第捌什漆話 翼も髪も、美しい
結局あの後すぐに宿へ戻り温泉を堪能中。
1人なので疲れはかなり取れている…と思う。いつも誰かしら男じゃないのが来るのがおかしいんだ。うん。
『良い温泉ですね。』
「ええそうですね…」
『翼の疲れが抜けていきます…良ければ翼洗ってみます?』
「羽根抜いちゃいそうなので遠慮しておきますわ…」
そういえばここの温泉はやけに湯気が立ってるな…なんかそういう効能?でもあるのかね。
「…ん?」
『こんばんは。用事が終わったのでただいま戻りました。』
「おかえりなさい…その翼温泉に浸けて大丈夫なんですか?」
『大丈夫ですよ。ちゃんと洗って手入れしてるのでふわふわです。どや。』
なんだこの神様可愛いな…
「そういえばチグメ様は白翼ですけど違う色の翼の神様もいるんですか?」
『ええ勿論。白、黒、紅、蒼、翠、黄、紫…まだまだ沢山の色が居ます。』
「へぇ凄い、流石神様。」
『もし貴方に翼が出来たらどんな色なのでしょうね。やはり氷のように蒼銀なのでしょうか?』
「いやー、俺はチグメ様と同じ色が良いですね。好きなので。」
『好き…ですか?』
「あっ、ああ、白が!白がですよ!」
『………お先に失礼しますね。』
そう言うとチグメ様は脱衣所へと向かった。横顔はどこか紅潮しているようだった。
「逆上せたのかな…」
その夜、チグメ様を見かけることは無かった…
「ふう。そろそろ髪乾かすの面倒になってきたな…明日の昼辺りに切るか。」
「切っちゃうんですか?」
「綺麗なのにねえ。勿体ないわー。」
「おおびっくりした。そんなこと言われても…」
後ろから姉妹が月斗の髪を触り始めた。
「えっちょっ…」
「さらさらですね…」
「羨ましいったらこの上ないわ。手入れはしてるの?」
「いえ特には。この肩まで伸びてるくらいになったら大体切りますし。」
触るならなんか言って欲しかったなあ…
「それはそれは。」
「実に嫉ましい。」
え?今度は何?
「ここをこうして…あ、お姉ちゃん髪紐ちょうだーい。」
「はいこれ。結んだのをこっちに持ってきて…と…シエルそこ抑えといてー。」
「もう好きにして下さい…」
数分後、そこには美女2人に囲まれ可愛く髪の毛をアレンジされた外来人がいたとかいなかったとか。
第捌什漆話 翼も髪も、美しい 完




