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悠太は覚えてないと思うけど、お世話もたくさん手伝ったよ。

 おしめかえたり、ミルクを飲ませたり、歩けるようになって散歩に行ったり色々ね。

 そのうち成長してくると、私と同じ金髪で、顔も私達そっくりで尚更可愛くなっちゃって学校から帰るのがいつしか楽しみになってた。


 これは今だから言えるけど私があまりにも悠太を独占してたから、菜月は拗ねてたよ。死んだのはそのバチが当たったのかな、なんてね笑


 『私も真姫が産まれた時嬉しかったなー。人差し指をギュッて握ってくれた時の感覚。今でも覚えてるよ(´ー`*)ウンウン』


「下の子が産まれてくるってそんな感じなんだな。千秋しか居ねえから分からない感覚だ」


 『そりゃあもう。今日からお姉ちゃんなんだって思うとしっかりしなきゃとか色々込み上げてくる感情があったよ』


――相変わらず菜月や周りとの距離は測りあぐねてた。それ以上に悠太が可愛いからどうでも良かったんだけどね。

 でも、できることなら菜月とは仲良くなりたかった。唯一無二の大好きな妹。いつもオドオドして自分の気持ちをはっきり言えない子だった。

 私より才能に恵まれているのに、私や周りを立てようといつも出来ない子を演じてた。

 優しい。けどあの子の優しさは時に毒になる。

 だから私はあの子には厳しく接した。もっともっと高い所へ行って欲しかった。


 全くの逆効果だったけれど、さっきも書いた通り溝は深まりきっていた。


 悠太は覚えてるかな?雪人くんと悠太が私と菜月の溝を埋めてくれたんだよ。


 お姉ちゃんと一緒にあの公園で遊んでて、ちょっと目を離した隙に悠太が居なくなっちゃった話し。

 菜月と雪人くんが先に悠太を見つけてくれたのに、言い掛かりつけて怒って、菜月と言い合いになった。生まれて初めての喧嘩だった。

 私の完全な言い掛かりだけど、菜月が初めて意志を示してくれた日。


 書きたい思い出が、悠太の心の中に私を残したくてついつい色々書いちゃうね。


「沢山……残ってんだよ」


 やべぇ、涙が込み上げてきた。


 ――悠太と一緒に菜月と雪人くんが通ってる道場に道場破りしに行って負かされて一緒に入門した話。夏祭りに行って屋台の金魚取り尽くした話。旅行。婚約。書きたいことはたくさんあるけど、全部書くにはこんな便箋じゃ足んない!分厚いノートでも買うんだった!


 ……コホン、まあとにかく。悠太には私の全てを叩き込んだつもり。無鉄砲なのは良くないけど、お姉ちゃんと違って止めてくれる誰かが現れることでしょう。




 麗奈と顔を見合わせる。

『まるで予言のようだね』

「姉ちゃんにそんな特殊能力は無いはずだけど……」

『続き。読んでみよ』

 

 ――清く正しく美しく、時には邪道に。挫けようとも諦めない。自分の正義だけは貫いて、私好みの最強美男子に育っていることでしょう。


『これは半々だね。半々』

「最強って言うにはまだまだだからな」

『違う美男子の方。君は可愛いから(`・ω・´)フンッ』

「そっちかよ……まあいいけど」

 

――残念ながらお姉ちゃんとは結婚出来なかったけども、お姉ちゃんに良く似たカッコいい女性と幸せになることをお姉ちゃんは心にも無いことを言いますが願ってます。

 ふふふ、やっぱりね。お姉ちゃんが結婚したかったから心からは願えない。


 やっぱり預言者か。麗奈は出会った時からどことなく雰囲気が姉ちゃんに似てるとは思ってた。

 性格も容姿も違う。胸は似てるけど、後は姉属性なのかなんなのか。


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