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涼夏が前から飛びついてきた。前を涼夏。後ろからは麗奈にサンドイッチされる形だ。

 前も後ろも肋骨がごりごり当たる感触しかないのが、ちょっぴり悲しい。


「悠くん今失礼な事考えたでしょ」


『お姉さんも思った』


「いや、そんな事ないぞ」


「嘘だね。顔がニヤついてたもん。後でぼこぼこにしてやる」


「理不尽だな。思っても口には出してないから俺が何を思ったか正確にはわからない!よって俺は悪くない!」


『悠太の肋骨麺棒でゴリゴリする?』


「悠くんの肋骨を太鼓代わりに叩いてもらおうか、美鈴に頼んで」


「ひええ、これが噂のサトラレってやつかぁ……生きづらいなぁ」

 本当に、何でも分かられちまうなんて生きづらいぜ。駆け引きが発生するギャンブルは絶対にやらんとこ。

 9本の飲み物のうちの3本を拾い上げて歩き出す。


「そう考えるとお前は表情ころっころ変わるのに何考えてるか全く読めないよ」


「女は謎多き生き物なのですよ!ね!麗奈さん!」


『そうだね。秘密を小出しにするのが、悠太には効く見たいだよ』


 そう言ってぎこちない笑みを浮かべる麗奈に涼夏は、驚愕の表情で麗奈を見ている。


「ゆゆゆっゆゆうくん!麗奈さんが笑った!」


 DJのスクラッチみたいな呼び方をするな。

 

「おう。笑ったな」


「なんでそんなあっさりしてるのさ!」


「そりゃー俺が1番に笑顔を見せてもらったからな!俺の脳内記憶に刻み込んである。それはそれは可愛かったぞ」


「悠くんだけズルい!私たちはチームじゃなかったの!?ぷんぷん」


「ふはは!何を言おうが麗奈の初笑顔は俺のものだ!」


「いいなぁ。麗奈さんの初笑顔。今の笑顔もめっちゃ可愛かったもん」


『ふふ。これから飽きるほど見れるよ(。•̀ᴗ-)』


そう。俺達がずっと一緒に居る限りずっと見れる。俺は麗奈の色んな表情を見てみたい。


 おっとフラグめいた事を考えてしまった。

 そろそろ着くけど、姉ちゃんと伏見さん来てねえかな。

 伏見さんが来てくれてれば丁度いい話し相手なってくれるはず。

 倉庫が立ち並ぶ門の入口を通り過ぎた。

 

 あ、姉ちゃんの車が止まってる。


「悠太の兄貴。ご無事で何よりです」


「うっす。お疲れっす」


 車の横に立っていた伏見さんが挨拶をしてくれたので軽く手を挙げて返す。

 「お疲れ様ですっ!」


 『お疲れ様。その手形はどうしたの?』


 伏見さんは頬に綺麗な紅葉の葉をこさえていた。

 おおよそ想像が着く。不用意に倉庫に近づいて沙織さんから平手打ちを貰ったのであろう。

 その証拠に、いつもかけているグラサンのレンズがバリバリに割れていて野獣のような三白眼が見え隠れしている。


「あっしとした事が、しくじりやした」


 神妙な顔で言ってもかっこつかないっすよ。これからオチの読めてる話をするんでしょう?


「薄着の女を見てお嬢にぶちのめされるとこでした」


 うん。知ってる。不可抗力だな、可哀想に。


「お嬢は何も分かっておられやせん。あっしは悠太の兄貴にしか興味ありませんぜ」


 1歩下がる。鳥肌もんだこいつは。

「違いやすよ。悠太の兄貴ほど小柄な体型でどうやったらそんな威圧感を出せるのか気になってるんです」


「つまり俺はかっこいいってこと」


「そうです。兄貴はかっこいいお方であられます」

 

「おお、分かってるじゃないすか!」


「そして行く行くはお嬢と共に山本組の2代目に」「さっ、行くぞ麗奈。涼夏。無駄な時間を過した」「兄貴ぃ!」


 ちっ。ぬか喜びさせやがって結局勧誘じゃねえか。

 叫ぶ伏見さんを残して倉庫の方へと進む。

 俺は極道はやんねえの。グレーゾーンを突き進むの。


「飲み物買ってきたよ」


 買ってきた飲み物を全員に配った。姉ちゃんの分は俺のコーヒーをあげた。

 べ、別に喉が渇いてたわけじゃねえし。抜け出したかっただけだし。


 渡した時に笑顔で「ありがとっ」って言ってくれて照れてもねえし。


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