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魂のラリアットを受け継ぐ者

 母親の病気が奇跡的に回復したコウタとミオは、鬼ヶ島を後にした。母親は、元気になった体で、二人に笑顔を見せてくれた。


 コウタの心には、ある目標が刻み込まれていた。将来、強いプロレスラーになること。


「お兄ちゃん、お母さんの病気治してくれて、ありがとう」

 ミオがそう言うと、コウタは照れくさそうに頭を掻いた。


「俺が治したんじゃない。ブラディが治してくれたんだ」

 それから、コウタは毎日、近所の公園で練習に励んだ。時には、壁にアメリカン・ラリアットを打ち込み、近所の住民に怒られることもあった。


 コウタは、高校、大学とプロレスを続け、卒業後、念願のプロレスラーになった。しかし、彼のスタイルは、かつてのブラディとは全く違っていた。彼は、忍者スタイルをベースにした悪役レスラー、「半蔵」としてデビューしたのだ。


 悪役でありながら、その華麗な技とカリスマ性で、半蔵は瞬く間に人気レスラーとなった。彼の試合は、常に観客を熱狂させた。


 ある日、半蔵は、師匠である「燃える獅子」シン・マコトと対戦することになった。シン・マコトは、イノノキがこの世を去った後、その意思を継いでプロレス界を牽引してきたレジェンドレスラーだ。彼は、半蔵の才能に早くから目をつけ、若手時代から目をかけていた。


 試合は、壮絶な打撃戦の末、シン・マコトが半蔵にジャーマン・スープレックスを放とうとした。その瞬間、半蔵の脳裏に、鬼ヶ島での光景がフラッシュバックする。


「うぉおおおおおおお!」


 半蔵は、シン・マコトのジャーマン・スープレックスを切り返し、渾身の力を込めて、必殺の「魂のラリアット」を放った。


 シン・マコトは、マットに沈み、半蔵からスリーカウントを奪われた。


「お前は、強くなったな…」


 試合後、シン・マコトは、半蔵にそう告げた。


「俺は、ブラディの魂を受け継いだんです…」

 半蔵は、心の中でそう呟いた。


 半蔵は、その後もプロレスラーとして活躍し、世界的に人気のあるレスラーとなった。彼の心には、あの日の鬼ヶ島での出来事と、魂のラリアットを放ったブルドーザー・ブラディの雄姿が、今も鮮やかに焼き付いている。


 そして、半蔵は、ブラディのように、観客を熱狂させ、夢とロマンを与える存在になっていた。


 彼のラリアットは、かつて鬼ヶ島で放たれた魂のラリアットのように、人々の心に深く刻み込まれていた。

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