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第18話 話を聞く前に終了した話し合い

本日複数話投稿しています。

 すると彼女は『さすがは悪役令嬢……』という気高さで、礼も言わずに「フシャー!」といった。

 応接テーブルへ素早く飛び乗り、猫手で激しく叩きはじめる。


「にゃーん! にゃーん!」


 彼女の手でバシ! バシバシ! とされたおもちゃはされるがまま、テーブルの上でチョ! チョチョ! と左右にずれた。


『もう死んでいます』と。


「ああ、退屈させてしまったかな」苦笑する年齢不詳なイケメン学園長の目が、悪役令嬢ちゃんと飾り付きおもちゃを追う。


「式の前に伝えておきたくてね、実は――」


 本題に入ろうとした彼を、『さてはストレスレベルを顔で表現してるな』と断じたくなるほど不機嫌な顔をした、いかにも神経質そうな男が、おもちゃを滅多打ちにする悪役令嬢を見ながら遮る。


 眼鏡をかけ、ネイビーに近い髪を後ろへかっちりと撫でつけた姿の、お堅い美形副学園長は、硬い声で言った。


「それでは授業を受けるのも一苦労でしょう」と。


 その瞬間、男に向かってシュッ――! と虹色の何かが飛来した。



 バシ――! バシバシ――!


「にゃーん! にゃーん!」


 どういう因果か、ストレス値の高そうな副学園長の頭に、猫の獲物的なものが引っかかっている。

 そして、考えようによっては『獲物と密接な関係にある』ともいえる副学園長の足を、獲物を追うハンターの肉球が、これぞ悪役令嬢という勢いで、激しく殴打する。

『シネェ! シネェ!』と。


『もう死んでいます』


 という目の副学園長はそのまま静かに、話し合いを終了させた。

「追って連絡します」と。


 パタン――。


 荒ぶる妹を抱え、廊下へ出たクールなお兄様の手には、よれた封筒が握られていた。

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