表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/49

第三十回「孤独に慣れた筈なのに」そのニ(ソニアサイド)


「ソニアちゃんはあの忌々しい事件をなかったことにすることはできないでしょうね。 私も生徒会メンバー全員を信じてあげたい。だからあの時の判断は正しかった。英断よ。でももう誰も傷つけたくないからって、一人で全てを背負うのは違うわよ。周りの人達も心配してる。いつか取り返しのつかないことが起きるんじゃないかって」

「それは私も危惧しています、しかしもう、私はあんな辛い決断をしたくないんです。 信じているものを疑うのは苦でしかないです。大好きな友達だったんです、みんな。その中で取り返しのつかない罪を犯した人がいるなんて私は信じたくない」


 そう、生徒会発足後暫く後の一学期、学校全部を巻き込み警察沙汰になった大きな事件が発生。その容疑者が生徒会役員全員だった。

 でも証拠が出てこなかったのでこの話は うやむやになる。

 容疑が晴れても一度失った生徒からの信頼を取り戻すことは容易じゃない。

 第一、硬い絆で結ばれた私達の友情と信頼が修復不能なほどガタガタになった。この状態でメンバーが現役復帰しても以前のようなパフォーマンスなど夢のまた夢。


「深刻な問題。あの事件がまだまだ貴女を支配しているんだね。でもそろそろ楽になってもいいんじゃない?」

「……済みません。あ、紅茶を入れたのでどうぞ」


 お湯を沸かしたから茶葉を急須に入れて、紙コップに注いだ紅茶をお客様へお出しする。接客は不慣れなものなのでポンコツ丸出しだったに違いない。


「ありがとう。あら電気ケルト持ってきたの?」

「ああ、 知り合いに口うるさいのがいて、生徒会なんだから外部のお客さんを淹れることもあるでしょうって。最低限のおもてなしはできるようにと。私は贅沢品必要ないと思っているんですけど、これだけで相手への印象がだいぶ変わるそうなので……」


 学校に迷惑しかかけない不良の分際で、私にお説教するなんて千年早いですよ。


「あらら……、私も助言したいこと先に忠告ちゃった。ソニアちゃんが自分で気づくの持ってたんだけどなぁ」

「すいません。私そういうことに関しては 無頓着なんで……」

「ソニアちゃんも着眼点は非常にいいよ。学生の本分は勉学。外交でも接客でもない。でも、最低限のもてなしの心は持ってないと」

「勉強になります」


 赤村先輩は私の頭にポンと手を乗っけてきた。そのまま撫でられる。

 久しぶりの感触だった。生徒会長になってからあの事件でクラスでも孤立してしまい、頭を撫でてくれるのはもう先輩しかいない。


「でも、いつの間に優秀なアドバイザーを雇ったんだろう? 私としたことがぬかったわ」

「ただのお節介な小姑ですよ。あいつは……」


 まさか敵にアドバイスところかお弁当まで貰っているとは言えない。


「その言い方だと紅羽君じゃないわよね。ソニアちゃんは信頼してる人にあいつ呼びなんてしないから。はてさて、ではこの 分からずやに言うことを聞かしたMVPの殿方は一体誰なのでしょうか?」

「引っ掛けには乗りません。性別はご想像にお任せします。それに先輩酷いです。私は理解力ある方だと思いますよ」

「ないない。これっぽっちもないわよ。これだけ皆心配してるのに己の信念を曲げようとしないんじゃ頑固者の何者でもないわ」

「うう……」


 先輩が指摘している事は正解なのでカウンターを入れられない。


「まあ、性別はともかく相手がどれだけソニアちゃんを大切にしているか分かるわね」

「え?」

「最近この新生徒会室の雰囲気が明るくない? 一見そんなに変わらないけど雰囲気が良くなった。埃っぽくないしラベンダーのお香を焚いているのかとてもいい香りもする」

「言われてみれば……」


 気づかなかった。最近、生徒会室が居心地いいと思ったら誰かが気を使って綺麗にしてくれてるらしい。

 一体誰が? 


「その子、体が弱いソニアちゃんのことを案じて気を使っているのね」

「それはありえない、ありえないです。あいつに限ってそれはないですよ」


 あの不良が私の弱みを握ること以外で善行をするとは考えられない。


「なら紅羽君がソニアちゃんの体を気を使って清掃してくれてるんじゃないの?」

「ああ確かに。あの人だったらやってくれそうですね」


  あの不良にも紅羽君の爪の赤を煎じて飲ませたいものだ。あの憎たらしい仏頂面も少しはマシになるのではないだろうか。


「そうそう深夜こっそり来てね。自分の手柄を自慢しない子だから、秘密裏に何でもやるんだろうけど」

「そうですね。そのうち泥棒に間違われそうですね……あ、 深夜といえば盗難の件は聞きました?」

「うちのクラスでも被害者が出てるわよ。許せないね女の敵よ。ロッカーに入れておいた制服とか下着とか盗まれてるみたい」

「そんなものですね どうしようっていうんでしょうね?」

「そういう特殊性癖の好事家が世界にごまんといるんだよ。ネットで売りさばけば相当な額のお金が入ってくる」


 それは怖い。そんな変態が世の中に一杯いるんだ……。

 なら剣舞高生徒会長がクマさんパンツを履いていることに気づかれないうちに、普通の下着にチャレンジするかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ