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――勘違いしないでね。積極的に外に出てたのはお父さんも知ってた。

 ミヤモトはね、調べれば調べるほど、凶悪な事件に関わってた。

 強盗、殺人、誘拐、レイプ。通り魔的な事件じゃなくて、全部が何かに関わってる計画的な物。

 本当に胸糞悪くなるような事件ばっか。お姉ちゃんがそんなの許して置けると思う?


 無理だな。今の俺を形成してるのは幼少期に姉ちゃんの背中を追い続けたからだ。

 つまるところ犯罪者を許しておけないところ。頑固なところ。素直じゃないところ……は似てないけど、大体の事は葉月姉ちゃんから教わった。

 だから俺も許せねえ。この手紙に軽く事件について書かれているが酷いもんだ。


 今から14年前。手紙が書かれた日からだと8年前この街で暮らす、それはそれは幸せそうな1家が惨殺された事件があった。正確には子供と奥さんが死亡、旦那が失踪。

 手紙に書かれている内容だと、父親が裏の組織に関わっていたらしい。

 母子の遺体にはあらゆる拷問の後があった。らしい。


 またある時は大企業の御曹司と婚約の決まった中流家庭の女の子が誘拐。帰ってきてはいるが、とても無事とは言えない状態で帰ってきた。らしい。


 触りだけでもこれだ。吐き気を催して来た。悪いけども事件に関しては、これ以上読む事を脳が拒否してやがる。


「……姉ちゃん、わりい」

 目を滑らせて事件の所は読み飛ばした。

 

 ――つまり、このミヤモトって男は人の事を人とも思ってないサイコパスって事。お姉ちゃんの見立てではそんな所だね。

 そんなのが家族を狙っているなら、全力で潰さなきゃ、そう思った。

 お姉ちゃんにはそれだけの力があるって思ってた。だけど、この手紙が悠太の手元にあるって事は負けちゃったんだね。

 負けを想像するだけで悔しいよ。でも、多分、この男を潰すにはそれだけの覚悟をしないと勝てないかもって思ったのも事実。


 姉ちゃんが負けたのは昼間で俺をおんぶしてたからだよ。

 じゃなきゃ姉ちゃんが負けるはず無かった。

 今考えてもまさか白昼堂々殺しにくるなんて思わねーだろ。


 ――裏の組織、8年前、春日家に恨み、もしくは悪い企てあり。手掛かりはこんな所かな。良くも悪くもお父さんの会社は大きいもんね、探しようがないよ。

 だからこの手紙を読んだなら悠太が手を引くことを進める。

 悠太はいつかきっとお姉ちゃんを超える。だけどお姉ちゃん的には危ない事はして欲しくないからね。

 

 無理だよ姉ちゃん。ミヤモトの雇い主が姉ちゃんを狙っていて、仮に目的を果たしていたとしても、俺はミヤモトを探し出してボコる。

 こいつがのうのうと生きている事が許せねえし、これ以上被害者を増えてほしくない。

 草の根掻き分けてでも探し出してボコってやる。姉ちゃんの無念は俺たちが晴らすんだ。

 


 ――君のことだから止まれないよね。お姉ちゃんが育てたから分かるよ。お姉ちゃんの教えは間違ってはいないはずだよ。多分ね。死んじゃった訳だから自信はないけれど。

 だから決めたなら絶対にやり遂げなさい。雪人くんを頼っても誰を頼ってもいいから。大人を上手く使いなさい。

 お姉ちゃんより強くなって、悪を滅ぼしなさい。

 悠太ならやれる。誰よりお姉ちゃんが愛してやまない君なら私がやれなかった事全部やれる。信じてる。


 お姉ちゃんの分も全力で生きて、恋も青春も体験して仕事して結婚して全部を謳歌して寿命を迎えて、沢山の人に娶られてからお姉ちゃんのところにきなさい。

 その時までお姉ちゃんの左手の薬指はあけておきます。


 これがお姉ちゃんの教えの極意です。

 


 例え葉月姉ちゃんが止めたとしても俺はやるよ。何が正しい道なのかは若輩者ながらに分かってるつもりだから。

 


 姉ちゃんの教えが間違ってるとか指を指して笑うやつもいるかもしれねえ、だけど、そんなやつは笑わせとけばいい。

 

 俺が俺の行動で証明してやる。俺の中ではいつだって姉ちゃんが最強なんだ。

 雪兄も琥珀さんも現状なら最強かもしれないけど、姉ちゃんだって生きてりゃ最強を独走してたに違いない。


 

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