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生贄娘と呪われ神の契約婚  作者: 乙原 ゆん


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二十五.生贄娘、事情を聞く 二

「最初に浄化の効果を感じた時はまだ確信がなく、香世にいたずらに期待を持たせるのはと、真実を告げることを躊躇っていたのだ。そうしているうちに、砥青もやってくるし、言う機会を逃してしまった」

「砥青様が怪しいと、最初からお気づきだったのですか?」

「いや。最初に対面した際に、違和感を覚えたのだが、気のせいだと思っていた。すぐにそれどころではなくなったからな」

「それどころではない、とは……?」

「薬草茶で瘴気の浄化が進んだとはいえ、取り込んだ瘴気の浄化は簡単ではなくてな」

「体調がお悪かったのですか……?」


 驚いて白麗の顔を真っ直ぐ見上げる香世に、白麗は相好を崩す。


「心配してくれるのか?」


 狼の姿であれば、尻尾はぶんぶんと振られているだろう。

 そんな雰囲気が読み取れる白麗に、香世は頷く。


「もちろん、心配します。もう、ご体調はよろしいのですか……?」

「あぁ。香世のおかげだ」


 そうして、じっと金色の瞳が熱を含んで香世を見下ろす。

 その視線に耐えかねて、小さく身じろぐも、香世の体は白麗が抱き締めるように抱え込んでおり逃げる場所はない。


「あの、白麗様……?」

「会えない間、香世は私を恋しく思ってくれたか?」


 どこか切なげに、乞うように問われ、香世は素直に想いを零していた。


「……はい。とても、寂しかったです」

「我が妻は、とても愛いの……」


 金色の瞳を甘く溶かして香世を見つめる白麗に、香世も頬に熱が集まる。


「これが会えぬ時間が想いを育むというやつであろうか」


 そっと、白麗の手が香世の頬に添えられたその時だった。


「主様、砥青様がお目覚めになられました。白麗様にお会いしたいとのことです」


 襖の向こうから楓の声が響き、はっとしたように白麗はそちらを見る。


「わかった」


 そうして、香世を見る。


「私はこれから砥青の元に行く。香世は、先に休んでおくか?」


 白麗が香世のことを考えてそう言ってくれているのはわかったが、この一月、世話になった砥青を放って休むことは香世にはできなかった。


「よろしければ、私も共に行ってもよろしいですか?」

「あぁ」


 流石に白麗に抱かれたまま行くわけにはいかないと、問答の末に降ろしてもらって、香世達は砥青の元へと向かった。

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