの相手をしていたら、陽が落ちていた…

 夕食を一緒に食べようとリザに誘われたが、あまりリネアさんに近づかないといでほしいと言うフィアさんの要望もあまり無視は出来ない。よって一人で夕飯をいただく事に。

 就寝時間まで図書部屋より拝借してきた本を読み、教国の歴史を覗いてみる…

 スペリアム教国としての建国は1000年程前、その時には既に創生の大樹は存在し、様々な宗教が対立し覇権を争っていた。そのうちのエルフが納める宗派が創生の女神により神聖な物とし選ばれる形となったらしい。

 この本にはあまり具体的な事は書かれていないが、さわりだけなら何とか理解できた。

「何処から来たとかちゃんと書かれてないな。色々脚色してあるし…最近出版された物だから仕方ないか」

 腕時計を見ると10時を回っている。

 昼間に寝てしまった事で多少体内時計が狂っているので、無理せず眠る事にした。

 寝るための準備をする中で、湯浴み出来ない事を理由に不潔にするのもなんだと思い、濡らしたタオルを温め体を拭く。すると扉が叩かれ。

「失礼します…先ほどは本当にすみませんでした。無理を強いて我が国へと来ていただいているのに…って、あなたは何をしているのですか!!」

「ふぇ…?」

 扉をたたいてから間髪入れずに入ってきたフィアさんが半裸の僕をみて驚く。

 そんな反応されても僕は何も悪くはないはず。

「湯浴みが出来ないから体洗ってるんです」

 とりあえず至って冷静に返答してみた。

「それだったら湯浴み部屋を使えばいいでしょう!」

「いやいや、ここは女子専用で男子禁制ですよね?だとしたら風呂場なんて使ったら大惨事になるかも知れないでしょう」

 フィアさんはああ言えばこう言うと言いたげな顔をしているが、僕は正論しか言ってないはずだ。と、信じたい……

「うぅ………」

 なんとか情報を整理しフィアさんは冷静になってくれた。

「私が軽率すぎましたね。ごめんなさい…」

 今度はいきなりしおらしくなる。

「私は男性が…嫌いです」

 知ってます。

「がさつで、乱暴で、野蛮で…不衛生で臭くて常に女性をいやらしい目で見る…」

 間違ってはいない気がするが。それにしても、ちょっと偏りすぎている気がする…

「私はあなたにもその様な裏があるのではないかとばかり思っていました。本当にすみません」

「だいぶ一方的な言い分ですね」

 本当にすまなそうに頭をより下げる…僕もそこまで鬼ではないし、何か損をした覚えもない。したがって…

「でも、そのぐらいでいいと思いますよ。男が全部考えていないかといえば、そんな事は無くて。狼が多いのは確かですし」

「許して…もらえるのですか?」

「はい、ですから着替えの最中なのでこの辺で」

「!!」

 顔を真っ赤にしたフィアさんが、バタンと勢いよく扉を開閉し出て行った。

 扉を見つめつぶやく…

「僕も僕だな…きっと夕飯を一緒に取らなかったのでフィアさんが責められたんだ。リザも傷つけちゃったかな…次はちゃんと一緒に食べるか」

 たまには後悔が先に立ってはくれない物かと考えるばかりである…




 腕時計で早朝7時、食堂の食卓に僕は料理を並べる。

 厨房の料理長に頼んで僕が自分で料理させてもらった。

 昨晩の罪滅ぼしが出来たとは思わないが、せめて自分の株が少しは上がらないものかと行動する。

「ってこんな事考えてたらだめだよな」

 ははっと笑いながら自分の乾き気味の良心がとても悲しくなるだけだった。

読み返したけど…たぶん誤字脱字がひどいです;;

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