表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/66

第21話 悪役令嬢ハナちゃんの授業風景。ある意味授業参観。

 幼い妹をこぢんまりとした教室に置いてきてしまったお兄様は、天井に立派な宗教画が広がるすり鉢状の大きな講義室で、学園長室から無理やりもぎとってきた怪しげな機械を眺めていた。


 片手で持てる本よりもやや大きなそれに、さきほど目にしたばかりの教室の様子が、はっきりと映っている。


『まずは教科書を開きなさい』


『お兄にゃーん、お兄にゃーん』


 幼い声を超え、まさに猫そのものといった鳴き声に耳をすませ、眉間にぐ、と皺を寄せる。

 あの教師と妹の相性がいいとは思えない。

『開きなさい』といいながら開いてやっているのは悪くはないが。


「おい、シオン。それはハナか?」


「ああ。お前は見るな」


 クールなお兄様はカナデの問いにクールに答えた。

 幼い妹の授業風景を見守るのは家族だけでいい。


『教科書の上に寝てはいけない。こちらの猫用クッションを使いなさい』

   

『お兄にゃーん、お兄にゃーん』


 バリバリ……――、バリッ――、バリバリッ――。


「気になるんだが」


「耳をふさげ。ついでにあっちへ行け」


 悪役令嬢の婚約者(仮)と悪役令嬢のクールなお兄様が小声でどうでもいいやりとりをしているあいだに、画面の向こうで問題が起こる。


『にゃーん、にゃーん!』


『引っかかっているな……。この問題はどう解くべきか……。『猫用』という謳い文句はなんだったのだ。猫に優しくないのであれば、この商品は誰のために存在するものなのか――』


『お兄にゃーん! おにぃにあぁーん!』



「なんだ? ハナの鳴き方がおかしい。おい、俺にも見せろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ