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33頁


ここの所こればかりだ。麗奈にドキッとして同じ事ばかり考えてる。

 答えは出したじゃないか。この恋心は封印するって。


 心臓辺りがきゅっと締め付けられる気がして手を当てる。

 我慢をすればするほど思いは強くなって、この痛みはましていくのだろうか。


 それでも、俺は幸せを守る為自分に嘘をつき続ける。


「すー、はー、すー、はー」

 何度か深呼吸をすると心臓を締め付けられるような感覚も落ち着いてきた。


 ズボンを脱ぎ捨てて浴室に入り、シャワーのノブを捻る。

 

「……あったけぇ」

 やっぱシャワーっていいよなぁ、複雑な思いもお湯と一緒に流れていくようだ。


 どっと疲れた。体が重い。頭が重い。寝不足の影響がモロにでてきた。

 完全にスイッチオフだ。このまま寝ちまおうか。いや駄目だ。心配して探しにきた麗奈に情けない姿を晒すことになる。

 1度頭を覚ますために、温度調節のノブを思い切り捻り、水を出す。


 「冷た冷た冷た!ぁぁあ、あったけぇ……っうし、目ぇ覚めた!さっさと洗ってでよ」


 いい感じに頭が冷めた。さっきのは弱気な俺のまやかしだ。

 気持ちは嘘じゃねえけど、まだまだ隠しておける。

 

 頭と体を洗ってサッパリした俺はリビングへと戻り、麗奈を連れ立って俺の部屋へと移動した。


「本当は元気な時に読みたいんだけど、今日読まなきゃ次は3日後。帰ってきてからになる。だから今読もうと思うんだけど」


『じゃあ1人にしてあげようか?葉月の手紙。ゆっくり読みたいでしょ』


 気を使って部屋を出ていこうと立ち上がった麗奈のTシャツの裾を掴んで引き止めた。


「一緒に居て欲しい。泣いちゃうかもしんねーから」


『男の子って泣き顔は隠しておきたいものじゃないの?』


「お前になら見られたっていい。つーか今更だろ」


『はいはい。もし泣いちゃったら慰めて欲しいんだね⊂(*´꒳`*)⊃』


「……まあね。ずっと逃げ続けた事に向き合うんだ。俺も怖いんだよ」


 葉月姉ちゃんの遺書だ。酷いことは書いてねえだろうけど、4年も逃げ続けてきた自責の念というやつだ。今にも押しつぶされそうで開くのが億劫になり始めている。


 でも、今開かないと、もう逃げないって決めたから。

 ちくしょう。手が震えてきた。


 『大丈夫。お姉さんが手を握っててあげるから一緒に読もう』


 震えている手を麗奈が握ってくれたと同時に震えは止まった。

「じゃあ、開くぞ」


 麗奈が頷いたのを確認して便箋の封を破った。

 中には2つ折りにされた花柄の手紙が2枚。それを取りだして、開く。


 柔らかくて綺麗な字が手紙いっ姉ちゃんの字だ。間違いない。


 ――愛しの悠太へ。これが悠太の手に渡ったという事は私は死んじゃったんだね。


 そうだよ。姉ちゃんは俺達を守って死んだ。


 ――婚約まで決めたのに先に無くなる不幸どうかお許し下さい。私、春日葉月は悠太が弟で本当に幸せでした。

 悠太が産まれてくる前は菜月とも上手くいってなくて私は学校では人気者だけどいつも一人だった。

 私の友達を名乗る子はみんな、私の中身を見ようともしてくれなければ、春日家の女の子としか見てくれなかった。

 私もそんな子達を下に見ていたし、自分は特別だと思ってた。


 お父さんお母さんは愛してくれていたとは思うけど、出来る私を、春日家の長女として褒めてくれるばかりだと勝手に勘違いをして愛情を受け取れなかった。


 同じ顔の菜月は優しいけど、とろくて、泣き言ばかりいうから傲慢で唯我独尊タイプの私とは相性最悪。

 物心着くまではお姉ちゃん大好きって追いかけてきてくれた妹を私が邪険に扱うものだから溝は深まる深まる。


 だから悠太が産まれてきてくれた日は私にとって人生が始まった日と言っても過言ではなかったよ♡


 赤ちゃんなんて、産まれてきた時はしわくちゃで猿みたいなんて言う人も居るけれど、私は産まれてすぐの悠太が可愛くて可愛くて仕方が無かった。


 

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