はじめまして
頑張って書いていきます。不定期投稿です。
「その歪んだ眼球、俺に寄越せよ」
その瞬間、少女を強姦しようとした二人の同級生の腹が弾けた。飛び散る鮮血と散らばる臓物という非現実的な光景に、半裸に剥かれた少女の目が丸くなる。
路地裏の一角。人の姿が見えるはずのない、薄気味悪い、湿度が高い場所。
頬に温かいものが伝い、触れればべったりと掌に血が付着していた。
死んだ。
目の前で。
人が。
硬直しつつ、視線を上げる。
どしゃりと地面に崩れ落ちる男子生徒たちを尻目に、大柄な男が少女を見下ろしていた。
垂れ下がった前髪と肩甲骨まで伸びた銀髪、開かれた金色の瞳孔。歪んだ笑みを浮かべた口元。
それはまるで、次なる獲物を定めているかのような目で。
どう考えても堅気の雰囲気ではないし、ワイシャツには返り血でぐちゃぐちゃになっている。
何秒見つめ合っただろうか、男はおもむろにしゃがみ込み、物言わぬ躯となった男子生徒たちの顔に指を伸ばす。
神経を切断するような、粘着質な音が闇夜に響き渡る。
「あーいいよ最高だよその情欲に歪んだ瞳と言うのは希少だからね。大抵俺を見ればビビッて恐怖するような目しか集まらないからさぁ僥倖僥倖最高最高!」
譫言のような独り言をダラダラと垂れ流しながら、男がくりぬいたばかりの眼球を少女に見せつける。血にぬれた、プルプルしている瞳。先ほどの醜悪な人間の物であったとは思えない純粋無垢な色。それを乱雑にポケットに突っ込んだと思ったら、男は袖からダラリと血濡れたナイフを無造作に向ける。
「あーあぁ、怯えんなよ、つまんねーなぁ。もうちょっと面白い感情を見せてくれよ、なぁ」
狂気に蝕まれた声色を向けた男は、今度こそ少女を冷然と見下し、ニタァ、と口角を上げた。
化け物。同じ人間とは思えないほどに、狂気と凶気に歪んだ男。
普通では恐怖し、忌避するであろう外見に、少女は――。
「た、助けてくれて、ありがとうございます!」
「……あぁ?」
一振りのナイフを片手に、大柄の男が首を捻った。