表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/26

第十九話

「おはよっ!楓っ!」

「おう。」




俺が丁度校門に入ろうとしたところで後ろから声をかけられる。

もちろんその声の主は雪璃だった。


「おはよ。朝から元気だな……」

「というか楓って意外と鈍感なんだね。」


朝っぱらから失礼なやつだなこいつ。


「はい?」

「いや、だってさ〜?僕ずっと後ろからつけてたのに全く気づかないし。」

おいコラストーカー。声かけろや。


「……ストーカー」

「えっ、自意識過剰……?」

「そんな引いてる顔してるけど俺も今お前にドン引いてるんだからな……」


「それはごめんじゃん。」

「まぁいいんだけど……っておいコラ自意識過剰って言ったか。」

「まっまぁまぁ!!怒んないでさ!幸せが逃げちゃうよ!!」

誰のせいだと思ってるんだ。





「ん?」

「?」


「さっきからお前何食ってんの?」

「チョコだね。女子から貰った。」

俺は今盛大に得体の知れない何かに殴られたような気がする。



「……バレンタインなんて滅んでしまえって事で帰っていいかな?」

「こら楓、いいわけないでしょ。現実を受けて止めて。」

「二発目をくらった……」

「何の話??」


「いやまぁお前がモテるっていうのは分かるんだよ。でも大体さぁ今会話してる間にもお前貰ってるじゃん。同じ人間なのになんでこうも格差が生まれるんだ?」

「人間であること以外のすべてが違うんじゃないかな。」



目の前で圧倒的な格差を見せつけられる俺の身にもなって欲しい。虚しくなる。


「すべてって……性別とかは一緒だろ。」

「あはは!まぁ僕モテるから☆」


「うぜー。」

「ちょっとしたジョークじゃん!」

「まぁいいや。ちなみに中学のときもこんな感じだったのか?」




「ん〜いや?中学はこんなに貰ってなかったよ。今日が初めてだね。」


「ふーん。」

意外だな。てっきり小さい頃からまわりにチヤホヤされてるもんだと思ってた。実際こんな綺麗な顔のやつ誰もほっとかないだろうから。


「じゃあつまりは高校デビュー成功って訳か。」



「……まぁね。」


「へぇ。」


そう俺が返事をしている間にも雪璃が手作りっぽいチョコクッキーを貰い礼を言ったあと鞄にしまい込む。


「食べないのか?」

「食べたいの?」

イエスと答えたい所だがここは飲み込む。


「人の物奪うまで堕ちてないし、それにあげたやつの気持ちも詰まってる物だろ。」

「素直に食べたいって言えばいいのに〜」

「うるせぇ。」


「まぁさっきの食べないのかっていう質問の答えはね一応市販の未開封のやつしか食べないというか安心して食べられないんだよね。潔癖症なわけじゃないんだけど、なんか手作りって何入ってるかわかんないからさ。」


「分からなくはないけど。」

「何様だよって感じなんだけどねりくれた子にも悪いし……」




「気持ちはなんとなく分かるし、気持ちをちゃんと真摯に受け止めてやれば大丈夫じゃねぇの。」


「……楓って時々凄く格好いいこと言うよね。」

「そうか。」


「でもそういう優しい所良いと思う。僕は好きだよ。」




そう言って雪璃はフッと笑って見せた。結構恥ずいセリフだけどイケメンが言うと様になるな。



「そうやっていつも口説いてるんだろうな……」

「ん?なんか言った?」

「何もない。」




その後も教室に行っても雪璃はチョコやらお菓子やらを貰い食べていた。しばらくして遠い目をしながら本人がボソッと、


「運動しないと……」

と呟いていたのには流石に俺でも笑った。








こんにちは苹果です!今回はバレンタインの話ですね。時期過ぎてるけど!すみません!


面白いと思った方はブックマーク、コメントそして拡散よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ