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生贄娘と呪われ神の契約婚  作者: 乙原 ゆん


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18/65

十八.生贄娘、思い悩む

 あっという間に、砥青が来てから一ヶ月が過ぎていた。

 白麗は相変わらず姿を見せない。


(今日は、お会いできるかしら)


 朝、目を覚ました香世は、白麗のことに思いを馳せた。

 毎日、楓と桜に白麗に会えるかどうか聞いてしまうが、二人に聞いても困ったように「今日も難しい」と言われてしまう。

 香世自身も、二人を困らせると分かっていても、聞かずにおられないのだ。

 香世は、右手を宙に掲げ、白麗の契約紋があるはずの場所を見つめる。

 今は見えなくなっているが、その場所には白麗の契約妻となった証があるはずなのだ。

 それに、既に白麗は香世との約束は果たし、地上の雨を晴らしてくれている。


(だから、今、少しくらい会えなくても、私は白麗様を信じるわ)


 神には神の事情があるのだろう。


(私は、私にできることを頑張ろう)


 考えて居ると、襖の外から楓と桜の声が聞こえた。


「おはようございます」

「起きていらっしゃいますか」

「楓さん、桜さん、起きています」

「失礼いたします」


 入ってきた二人に着付けを手伝ってもらいながら、香世は今日もダメだろうと思いながらも、尋ねていた。


「本日は、白麗様は――」

「……本日も。申し訳ございません」

「あっ、ですが、お着物は、白麗様が選ばれたものですから!」


 そう言って頭を下げる二人に、香世は首を振る。


「いえ。ご事情がおありと伺っておりますから。私の方こそ、毎日尋ねてしまってごめんなさい」

「いえ!」

「香世様はお嫁様なのに、お構いできない主様が原因ですから」

「こら、桜」

「だって本当のことだもん」


 楓の叱責に、桜はむっと唇を尖らせる。


「私も、我慢しなければと思うのですが……でも、どうしても聞かずにはおられなくて……」

「いいのです!」

「むしろ、香世様が何もおっしゃられなくなったら、主様は見捨てられてしまったのだなと思ってしまいます」

「そんなことは、絶対にいたしません」

「よかったです」

「明日も、遠慮無く聞いてください。その、お答えは変わらないと思いますが……」

「わかりました。ありがとうございます、楓さん、桜さん」


 香世は、仕度を調えてもらうと、朝食へと向かった。

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