13話 二匹のドラゴン
色濃いい3日間が過ぎ。4日目の朝・・・
まだ日が昇り始めた時間…マリーを起こす。日が出てる間しかドラゴンは飛べないため朝早い。
起こしに行った時にはまだマリーはベットの中だった…急いで支度するよう言い聞かせて一階で待つ事10分…やっと降りてきたマリーは目を擦っている。
「遅い。行くよ!」
「あー…」
何か言いかけたが急いで宿を出る…マリーが付いて来てるか確かめつつ目的の場所を確認する。
場所は王都の外れの広場。走る事10分…広場が見えた。そして曲がり角を曲がった時―――
目の前にドラゴンが現れて少し戸惑う。が、気を取り直して確認する…ここが集合場所でよさそうだ。
それにしてもでかいドラゴン…しかも二匹。周りの建物を優に超えている。
ドラゴンに気を取られていて気が付かなかったが、大きな木造の船形の乗り物が鎮座している。こちらも相当でかい筈だが…如何せんドラゴンの迫力に押されてしまい、驚けない。
マリーもその威圧的な光景で目が覚めたようだ。
船に近づいて関係者らしき人に話しかける。
「あのー、すいません。ここが学園行きの船ですか?」
「ああ、そうだよ。合格者の人?おめでとう!」
「はい、ありがとうございます。それで…」
「そのまま乗って待っててください。1時間程したら出発しますので…と、搭乗券を拝見するの忘れるところだった」
搭乗券を見せ、荷物の検査を簡易的に行う。そして螺旋状の階段を上り…甲板から中に入る。
船の中を見たが乗客用の部屋が一層二層と20部屋、一部屋向かい合わせの長椅子があり4人入れる…ざっと乗員乗客100人の計算だ。僕達は指定された部屋を見つけた。
「ここだな」
「それより早くドラゴンをもっと見てみたい!」
子供のようにはしゃぐマリーに…僕も冷静を装うが、内心どきどきしっぱなしだ。
決められた部屋に入り荷物を置いてから、マリーと船の甲板に向かう。一刻も早くドラゴンを見たかった。
甲板出た僕達はドラゴンを探す、
「居た!」
指をさしてマリーが叫ぶ、その方向に目を向ける。
そこには先ほどの赤いドラゴンが二匹…寄り添う形で居た。外見は見るものを全てを畏怖に陥れそうな光景だが、ようく見ると足元に人影が見える…予想するに調教師だろう。
「………」
「………」
驚く事も忘れて見入っているとマリーがまた何か見つけたらしい。
「…あ」
僕もそれに気が付いた。
調教師の周りに小さな赤いドラゴンが二匹居る。かわいらしく飛び跳ねて調教師とじゃれている。
「ああやって、小さい頃から調教するのか…そうするとあの二匹はつがいのドラゴンか」
ドラゴンを眺めていると続々と入船をする人の波が見えたので部屋に戻る事にした。
部屋で他の人と相部屋になっても大丈夫なように待っていたが…一向に入ってくる気配は無い。
マリーは窓から見えるドラゴンをまだ眺めている。僕は魔道書を開きメモを取る…
結局出発の時間になっても誰も入ってこなかった。
「おお!」
マリーが驚きの声を上げると…地響きが聞こえてきた。
ドラゴンが動き出したのだろう、外では太いロープをいくつもドラゴンにくくりつける作業が行なわれていた。
「………」
マリーが緊張している事に気が付いた。
「どうした?」
「いや、これから飛ぶのだな…」
「う、うん。そうだね」
「落ちたりしないか…?」
「大丈夫だよ。船には何重にも魔法がかけられてたし」
「そうだよな!」
僕はマリーに安心しか与えられない…僕も初めてと言う事を忘れないで欲しい。
離陸の合図だろう汽笛の様な合図が響く。
離陸まで部屋の中で待機する。不意に軽く抱き上げられた時のような感覚が全身を襲う。
船がドラゴンに引っ張られるようにして浮上する。魔法により衝撃はある程度吸収されていた。
「おおお!」
窓の風景が動くのが見える。マリーは離れていく地上を見ている。
「見てみろ地上があんなに遠い!雲まで届くんじゃないか!?」
僕は王都を見渡せると思い、身を乗り出してみてみる事にした…
(何て巨大な魔法陣なんだ…)
「王都はまん丸だな!」
王都の半分が視認出来た。探査で見てみたが遠すぎて反応しない。でも、今までの知識で何とか補い、メモする事にした。
飛び立ってから15分…安定した飛行が続くので船内を見て回る事にする…
船は4層あり…上から1層2層は乗客の部屋で埋められている、3層は食堂や談話室が設けられていた、最下層は貨物室らしいので入れない。
3層の食堂へとやってきた…丁度、朝食を食べていなかったので食堂を使い注文しようとしたが、時間外はやっていないらしい。
次の営業時間は昼だ。ついでに談話室を見たが誰も居なかった
そこでマリーのお腹がお昼まで耐えられそうになく。
僕も空腹だしということで、何とか頼み込んでレタスとハムを貰う事に成功。コレでサンドイッチを作れる。
「じゃー甲板で食べよう」
「む、風がすごいんじゃないか?」
「んー、多分大丈夫。風除けの魔法がしてあったはず」
パンの一式を片手に甲板に向かう。途中ちらほら人影があり、若い人から年配の人が見かけられた…
船の甲板…無風、雲が動いてるのが見える。
ここにも人影がちらほら…マリーが手すりに掴まり遠くを眺めている…僕は適当な場所に腰を下ろし食事の準備をする。
準備が整ったのでマリーを呼ぶ。
「もう出来たのか!」
「うん、ほら食べるよ。はい」
「クエェー!」
妙な音が聞こえたのでそちらに目をやると、先ほど調教師とじゃれあっていた子供のドラゴンが飛んでいた。
子供のドラゴンが甲板に着陸…よたよたと歩いてこちらに来る。マリーもそれを見て興奮し始めた。
「おい、見てみろ近づいてきたぞ。可愛いなこいつ!」
「そ、そうか?」
間近で見ると僕の腰の丈と余り変わらない…体の鱗は赤く、岩肌みたいだ。
「キューグルルルルウゥゥ」
「何だ、どうした?」
「あ…」
パクッと言う効果音が聞こえた気がした。
マリーの手に持ったサンドイッチを食べられてしまった。
「あ………前言撤回だ…可愛くない!」
マリーは躊躇せず子供のドラゴンを叩く…
「おいおい、親ドラゴンに目を付けられるぞ。まだサンドイッチはあるんだから…」
「コレは躾だ…問題ない」
ありまくりだ!叫ぼうか悩んだが…子供ドラゴンはマリーが遊んでくれると思ったのか、じゃれ始める。
「おい…こら!じゃれるな!懐くな!」
問答をしているともう一匹の子供ドラゴンも何時の間にか近くに居たのか参戦する。
「うわー、セレクト助けてくれー!」
もみくちゃにされているマリーを見ながらご飯を食べ始める…ご愁傷様である。
マリーと子供ドラゴンの周りには何時の間にかギャラリーが増えていた。そんな光景を見ていると調教師の人が慌ててこちらへ来て子供ドラゴンを止める。折角いい見世物だったのに…
「酷いじゃないかセレクト。助けてくれてもいいのに…」
「あれくらい自分で何とか出来るでしょ…はいこれ」
「それもそうだが…ありがとう」
マリーが僕の隣に腰を下ろしたのでサンドイッチを渡す…すると食べるのに夢中になり文句を言うのをやめる。ついでにスープも渡す…
先ほどの調教師のそばに居た子供ドラゴン達が不意に振り向きキャッカキャッカとまたマリーに近寄ってきた。
「駄目だ。コレは私のだ!」
座りながら手お上げて、お預けのポーズをする。しかし、子供ドラゴンは頭を擦り付けるようにマリーのお腹の辺りを擦っている。
「はっはっ、くすぐったい…やめろー!」
「凄い…この子達が懐くなんて………」
何時の間にか調教師も近くに来てマリーと子供ドラゴンを眺めている…
調教師は女性で帽子を深く被っていて顔がよく見えない。
「普通は懐かないんですか」
「はい、普段は慣れ親しんだ人でも警戒するんです…子供だとそれはもう…」
子供ドラゴンはおとなしくなりマリーに寄り添う…その隙に急いでご飯を食べるマリー。
僕達に困った顔で訴える。
「何とかしてくれ」
「無理だよ、怖いよ…」
「うう、何でこんなに懐かれるんだ…」
「同じ匂いがするんじゃないかな?」
「同じ匂い…私は匂うか?」
「え、あー、っと…」
ふとマリーの匂いを思い出す。
「さー分かんないなー」
棒読みになってしまった…それから何とか子供ドラゴンを引き剥がし…調教師に託すと部屋に戻る事にした。
部屋に戻って来たがやる事は無く…昼食の後はマリーは寝てしまう。僕は再び魔道書を開きメモを取る。
魔法学園には1日では着かない。外を見ると夕刻の時間が来ていた。すると汽笛の様な音が鳴り響く、外を見てみると山の中腹で止まっている。夜にドラゴンは飛ばせないので休憩させるのだろう。この山も休憩用に作られているみたいだ。
闇が周りを多い尽くした頃。マリーを夕飯に誘い…食事を済ませ…部屋に戻り就寝した…
次の日の朝、寝ている内に船は離陸して飛んでいた。
適当にマリーと朝食を済ませた後…マリーは子供ドラゴンと決着を付けて来るとか何とか言って出て行った為、僕は単独行動をする事にした。
船内の内部に使われている魔法の仕組みを見ながら細かい所を見学する。
(防音にもなってるのか…こっちは錆止め…これはなんだ………)
見て回っていると声をかけられた。
「やぁ、やぁ…よかった。君を探してたんだ!」
「ん?」
声をかけてきたのは魔法使いより商人が似合いそうな少し太った小父さんだ。頭にはターバンを巻いている。
「昨日、甲板で面白い物を持ってたよね!」
「は、はぁ」
多分、簡易食品の一式を見たのだろう。
「良かったら見せてもらえないかな?」
「いいですけど…あれは最近普通に売られ始めてますよ」
「そうなの!?チェックしてなかったよ…」
「で、あなたは?」
「僕かい?僕はブライス・チェリオ…前まで商人をしていたんだけど。最近、便利な魔具とか売られてるでしょ。それで僕も居ても経っても居られなくなっちゃって人の役に立てる物を作ってみようと思ったんだ…で、全財産叩いて3年勉強してやっと学校に入れたよ!」
魔具とは魔法道具の略だろう。
本当に嬉しそうな顔で話す…裏表があまり無さそうな人だ。
「僕はセレクト・ヴェントです。リリアから来ました」
「リリアから!?だからか…色々な魔具を作ってるのもリリアだったよね。良いなー。学園に入る前に一度行って見たかったんだけど…なにせ遠いからねー」
適当に話を合わせた後に別れる。良い人そうだ…商人の中にはああいう人も居るんだなぁと認識を改め。ヤルグに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい…
色々見回ってるうちに甲板に出た。マリーが子供ドラゴンと楽しそうにじゃれあっている。声をかけようか迷ったが…かけずに辺りを詮索する。あまり目新しい物は無く、手すりに掴まり下を見る。深い森が広がっている…
地図を頭に描き思い出す。
ここは昨晩休憩に使った山を越えてから平坦で深い森と沼が続く場所…別名”後悔の根城”
この下はただの森ではなく魔獣クラスはたまた魔族が数多く生息している。魔族とは魔獣が魔法を行使する者を言う。そんな森に一度足を踏み入れたら最後…軍隊ですら無事ではすまない。
しかし、この森の真ん中に魔法学園がある。何でこんな所にと思うかもしれない、実際に僕もそう思う。
でも魔法学園は強力な結界を張り、そこに有るから仕方がない。
(逆に考えれば難攻不落の要塞…か)
上から眺めるからこそ見える物があった。エーテル観測で見てみると一定の流れでエーテルが流れている。
そのままボーっと眺めていると壁が見えた。幾重にも重ねられた結界の魔法と壁。その中心にあるのが魔法学園だ。
眺めていると段々と近くなる。息を呑む…王都もでかいと思ったが魔法学園は更に大きい。
学園と呼ぶのはあまりにも大き過ぎる…魔法学園都市と読んでも差し支えない気がする。
マリーも見てるのかと思い、周囲を確認したが居ない。急いで部屋に戻る。誰かと興奮を分かち合いたかった…
部屋に戻るとマリーは寝ていた、ただ気になるのが子供のドラゴンが2匹居た事だ…
「マ、マリーちょっといいかな?」
「………ん…何だ。セレクト」
「外見てみて」
身を乗り出して窓の外を見るとマリーが目を見開いて興奮する。
「何だコレは!これが魔法学園なのか!?」
マリーの声で二匹の子供ドラゴンが起き上がるとマリーと共に喜んでいる気がする。
「よし、甲板に行くぞ!」
マリーは勢い良くドラゴン達と出て行った。僕は降りる準備を済ませる為に荷物を片付ける。
荷物を持ちながらマリーが向かったであろう上へ移動する。
甲板に出て直ぐに見つかる、子供のドラゴンが目印になった。
子供ドラゴンを挟みながら状況を聞く。
「どう、マリー」
「ああ、凄い…王都よりでかいんじゃないか?」
「僕もそう思う」
船を運んでいるドラゴンが旋回を始めて着陸の準備を始める。
それを船の先で調教師の人が何か笛で合図を送っている。
徐々に近づく地面…
見ていると乗員の人に、手すりから離れるように言われた。
無事に着陸…続々と船から下りる乗客、中にブライスさんの姿も見えた。僕達も降りようと移動する。
船から螺旋状の階段で下りると…子供ドラゴンが塞ぐ、マリーに行って欲しくないのだろう。
「凄く懐かれたね、マリー」
「ああ、だいぶ仲良しになったからな…それでも、ガイアス…フェリア…ここでお別れだ。両親も心配をしているぞ?」
そうすると理解したのか、調教師の下に寂しそうに戻っていく。
そんな姿にマリーも何だか寂しそうだ…
「………って、名前付けたの?」
「大丈夫。公認済みだ」
「いや…そういう事じゃなくてね……」
マリーのセンスは今一わからない…マリーと問答を繰り返していると、案内役の男の人が来た。全身を覆うローブが魔術師らしい…改めて回りを見ると乗客は50人ほど居て、僕達とブライスさん以外は貴族だった。
魔術師の案内で船の停船広場から出る。
学園というか街中を案内してもらう。歩いていて学生は見当たらない。授業中なのか、はたまた休みなのか…学校へとたどり着いた。
「これが学校というものか…」
「多分、常識で当てはめると違うんじゃない…一般的なのと」
学校と言うにはあまりにも城過ぎる形の学校がそこに在った。
案内の進むままに中に入る。案内人に女性の人が加わると、男女に分かれる様に言われ、
「じゃーまた後で…ここで待ち合わせで」
「分かった」
マリーと別れる。
今から寮の説明になるらしい。確かに早く荷物を置いてしまいたい…
僕が案内されたのは学校の東に位置する寮。作りはかなり豪華だ…無駄な装飾が施されている。
寮の中に入ろうとしたら僕とブライスさんだけが止められる。
「なんですか?」
「いや、君達は平民だったよね…悪いけどここは貴族専用なんだ」
あははは、そうなんですか。大丈夫…期待なんか…してませんから!悔しくありませんから!
しぶしぶ案内された先は、質素な作りの大きめな寮。あまり綺麗とは言いがたい…寮の中へと案内される。
寮の作りは玄関から左右に分かれて通路と部屋が有る。中央には二階に続いている階段……3階立てだ。
「君達以外に平民は居ないから。自由に使ってくれ…それと今日、この後は自由時間だ」
最後に今後の予定を教えてもらい、ブライスさんと顔を見合わせて寮に入る。
「仕方ないね、僕達は平民なんだから…」
「そうですよね…なれっこですよね…」
足を踏み入れると軋む床…手入れのされてない棚はホコリだらけ…
寮内を簡単に見回してから部屋を決める。僕は実験をしたりするので二階の端の部屋に、ブライスさんは二つ隣の部屋へ。
部屋に入ると案の定、手入れなどされていなく…床や壁に穴が開いている。よかった事は部屋が広かった事ぐらいだ。
(もともと二人部屋の予定だったのか…ベッドは無しか…)
とりあえず荷物を置いて、部屋の中においてあった鍵で、部屋に鍵をかけてから寮を出る。
待ち合わせ場所まで戻る。すでにマリーが居た。
「遅いじゃないか」
「ごめん、それより部屋どうだった?大丈夫そう?」
「ああ、豪華な作り以外は問題ない…部屋に風呂が付いてるのが凄いな」
「え…?」
「ん…?」
ああ、男女には差がありますもんね…はいはい…分かります…
適当に呆れた感じで説明しておいた。
「それは大変だろうが…がんばれ!」
「………」
適当に学校内の見学を始める、通路は大きく石畳の作り窓は見当たらず、偶に吹き抜けの通路に出る。各部屋の扉は必要以上に大きく作られている。
途中食堂を見つけて腹をこしらえる…学生は無料らしいのでありがたい。
見回りながら学校内の地図を頭に描く。まだ部屋は外からしか覗いていない。が、学生は見当たらない。今日は休みの様だ。そんな時マリーが呟く…
「リザには会えないな…」
「コレだけ大きいと中々ね…でも直ぐに会えるだろ。ここの生徒に成れたんだし」
「あ………!!」
バタンと扉の開く音が聞こえ、そちらに目をやったマリーが声を上げるので僕もそちらを見た…その横顔の姿は少しだけ大人びて居たが、一年半振りに見たリザが居た。綺麗な銀色の髪は制服と思われる茶色い服にあいまってとても綺麗だ。
「リザ…リザぁ!!」
叫んだマリーに対してリザは一瞬理解出来ていない…僕達はそんなリザに近づく。
「え、嘘、なんで、え?どうしてマリー?…セレクトも!?」
口に手を押さえて驚いている。そんなリザにマリーが抱き付いて、
「約束通りに会いに来た!」
「だって…そんな無理だよ…あ、夢ね…」
「リザ…僕達も学園に入学したんだ。よろしく」
「そんなセレクトなら分かるけど…マリーが…」
「まぁ、言いたいのは分かる…僕も一年苦労したよ。実は僕一人なら去年これたんだけどね。マリーが…」
事の経緯を話して納得してくれた。
「じゃー、マリーは剣術科に入るのね?」
「剣術科?」
リザが簡単に説明してくれた。この魔法学園は魔法とは言っているが、目的は勇者の発掘と育成…基本的な魔法はもちろんの事、剣術専門の科や錬金術専門の科と言った物がある。もちろん掛け持ちも可能だ。ちなみにリザは聖法専門の科に所属している。
「で、リザは何をしていたんだ…今日は休みなのだろ?」
「うん、ちょっと聖法科で使う薬草の水遣りをね」
「そうか、この後は…」
「大丈夫だよ、時間も有るし学校を案内してあげるね!」
リザの案内で見て回る、様々な教室を案内してもらい最後に屋外に出て…
「で、ここが実験で使った廃材を置くところ…と、こんな感じかな?」
「ありがとう、リザ。だいぶ分かったよ」
特にこの廃材置き場は重要だ…適当に漁って見るが使えそうな物がゴロゴロある。
「だいぶ遅くなったし戻るか」
「あ、その前に皆でご飯を食べましょ」
「大賛成だ、歩き回ってお腹がすいた…」
リザが紹介してくれた外の店で食べる事にした。三人での小さな再会の宴…
そんなのも束の間…部屋へと戻ってきた頃には外は真っ暗だった。消灯時間はあまり決められていない…
「忘れてた!…ベット無いんだった………」
力無くホコリ臭い部屋を見渡す。ホコリだけでもと思い、窓を開けて魔法で掃除した後、荷物を枕に寝る事にした。
「硬いな…」
こうして僕の波乱万丈の学園生活が始まったのだ。