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Epitaph Ⅱ

掲載日:2026/09/25

 それあたかも、ジャンバルジャンの墓石が他の墓石から離れ、人の歩く小径(こみち)の絶えた處(ところ)、古い朽ち壁の傍(そば)、昼顔の絡んだ木の下、茅草に隠れ、緑の苔や黒い黴(カビ)に覆われ、日が差せばトカゲが這うけれど、鉛筆書きの四行詩も消え、人知れず、自然へと還(かえ)りそうなふうであるに似て、・・・ただ、実在する。


 深い紫の紺(こん)が、黒のベルベットのように濃く、眼が痛いほど強く鮮やかなそれ。


 地中海がたとえ誰も見なくとも、美しいように、美しい。


 刻まれた散文詩は、ニューヨーク、ハーレム、赤煉瓦(レンガ)の古いアパートメント、塗料が斑(まだら)に剥(は)げた壁が塗られまた剥げたその上に貼られたポスターが雨に破れその上にまた貼られ、名状し難(がた)き複雑な味わい、建物前の階段に坐って、アフリカ系アメリカ人がハモニカで鳴らすブルース、金属のリードの震え。


 誰にも顧みられぬ『index7-2』。人の見ぬContents.もはや自然物と化し、ただ、実在する丈(だけ)。秋のさらさらした、透明でまばゆい、室内の反射陽光の下(もと)に、乾(ひ)涸(から)びた明晰(めいせき)な、物質性。


 人類が滅びた後の、観る者が一切あり得ない、無人となった世界に、それが在り、又在ったという事実が、孑(ぽつ)と存(い)る。


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