表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/51

12頁


「……な、なんなんだよお前らっぐへ!」


 あ、殴った。

 

「質問をするのはこちらだ。お前は、はいかいいえで答えればいい」


「は、はい!」


「まず、お前らの隠れ家はどこだ。そこに誘拐した女の子達は居るのか?」


「は、はい!」


「はいじゃ場所が分からないだろう!」

「うぐっへ!」


 はいかいいえで答えろって言ったのは貴女です。


「……理不尽っすよ」


 男に助け舟を出してやった。


「誘拐は理不尽じゃないのか?君は言ったよな。私は言うだけで君がやると止めるって」


「いやーそんな事言いましたっけ」


「君こそ私に潔白である事を求めてるんじゃないのか?」


 意趣返しか。でも俺はその答えを用意してある。


「求めてますよー。琥珀さんは真っ当なヒーローでいて貰わないと。俺のエゴですけどね」


 思い切り足を振り上げる。


「こう言うのは俺の仕事ですから、ねっ!!!」


「あぎゃあああ!!!!」


 振り下ろすして右手を思い切り踏み潰した。


「やり方が甘いっすよ。おい、あんま情けねえ声出すなよ。電話で聞いたよな?右手で触ったんだよな?だから悪いことした右手をお仕置きしてやったんだよ」


「……え、えぐいな」


「この通り、俺はやると言った事は本当にやる。別にもう1人のおっさんを起こして聞けば解決するからお前は要らない。わかるな?」


 右手を抑えながら男は震えている。


「今洗いざらい吐けば生かして返してやる。どうだ?簡単だろ」


「む、無理だ……言ったら殺される」


「馬鹿だなぁ。言わなくても殺されるぜ。お前、あそこに居るのは山本組の組長の娘。それから隣にいるのが伏見。んでそれまた隣にいるのが血濡れのお蓮。この辺に居たなら聞いたことくらいあるだろ」


「あ、あぁ、山本組って言えば、この辺で1番でかい組だよな」


「そう言うこと、んでお前の前には有言実行の俺が居る。安心しろ。言えば俺たちがお前の後ろにいるものをぶち壊してやる」


「で、でも」


 これだけのネームバリューを耳にしても不安なくらい、そんなにデカい組織なのか?


「あ、あの人は殺しも楽しんでやる!お前とは違う!ニコニコ笑って人を刺すんだぞ!?」


 じわりと冷や汗をかいた。

 1人。身に覚えがある。姉ちゃんを殺した男だ。


「だからなんだよ。そいつも人間だろうが。しっかりしろよ。選択を間違えるな。生きたいなら少しでも可能性がある方にかけろ」


 言っちまえ、言って楽になれ。

 正体を教えろ。もし、姉ちゃんを殺した奴なら……。



「ミヤモトだ。明日の明朝、三崎の倉庫に女達の身柄を引き取りに部下が来る」


 しゃがれ声の男は少し考えた後。固く閉ざしていた口を開いた。


「そいつの写真、持ってねえか?」


「ない。そいつは顔を見せたがらないんだ。マスクとサングラスで顔を隠してる」


 ちくしょう。姉ちゃんの仇かそうじゃないかもわからねえじゃねえか。

 いや、どの道朝を待って部下をやっちまえば手掛かりは手に入る。


 どっちも悪なんだ。ならやる事は決まってる。


「言ったから……自由だよな?俺たち」


「何言ってんだよ。お前らは警察に引き渡す」


「てめぇ騙したのか!」


「自由にしてやるなんて一言も言ってねえだろ。つーかお前らの為だよ。日本の務所は安全なんだから罪を償って来い」


 そういうと、男は抵抗する事なく口を閉ざした。


「お前らが何の罪もない一般人。それも女の子を誘拐して怖がらせたのは事実だろうが。それとも俺がけじめつけるか?」


「……いや、警察に連れてってくれ」


「OK。んじゃ倉庫の場所を教えてくれ。今から行くから」


 男にマップアプリを見せて場所を聞いた。

 これでようやく誘拐された人たちも解放できる。

 悪者を倒すこともできる。




 

「んじゃ、伏見さん。姉ちゃんも警察への引き渡しはお願いしますね」


「任せてください悠太の兄貴。こっちが終わったら伏見も直ぐに向かいますんで!」


「悠太無理しちゃダメだからね」


 伏見さんと姉ちゃんに2人の悪者の引き渡しを頼んで麗奈と沙織さんと一緒に男達が乗っていた車に乗り込む。


「こっちの車のが安心できる」


「ですねぇ。しばらく伏見の運転する車には乗りたくありませんよ〜」


 げっそりした表情の沙織さんが運転手だ。

「俺も、蓮さんの運転は懲り懲り」


 向こうは地獄だろうな。助手席の涼夏、後部座席に琥珀さん、美鈴が乗っていて全員の泣き顔が容易に想像できる。


 こっちは麗奈がグロッキーだから変わってもらってよかった。


 もう車が見えなくなったし、血濡れモードは解除されてないようだ。


「因縁だか何だか知らないですけど、そんなの捨てちゃえば良いのに〜」


 因縁か。実際俺が姉ちゃんを殺った犯人を見つけたら。

 隣の麗奈を見る。いつもの無表情面でぼーっと窓の外を眺めている。

 ダメだよな。ずっと一緒にいるんだもんな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ