表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生贄娘と呪われ神の契約婚  作者: 乙原 ゆん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/65

六十.生贄娘、帰ってくる

「香世、もう、目を開けて大丈夫だ」


 そう言われ目を開けると、元の村に戻っていた。

 香世は何度か目を瞬かせ、状況を確認する。

 白麗と真白が争ったため、荒れてはいるが、もう瘴気は残っていない。

 血や埃に汚れた真白の体だけが、そこに取り残されていた。


「紫水に、弔う場所を聞かねばならんな」

「紫水様を呼びにいきましょうか?」


 香世が申し出ると、白麗は首を振った。


「瘴気が消えたのだ。様子を見に来るだろうし、すれ違いにならぬようここにいよう」


 そう言って、白麗は上着を脱ぐと、丁寧な手つきで真白に上着を被せる。

 黙り込み、真白から目を離さない白麗に、香世は思わず尋ねていた。


「真白様を、助ける術はなかったのでしょうか……」

「……無理だろうな。堕ち神になって長かったようだし。……だが、堕ち神ではなく、楠実村の真白として死ねたのだ。本望だろう」


 一度、言葉を切ると白麗は香世を見る。


「香世は……」


 だが、言葉は続かず、白麗はそのまま黙り込む。

 白麗が何を言おうとしていたのか気になったが、随分待った後に「やはり、いい」と言う白麗に、香世は別の事を尋ねることにした。


「あの場所は、どこだったのですか?」

「……神界の、黄泉の国に繋がる原だ」


「あのように、簡単に行き来できるのですか?」


 すると、白麗は首を振った。


「あの時は、死期が近い真白殿がいたからだ。私の力が十全であっても、簡単に行ける場所ではない」

「そうなのですね……」

「私や、紫水の屋敷にも、道を通ってきただろう?」


 言われてみると、そうだった。

 香世が頷くと、白麗もそれきり黙りこみ、今度こそ二人の間に沈黙が落ちた。



 紫水がやってきたのは、それからすぐのことだった。


「彼が、あの瘴気の主か」


 白麗の説明で状況を把握すると、一つ頷く。


「この村にある私の社に、葬ることにしよう」

「いいのか?」

「彼が昔、祀られていた村の生き残りもいるのだろう。それに、最期は神として旅立ったのだ。問題は無い」

「紫水がいいのならば、それが一番良いだろう」


 白麗が真白の体を抱え、紫水の社に向かうと、その場に避難していた村人と共に丁寧に弔う。

 後日、村が落ち着いてから塚を築くようだった。

 もう日は暮れかけていたが、他の村を見に行くという紫水と別れ、香世は白麗と共に先に屋敷に戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ